スイスハイキング旅行3
最後のヨーロッパ行き
新型コロナウイルスのパンデミックが概ね終息したので、ヨーロッパに出かけることにした。今年で70歳を迎え腰痛だなんだと具合が悪いことも増え、長距離のヨーロッパ旅行は最後とし、行きなれたスイス・グリンデルワルドに貸別荘を借り1週間滞在してのんびりする計画だ。
ヨーロッパ行きの飛行機は2022年に始まったウクライナ戦争の影響でロシア上空は飛べず、昔のルートであるアンカレッジ方面から北極海を通ることになり飛行時間は14時間25分もかかるため、腰痛持ちの私は耐えられないかもしれないと思い、自費では初めてのビジネスクラスへのアップグレードを奮発した。帰りは、黒海、カスピ海を経て中国上空をとおるルートだが、ロシア上空の最短ルートでなくてもジェット・ストリームに乗るため12時間45分と以前とそれほど変わらない感じなので、エコノミーのままとした。
最後にスイスに行ったのはパンデミック前の2019年夏で、それから5年経ち、その間、癌の手術をし、重度の腰痛で長年の趣味だったスキーをやめるというようなことがあり、チューリッヒ空港駅からグリンデルワルドまでの電車乗り継ぎができなくなっていないか、という不安もあった。そこでグリンデルワルド~チューリッヒ空港間の送迎車利用も考えたが相当いい料金なので断念した。妻も以前の大きなスーツケースではスイスの電車の種類によってステップが高く乗り降りが苦しいということもあり、ひと回り小さいスーツケースに買い換え、SBB(スイス国鉄)モバイルアプリが利用できることも再確認して電車往復で臨むことにした。
切符の選定
交通機関の切符は何を買うかについて、事前に利用鉄道、利用区間等を全てExcel表に書き出し、Swiss Half Fare CardとJungfrau Travel Passを利用したシミュレーションを行った。その結果、両者を併用するのが一番安上がりになるとの結論(注参照)に達し、Swiss Half Fare Cardは事前にEチケットを購入、Jungfrau Travel Passは現地で5日用を購入することにした。
Swiss Half Fare Cardを事前購入にしたのは、チューリッヒ空港駅の切符売り場は、いつも長い列ができており、一組の客が長々と相談して時間がかかるので、それを避けるためだ。Swiss Half Fare CardはいろんなWEBサイトから買えるが、今回はグリンデルワルドの貸別荘を、グリンデルワルド日本語観光案内所のWEBサイトで申し込んだので、ついでにこれも同じところで購入した。メール添付のPDFファイルとして送られて来たので、印刷して持って行った。ネットで購入してスマホに入れていく手もあるが、スイス到着時にスマホがうまくつながらないとお手上げになるので、安全を見て紙のEチケットを持って行った。
空港からグリンデルワルドまでの切符もSBBモバイルアプリで買えるようにスマホには支払い方法なども設定しておいたが、これも使えないかもしれないので、空港駅の自動券売機で買うことにし、自動券売機がどこにあるかは事前にグリンデルワルド日本語観光案内所に確認しておいた。
(注)ユングフラウヨッホは行ったことがあるので行かなくてもよいが、行く場合にはJungfrau Travel Passでその区間もただになるので、Jungfrau Travel Passを買った方が得になるという当初の判断だった。行かない場合にはJungfrau Travel Passを買わない方が得になることはわかっていた。しかしアイガーグレッチャーからユングフラウ・ヨッホ行きに乗ろうとしてJungfrau Travel Passでは、ユングフラウ・ヨッホには行けないことがわかった(事前調査ミス)。今回の利用区間ではJungfrau Travel Passを買うと、買わずに個別に切符を買うより約60CHF(日本円換算178円/CHFで10,680円)高くなったが、毎回窓口に並ぶことを考えればよかったと思う。因みにJungfrau Travel Passは、Swiss Half Fare Cardを持っている場合5日用で210CHF(同37,380円)である。
現地での行動計画
現地での主要な行動計画はこうだ。妻は私よりいくつか年下だが、それでも以前のように毎日ハイキングはつらいので一日おき、つまりハイキングしたら翌日は休み、そしてハイキング、休み、にしたいと提案があったのだが、それではあんまりなので、到着翌日は買い出しと近場散策、中日を丸一日休息することにし、行動日の主な行動は半日程度、さらにハイキングは二日のみ、あとは乗り物に乗る観光のようにゆったりした計画にした。
肝心のハイキングは、2017年に初めてスイスに来たときに私は行ったが妻は腹痛で行けず、そして2018年夏に来たときは霧で何も見えずに断念したフィルスト~バッハアルプゼーのハイキングをリベンジ、もうひとつ、やはり2017年に初めて来たときにアイガーグレッチャー~クライネシャイデックのハイキングを行い、山の斜面をユングフラウ鉄道の登山電車が登ったり降りたりする箱庭のような景色に感動し、その後それをパンデミックの巣ごもり中にNゲージのジオラマで再現するということ(スイス登山鉄道Nゲージ・ジオラマを参照)をやったので、その景色をもう一度見ようというハイキングだ。
また、乗り物はこの辺り(Jungfrau Region)のものはリフトも含めてだいたい乗ったつもりだったのだが、漏れていたものがあり、シーニゲプラッテ鉄道とブリエンツロートホルン鉄道(これはJungfrau Regionには含まれないらしい)にも乗ることにしたものだ。
なお、旅行前に妻がスイスのCOOPや何やとYouTubeを見ていたので、これは自分もできるかもしれないと思い、写真の代わりに動画を撮ることを意識した。撮影機材はいろいろ持っていくと重くて大変なので、iPhone 1台だ。因みに私はdocomoのahamoを利用しているので、海外でもそのまま現地の電話会社にローミング接続して使うことができる。日本国内で、1か月20GBまで定額だが、海外に行っても日本と海外の合算で20GBまで同じ料金で使える。それで、動画中心で撮影したので、結局YouTubeに8日間の記録をアップした。詳細は、以下からご覧いただきたい。
こんな準備をし、いざ出発!
旅の記録映像
旅行後の感想
2017年に行ったときは秋だったので、山の景色は草が枯れて茶色だったが、今回は緑でフィルスト~バッハアルプゼーの景色もアイガーグレッチャーからクライネシャイデックの景色もみずみずしい美しさだった。ヨーロッパ鉄道旅行の項を見て比較してほしい。また、今回あらためてスイスはどんな山の上でも鉄道が走っていて、しかもアイガーグレッチャーからクライネシャイデックへのハイキング中には何度もユングフラウ鉄道(JB)やヴェンゲンアルプ鉄道(WAB)が登ったり降りたりするのを見ることができたのは鉄道マニアというほどではないが電車や線路好きの私には至福の時で、電車が見えるたびに撮影してしまった。妻が私たちが住む茨城県の常磐線よりも本数が多いのではないかと言ったくらいである。JBもWABも30分に1本あるので、両路線で登り降りを合わせると1時間に4本なので上り下り各1時間3~4本の常磐線よりは実際には少ないのだがすごく頻繁に見る気がしたのである。
旅行前にはスイス旅行計画を立てたものの、パンデミックで旅行も国内ばかりとなり、また体力の衰えもあり直前には本当に行けるのか行くのが億劫な気持にもなっていたが、無事、過酷な電車乗り換えにも耐えることができてよかった。とりわけ大変だったのは、スイス到着後、土曜日の夕方6時過ぎだったがイミグレの窓口が3つしか開いておらず大行列になったため、ようやく入国審査が終わりさらに荷物が出てくるのも遅く、税関を出たときには乗車予定の電車出発まであと5分しかなかったことだ。私はこれから電車の駅まで行って(道路を挟んで向かい側のビルの地下)、自動券売機で切符を買って、さらにエスカレータで地下に降りるのではほどんど間に合わないとあきらめかかっていたが、妻から急ぐんだ!と声をかけられ、スーツケースを押して走った。幸い券売機は空いているのがあり、事前にYouTubeでスイスで切符を買った人の動画も見ていたので、迷わずに操作して買うことができた。買うところを動画で撮影しようと思っていたのだが、さすがに買うのに精いっぱいでそこまでは手が回らなかった。この電車に間に合ったのは奇跡的だが、その後の乗り換えもSBBモバイルアプリで調べながら、次は何時何分に何番線に到着で、乗り換える電車は何番線で何時何分発、乗り換え時間は5分でホームを変わらないといけないので、予めデッキに出て着いたらすぐに階段ではなくスロープのある方で地下通路へ駆け出せる準備をする、などということがちゃんとできたのはよかった。まだできる、という自信にもなった。
残念だったことは、観光地の案内アナウンスがスイス公用語のドイツ語、フランス語、イタリア語の次に、英語ときて、5年前は日本語、中国語、韓国語などと続いていたのが、今回は日本語がなくなって、中国語、韓国語などとなっていたことだ。パンデミックで日本人が海外に行かない期間が長く、存在感が希薄になっているのだ。かといって中国人や韓国人がそこまで多いわけではなく、中国人はいると声が大きいので目立つが、団体客をところどころで見かけたくらいで個人旅行客は見なかった。中国語が聴こえたので見ると静かで上品な感じの夫婦という場合は、台湾人であったと思われる。これは日本人の外見的な特徴と似ている。日本人旅行客は少なかったが、なぜかCOOPに買物に行くと遭遇率が高く、日本人はCOOP好きなのか、それとも私たちと同じように貸別荘で自炊パターンだったのかもしれない。
日本語案内が残っていたのはフィルストのゴンドラを上がったところで、運行時間を知らせる青い看板に「運行時間」という日本語が見られたのと、ハイキング目的地のバッハアルプゼーでトイレかと思った小屋にも「運行時間」という日本語が見られた。後者は4日目のYouTube(6:05の辺り)にはっきり映っているのでご確認されたい。あと、クライネシャイデックのお土産屋の店頭に日の丸がかかっており、妻が買物をしたとき、アリガトと言われたとのことで、日本人観光客が多かった頃の名残はまだある。私たちは最後のスイス旅行だったが、若い人たちは、スイスに限らず、海外にはどんどん出て行って日本の存在感を高めてほしいと思う。
行動記録まとめ
注.赤字は当初予定から変更したことを表す。括弧内のm表示は、標高を表す(ハイキングの目安)。
1日目 7/6
出国日
成田空港T1南ウィング LX161 NRT 10:45発→ZRH 18:10着
Swiss Half Fare Card(PDF版Eチケット)事前購入、切符は自動券売機で購入
Zürich Flughafen 19:45(Bern行き)→20:58 Bern 21:07(interlaken Ost行き)→21:59 Interlaken Ost 22:04(BOB Grindelwald行き)→22:40 Grindelwald
徒歩→22:55貸別荘着 雨と暗さのため場所がわからず時間かかった(本来徒歩5分の距離)
2日目 7/7
午前 食料買い出し
午後 グレッチャー・シュルフト散策(氷河でできた峡谷) 1Kmを往復
村内バス10分:Grindelwald駅(1,027m)→Hotel Gletscher Schlucht
→遊歩道1Km→グレッチャー・シュルフト→遊歩道1Km→(鉱物展示博物館)→
Hotel Gletscher Schlucht→Grindelwald駅
3日目 7/8
ブリエンツ・ロートホルン周遊観光→シーニゲ・プラッテ観光に変更
BOB::Grindelwald 7:47(8:17)→8:24(8:54) Interlaken Ost 徒歩すぐ
ブリエンツ湖クルーズ:Interlaken乗り場9:07(11:07)→10:20(12:20)Brienz乗り場(564m)
ブリエンツ・ロートホルン鉄道:山麓駅Brienz10:45→山頂駅Rothorn Kulm11:43の予定が当日全て満席で乗れず予定変更
Interlaken Ost行き:Brienz 10:37→10:55 Interlaken Ost
BOB:11:04→11:09 Wilderswil 11:25
シーニゲ・プラッテ鉄道:Wilderswil (586m)11:25→12:17 Schynige Platte(2068m)→ Schynige Platte Berg Restaurant昼食→シーニゲ・プラッテ高山植物園
シーニゲ・プラッテ鉄道:Schynige Platte 14:21→15:13 Wilderswil BOB:Wilderswil 15:40→ Grindelwald 16:10
4日目 7/9
フィルスト-バッハアルプゼー ハイキング(晴天日)
村内バスでゴンドラ乗り場へ
ゴンドラ:Grindelwald→First(30分)
ハイキング:フィルスト(2167m)⇔バッハアルプゼー(2271m)初級往復で6km上り下り2時間
ゴンドラ:First→Grindelwald(30分)
5日目 7/10
休息日
夕食は、ALTE POST(Firstゴンドラ乗り場手前)
6日目 7/11
アイガーグレッチャー→クライネシャイデックハイキング(初級 下り1時間)
BOB:Grindelwald 8:47→8:50 Grindelwald Terminal
Eiger Express: Grindelwald Terminal 9:18→Eigergletscher(2320m) 9:34
ハイキング:Eigergletscher 9:53→Fallbodensee10:59 昼食 11:27→
Kleinecsheidegg(2061m) 11:59 (歩くのが遅いことに加え、電車撮影で時間がかかっている)
買物
WAB: Kleinescheidegg 13:01→Grindelwald Grund 13:36
→徒歩 13:41 Grindelwald Terminal 買物
バスB123:Grindelwald Terminal 14:24→Grindelwald 14:33
7日目 7/12
シーニゲ・プラッテハイキング(初級 上り下り1~2時間)
→ブリエンツロートホルン鉄道乗車に変更
BOB::Grindelwald 7:47→8:33 Interlaken Ost
Meiringen行き 8:33→8:54 Brienz
ブリエンツ・ロートホルン鉄道:山麓駅Brienz 9:40→山頂駅Rothorn Kulm(2244m) 10:35
山頂周辺で昼食(弁当)
Bergrestaurant Rothorn Kulumでコーヒー
ブリエンツ・ロートホルン鉄道:山頂駅 12:20→13:30山麓駅14.32(15.32)
Brienz13:37→Interlaken Ost13:55
BOB:Interlaken Ost 14:04→14:40 Grindelwald
8日目 7/13
帰国日
Grindelwald 7:47→8:24 Interlaken Ost 8:30(IC81Romancehorn行)→9:24 Bern 9:31(IC1 St. Gallen行)→10:51 Zürich Flughafen(乗り換え2回)
(次の電車8:17発だと乗り換え1回で楽だが、空港着11:14で余裕がないので上記のにした。)
LX160 ZRH 13:05発
9日目 7/14
NRT 8:50着 成田空港T1南ウィング
以上
(2024/7/27)