中国製オシロ購入
いよいよ期待の中国製オシロスコープ購入本番です。
上海中心部のホテルの窓から見た上海市街
ゆっくり朝食をしながら、今日の計画を立てます。まずは銀行で用事を済ませ、オシロ代を両替し、何年ぶりに上海に来たので少し前に中国で一番背が高い建物になった金融中心ビルを外灘(ワイタン)側から見て、それからオシロ購入という計画です。
両替
今回はレートの悪い順に、成田空港、上海浦東空港、上海のホテル、上海の市中銀行(中国建設銀行)でした。
成田空港 10,000円=720RMB(人民元)
上海浦東空港 10,000円=776RMBですが両替額によらず50RMBの手数料が取られました。
上海の市中銀行 10,000円=800.78RMB
上海のホテルはメモしませんでしたが、市中銀行とほとんど変わらず小数点以下が悪い程度でした。
結局、他に用事があった銀行で両替をしましたが、窓口の人が書類をつくりパスポートをコピーし、10分近くかかりました。ホテルではすぐできますがパスポートをチェックイン時にコピーしているので、両替時には身元確認のようなことが不要なので早いのと、銀行はお役所的な手続き重視のようなところがあるので遅いのではないかと思いました。
なお私のここ数年の東南アジアの国へ行った経験では、成田空港でのレートが最も悪いので、現地ですぐに現地通貨が必要、あるいは現地事情がわからず両替が不安という場合以外は現地で両替した方がよいでしょう。
外灘(ワイタン)側から見た、浦東開発区の高層ビル群です。
左方のテレビ塔(東方明珠)より、右から4番目くらいの天辺に四角い穴の開いた金融中心ビルの方が背が高いです。
金融中心ビルの左手前にある先が尖った金茂(ジンマオ)タワーには以前何回も通い、当時中国で一番高いビルだったのですが、今では隣に建った金融中心ビルのせいでシルエットすらよくわからなくなってしまい残念です。
賽格電子市場
外灘は、写真だけ撮って早々に切り上げ、タクシーでお目当ての賽格電子市場に向かいます。タクシーに乗り、北京東路の賽格(サイガー)電子市場へ、と告げると何番地かと聞かれ、頭に入っていた668番地を即答、5分か10分で到着しました。上海の街は建物に何番地という表示があるので、表通り沿いならわかりやすいです。
いよいよ到着。
胸が高鳴る賽格電子市場。
中はこんな感じです。
部品、測定器を売っている間口1間、2間程度の店がところ狭しと並んでいます。秋葉原のガード下のラジオセンタ/ストア、あるいはラジオデパートにあるような店が集積しています。面積は、ヤマダ電機ラビ店のような駅前立地のビル式の家電店くらいの面積で5階建て。部品屋の規模としては秋葉原など比べ物にならない大きさです。
なお、賽格電子市場の並びの北京東路沿いには、各種部品専門店が軒を並べています。
上記のフロアの先に大きな吹き抜けがあって、その周りを囲むようにやや大きな店が配置されています。
さて、問題はオシロがどこに売っているか?
館内案内表では、全ての階に部品、1,4,5階に測定器、工具などとあります。1階をぐるっと回るもオシロの気配なく、階ごとに違う場所にあるエスカレータを乗りついで周りも見回しながら5階まで行き、全体を掴む意味で吹き抜けの方に出ました。と、吹き抜けに出たすぐ右のところに。。。
ありました!!
ATTEN社の中国の正式な社名である「深セン市安泰信電子有限公司上海弁事処」の赤い垂れ幕。
これはもう、まさにATTEN社の直営店、上海事務所に違いありません。ここまでくればオシロはもうすぐ手が届くところに。
ATTEN社URL http://www.atten.com.cn/
型名を言うと、価格交渉をするいとまもなく、すぐにどこかに電話をし、10分ほどすると元気な女性がやって来ました。振り向くともうもう目的のオシロが置かれています。
因みに当初、ADS1102Cを買うつもりだったのですが、ネットで調べてみても上位機種のADS1102CAとほとんど価格差がないため、CAの方を買うことに決めて来ていました。
主要な違いは以下のとおりです。
ADS1102C ADS1102CA
帯域 100MHz 100MHz
最高リアルタイムサンプルレート 500MS/s 1GS/s
等価時間サンプルレート 50GS/s 50GS/s
メモリ 1chで4K、2chで4K 1chで40K、2chで20K
20011年1月に深センで聞いた価格 1,700RMB 1,900RMB
為替レート12.5円/RMBで 21,250円 23,750円
この店での価格は、Cは同じ、CAは1,925RMB でした。
この女性と価格交渉するも、洋服などと違いおよそ相場もわかっているし、予想レベルなので、端数を切った1,900RMBであっさり決着。
これにトリガー用のプローブをオマケしてくれと一応言いましたが、高級品130RMB、普通品80RMB、どっちにする?と聞かれ、高級品=FETプローブかな、と思ってそちらにしたのですが、聞き間違いで高圧用(2KV)でした。でもそれにして125RMB。
価格交渉がまとまったら、この店では中国のデパートなどでよくある収銀台ではなく、その場で現金で支払いをしました。なお、1階に収銀台はありました。
領収証に書く会社名を聞かれたので、個人で使うんだ、趣味だ、と答えると、おー、すごい!という感じで感心されました。
支払い終わったら、箱から出して電源入れて動作チェック。家に持って帰って動かないでは話にならないので、中国では家電品もすべてその場で動作チェックする習慣です。
中国語では、打開電源(ダーカイディエンユアン)と言って電源を入れてもらいます。これは中国の習慣なので店の人にいやな顔をされることはありません。
お店の人が、電源を入れて1KHzの基準信号が画面に映ることを確認してくれます。
CH1、CH2の両方を確認します。
さらにもう1本のプローブの不良もあり得るのでこれも確認してもらいました。トリガ用のプローブはあとで持ってきてくれるということだったのでここでは確認できませんでした。
波形の立上がり立下りがなまっていることについては、あとでプローブのトリマを回して調整するよう説明がありました。
我知道(知ってます)。
こういうときに添付品を入れ忘れたりしないよう気を抜かずによく見ていることが大切です。
このオシロの電源電圧はAC100-240Vなので日本でも問題ありませんが、電源プラグ形状はハの字にIのアース付きなので日本のコンセントに挿せません。そこで日本の2P平行に変換するプラグを探しました。
成田空港などで、あるいは旅行用品として日本でも買えることは知っていましたが、中国で買った方が安いだろうということで、オシロを買った店の劉さんが一緒に探してくれましたがみつかりません。
さらに一人で15分ほど探して似たようなものがある店で聞いたら、どこかから探して来てくれました。1個 6RMB(約75円)。
因みに変換プラグのことを中国語で何と言うかわからず、絵を描いて「変換」と漢字で書いたりしていたのですが、店の人はそれを見て「変変的(ビエンビエンダ)」と言ってわかってくれました。なるほど、そういう風に言うのかと(中国語文法的には、重ね型)、ひとつ知識が増えました。
ところでガラスケースの中を見てください。昔懐かしいバーニャダイヤルが転がっています!!
ディップメータの記事の中に書いたラジケータもあったら買って来ようと思っていて少しは探したのですが、荷物もあるので本腰を入れられず、飛行機の時間も迫ってくるので今回はあきらめました。とにかくこういう所で目的のものを見つけるのは大変です。よほど強い意志をもって執念深く探さないと見つかりません。
中身は小さくても、段ボール箱は意外と大きいです。
これをATTENのビニール袋に入れただけですが、軽いので問題ありません。
安泰信電子は中国で測定器のNo.1ブランドです、などと書かれています。
税関
こういうものを買って帰ると日本の空港で何か言われるのではないか、という心配があります。
それで、1月に深センに行った帰りに羽田空港の税関で聞いてみました。
「オシロスコープを中国で買って持って帰って来ると何か問題がありますか?」というそのものズバリの聞き方です。
答えは「20万円以内で個人的に使うものなら申告不要で問題ありません」というものです。
入国時に税関で提出する「携帯品・別送品申告書」にも同様のことが書かれています。
さて、成田の税関では台の上にオシロ入りのビニール袋を置いてパスポートチェックを受けたのですが、全く関心を示されず拍子抜けでした。
開梱
家に帰って箱を開けます。
まあ、中に何が入っているかは店で見て知っているので特にサプライズはありませんが。
なかなかカッコいい箱だと思いませんか。
数字示波器は、デジタルオシロスコープの意味です。
数字がデジタル、
示波器がオシロスコープ、
わかりやすいですね。
右上に判子が2つ押されています。
「QA PASSED」(品質保証合格)印と
「OQC PASSED」(出荷品質管理合格)印です。
判子があればいいというものではありませんが、一応はちゃんとやってるな、という印象です。
また、バーコードもラベルに印刷されているので、工程管理、出荷先管理などもきちんと行われているのではないかと期待されます。
この緩衝材は、いまいち作りがあまく、お店の劉さんもどうやったら本体の形にぴったりはまるのか苦労していました。
これだけのものが入っています。
左上から順に、
本体、電源ケーブル、
保証書、製品合格証、取扱説明書、
プローブ、プローブ、CD-ROM(EasyScope3.0)、USBケーブル
正面です。
横幅305mm。小さいです。
高さ154mmは、電源スイッチの突起を含んでいます。
ボタン類が軟質の樹脂でできているため、長期使用で指の脂分がしみこんで内部の導電ゴム接点の接触不良を起こさないか、という懸念があります。
内部構造は不明なので、心配ないのかもしれませんが。
上面です。
奥行133mm、はツマミや背面コネクタの突起部を含んでいます。
液晶画面なので薄いです。
背面です。
右下に、右から順にUSBコネクタ、RS-232コネクタ、BNCコネクタが配置されています。
BNCコネクタは、工場の生産ラインなどで使う際、Pass/Failを出力するために使うとのこと。
上のグレーのラベルには、
45-440Hz、AC100-240V、50VA最大との表示があります。
また、ここには「QA PASSED」と「QC PASSED」の金色のシールが貼られています。梱包箱上の判子との微妙な違いは何か聞いてみたくなります。
左側面です。
ACインレットがあります。
保証
もし壊れたらそのときはあきらめる、というのが中国製オシロを買うときの覚悟でした。
しかし保証書が入っていて、購入後30日以内に登録してください、と書いてあると登録したくなります。オンライン登録ではなく紙登録なので郵便で送ろうかと。
ただし、この保証書も中国国内で適用される、と書かれているので普通に考えると保証の対象外です。
一方、買ったときに店で聞くと、壊れたらここに持ってくれば直す、日本に保守拠点はない、とのことでした。
ということは持ってくるのは無理でも、あらかじめE-mailででも話をつけてから(名刺に劉さんのアドレスあり)、この店に送れば送料負担はどうなるかわからないけれど、とにかく直してくれるのではないかと思います。
保証書には、近くに保守拠点がない場合、直接深センの安泰信に送れば5日以内に修理完了して送り返すと書いてあります。5日以内に直すと宣言しているところはCS向上を全面に掲げているいる感じで好感が持てます。ただし、日本から直接本社に送り返すと、適用外と言われてしまいそうなので、やはり買った店を通す方がよいのではないかと。
中国の人はこちらが一生懸命だと無理をきいてくれるところがあるので、万一の場合にはだめもとでトライするつもりです。
中国製オシロ使用感については、次回更新時に掲載します。
(2011/9/23)
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