電子お年玉
いまどきの中国で大勢の人が使っている身近な電子決済サービスやスマホなどを通じて利用できるサービスについて紹介する。なにせお年玉もスマホで送る時代なのである。
アリペイ
外国人が中国国内においてネットショッピングもしくはネットで航空券予約する場合に壁となるのが代金の支払い方法だ。国際クレジットカードは通常使えない。国内用のクレジットカードは中国に来てしばらくして申請したが審査の結果、却下された。理由は明らかにされなかったが中国での滞在期間や預金残高によってはねられたらしい。
それでは、どうするか。多くの中国人が使うアリババの運用しているアリペイ(中国語で支付宝という)を使うことだ。アリペイは使用者の銀行カードとひもづけられておりアリペイで支払うと、代金は銀行口座からアリぺイ口座を通じて支払われることになる。予めアリペイの口座にお金を入れておくことも可能であり、利息もつく。この利息が銀行の利息よりも多いとのことで多くの資金を銀行からアリペイに移している人いるらしい。
ところがこのアリペイ口座の開設も外国人にとっては敷居が高い。以前にトライしたとき、ネット上の登録手続きで、身分証明書番号の入力を求められる。これは中国人が1人1枚必ず持っている中国政府発行のIDカードであり、外国人は持っていない。外国人はパスポートのコピーを送るかスキャンしてPDFファイルを送るといった方法で登録することができるとのことだったが、そのときはこの方法がわからず挫折。
最近、会社でアリペイサービスについてのプレゼンテーションがあったので、これを機会に再度挑戦することに。プレゼンしてくれた女性にアリペイの口座開設を支援してもらった。スマホで支付宝のサイトを開いてスタート。
今回は、身分証明書番号の入力のところでパスポート番号も入力できるようになっており、前回引っ掛かったところはあっさりクリア。そして銀行カードの登録は、銀行カード(中国の銀行で、日本でも最近有名な銀聯カードのマークがついている)をスマホのカメラでパシャッと撮影すると、口座番号が読み取られ、番号に間違いがないことを確認するとこれでOK。パスポートのコピーは銀行口座を開設するときに銀行に渡しているので、パスポートの信ぴょう性は銀行口座開設時に担保されているということで今回パスポートのコピーは不要なのだろうと推測。
支援してくれた女性のアリペイ口座に試しに1元振り込めることを確認して開設完了。
公共料金の支払い
電気、ガス、水道の公共料金は、銀行引き落としにすると、退居のときに面倒と言われ、これまで毎月コンビニで支払っていたが、アリペイが使えるようになるとスマホで請求書のバーコードを読み込むか、顧客番号を入力するだけで何月分、何元という金額が表示され、手元の紙請求書と合っていることを確認し、OKすると支払完了。とても簡単になった。
ネットショッピングや航空券の予約はまだ試していないが、問題ないだろう。ハンバーガーのマクドナルドはカウンターは長い行列だが、自動注文機なら並んでいないので、これまでも注文後、銀行カードをピッと当てて支払うのは何度かやっていたが、アリペイでの支払いも試してOKだった。スマホで支払操作をすると、画面上にQRコード(四角の中にブロック模様があるようなコード)が現れ、それを自動注文機に読み取らせると支払完了。
このようなアリペイでの支払い方法は各所で見受けられ、スーパーのレジでもこのような払い方をしている人をよく見かける。
微信紅包
これが電子お年玉である。ウェイシン・ホンバオと読む。中国では微信(WeChat)がSNSのツールとして最も多く使われている。日本で言えばLINEである。このチャットのメッセージと同じようにしてお年玉を配ることができるのだ。紅包は新年前後ならお年玉のことである、一般的にはご祝儀であろう。1対1のチャットなら送ったお年玉は当然相手の人が受け取るが、何人もの人が参加するグループチャットではこのような使い方をすることが多い。たとえば合計金額を100元とし、これを8人の人に受け取れるように、金額は均等ではなく、多い少ないがあるようにする、などと設定する。これで職場の管理職が春節前後に職場内に配ったりする。
左写真の普通紅包とあるのは、配布人数を決めて定額を配布するやり方なので、グループが3人で自分以外の2人に同じ額を配る場合なおに使う。その上の方が、ランダム配布方式であり、右写真のように紅包の個数が8個で、総額100元などと指定する。
驚いたのは、忘年会のとき、ゲームや出し物をし、それが終わると微信でお年玉を配ることだ。最初のうちはスマホばかり触らないようにスマホは全員テーブルの真ん中に集めて、ということで始めるのだが、そのうち出し物をやっている最中も次のお年玉送信のために準備したりで、極端に言うとゲームそっちのけでお年玉送信、もらう方もいかに早くお年玉を取るかで、争うことになる。早い方が高額になるわけではないが、8人に配ったら8番目以内に取らないと当然もらえないわけだ。誰がお年玉を一番もらったか、を競いあったりして、なんだか互いに話をしたりということがほとんどなくなり変な忘年会だがこれもいまどきの中国の忘年会ということだ。移り変わりが激しい中国なので、これもそのうち別のやり方に取って代わられるかもしれないが。
滴滴打車
春節日本帰国は、格安航空会社の春秋航空9C8987便で、これは上海浦東空港8:40発と早い時間だ。一般的に国際線では2時間前空港到着と言うが、地下鉄の始発でいっても7:20頃になってしまう。
どうしようかと悩んでいると、春秋航空からスマホにショートメッセージが送られてきた。春節のピーク時期で安全検査も行列で時間がかかるので、明日の9C8987便搭乗の方は必ず120分前には空港に来てくださいとのお知らせ。また、9C8987便利用の方に微信(WeChat)のグループチャットが開設されているのでそこで必要な情報を得るようにという案内だ。各便ごとにグループチャットがあるのはけっこうすごい。
早速これに加わり、Spring Plus(ビジネスエコノミーの春秋航空の呼び名)だけど7:20到着で間に合うか聞いたが、ちょっと遅いとのこと。いくらチェックインだけ並ばなくても安全検査は並ぶのでだめということだろう。
すかさす別の人がタクシーは24H動いているからと、タクシー会社の電話番号を教えてくれる。別の人は滴滴打車(ディーディーダーチャと読む)の方が安いと教えてくれる。これはスマホでタクシーを呼ぶアプリ(ソフト)のことで、最近はこれでタクシーを呼ぶ人が多いので流しのタクシーがつかまりにくいというサービスだ。欧米ではUber(ウーバー)というのが知られており、日本でもどれくらい普及しているかは知らないが先日帰国したときにそれらしい表示のタクシーが走っていた。
これまで滴滴打車は、使ったことがなかったが、これはよい機会ということで試してみることに。ほんとはこういう失敗が許されない局面で初めて使うのではなく、もう少し近場で予行演習をしておきたかったのだが、ためらっている場合ではない。早速、微信のメニューから滴滴出行(正式サービス名はこう呼ぶらしい)を開き、迎車時間と場所、行き先を入力して発信。
1分もしないうちにすぐ返事がとどき、申し込み完了。数分後には運転手さんから電話がかかってきて確認完了。やはりアプリだけだとほんとに来るのか不安になるが、電話がかかってきたので安心できるというものだ。ここは、中国語が話せない人にとっては逆に壁になってしまうのだが。
翌朝迎車時間より20分ほど早く、迎車場所の確認連絡が入り、予定どおり朝4時40分に乗車。タクシーで空港に向かう途中に9C8987のグループチャットを確認すると多くの人が、私より出足の遅い状態でやりとりをしていた。離陸3時間前に空港に着いたのでおそらくグループチャット参加者のなかで一番早かったのではないか。支払いはアリペイでしようと思っていたのだが、朝一番の客で現金がほしかったのか、現金支払いを求められてしまった。
なお、滴滴出行アプリは今回微信のメニューから開いたが、支付宝のメニューにもあるし、単独でダウンロードしておいて使うことも可能である。
高速鉄道のネット予約
これまで高速鉄道は同僚に予約してもらったうえで同僚にお金を払っていたが、アリペイで払えるようになったので自分で買ってみた。ネットの手続きでは、のたうったような数字とアルファベットを読んで正しく入力することによって機械(コンピュータ)ではなく人間が入力していることを確認するステップがあるが、鉄道の予約時は、こんな確認を求めてくる。
この例ではクリスマスツリーと南瓜を選べ、と言っているのだが、中国人でないとこれはいったい何?というわけのわからないものが出てくることがある。しかも一つとは限らず全部選ばないといけないなかなかの難問である。
(2016/2/27)
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