製作記事

スイスWAB鉄道の車両製作

スイスWAB鉄道の車両製作

 

 スイスWAB鉄道(ヴェンゲンアルプ鉄道)のNゲージ車両を製作した。スイス登山鉄道Nゲージ・ジオラマのクライネシャイデック駅2番線に配置する情景のひとつにするもので、TOMYTECで言えば鉄コレ(鉄道コレクション)のような存在である。

 クライネシャイデック駅を発着する登山電車はWAB鉄道とJB鉄道(ユングフラウ鉄道)があり、軌道幅は900mmと800mmで異なるため、線路はつながっていない。私の製作したジオラマでは、線路は両方ともNゲージ(9mm幅)で共通だが、実物と同様につなげてはいない。そのため2番線に配置されたWAB鉄道はユングフラウ鉄道に乗り入れることはできず、どっちに行っても行き止まりの40cmほどしかないレールなのだが、せっかく作るので動くようにした。モデルとする実物はこれだ。写真は非常に遠くから望遠で撮影したものなので少しぼやけているが、ほぼ真横から撮っているため、水平のライン、垂直のラインがそれぞれ平行に写っており、図面化するのに適している。

 2019年時点での最新型だ。市街地を走るトラム(路面電車)のように、車輪の台車が車体の中に隠されたスマートな外観である。駅に置いておくだけならこの形に作れるが、走行モデルとするには、カーブで台車が車体からはみ出すので台車部の車体は切り欠き、台車に車体と同色のカバーをつけることにする。

製作方針

 上記写真の3両編成部を作ることにする。TOMYTECの鉄道コレクションNゲージ動力ユニットTM-22(14m級C)を中間車に組み込み、前後の先頭車は、Bトレインショーティー対応品であるKATOの小型車両用台車(11-098)を自作フレームに取り付けることにする。車体は、これまでに製作した駅舎と同様、シール紙にパワーポイントで作画した図を印刷したものを学校教育工作用紙(ボール紙)に貼り付けて組み立てる。100‰、133‰の勾配を登れるかどうかはやってみてのこととする。なお、購入した動力ユニット単品ではこの勾配を問題なく走行できた。※100‰は、1000mの水平距離を走る間100mの高さを上がる勾配のこと。

先頭車のフレーム製作

 KATOの小型車両用台車(11-098)は、丸穴にパッチンとはめ込むような構造なので、1mm厚のアルミ板に、φ3.2のドリルで穴をあけ、片側をφ6くらいのドリルで皿って、皿ってない側から台車をはめ込んだ。きついと台車が回転しにくくてカーブで脱線するので、スムーズに動く程度に丸ヤスリで穴を拡げた。スムーズに動く程度だと外れやすいが、プラモデルのようにきっちりとはできないのでやむを得ない。写真は工法確認用の試作品。

 この方法で取り付けられることがわかったので、2両分製作し、モーター車とつなげたところ。

 これで走らせると後ろからモーター車に押されている先頭車がポイントで脱線する。軽すぎるせいだ。そこで重しとして単3乾電池を1本ずつ背負わせてみる。

 これでポイントで脱線しなくなったが、今度は重くて、100‰の勾配が登れない。後尾の1両を外して2両編成にしても登れない。そこでモータ車にも単3乾電池を背負わせると100‰は登れるようになった。133‰は登れない。

 走行試験中にショート発生。車輪がアルミ製フレームに接触したためである。フレームの底面に絶縁テープを貼って対策。

 

 アルミフレームだけでは車体を取り付けにくいので、手持ちのシナベニヤ板(5.5mm厚)をアルミ板上にネジ止めした。この状態の3両編成で、上り100‰、下り133‰を走行できた。木材の方が切りやすいのでこれにしたが、厚すぎて窓枠の下端より上に出そうだったので、不精をせずにアクリル板(2mm厚)を使った方がよかった。

 

 さて、乾電池を背負わせたままでは車体が取り付けられないので、重しになるものを探した。この乾電池はキッチン用のはかりで計って23.0gだが、工具箱の中から出てきた何かの金具2枚と、動力車についていた重し1枚と取付用のネジ、ナット、ワッシャーを合わせて23.5gとなった。

 

 これらを組み合わせたものを両面テープでモーター車に取り付けた。ほぼピッタリの寸法と思ったが、中間車は天井に近いところが斜めに狭まっているため、もう2mmくらい押し込みたいところが入らず、台車の隠れ具合がいまひとつ不十分になってしまった。金具の横幅がもう少し狭いと本当にピッタリだったのだが、鉄製の金具を削るのはヤスリでは難しいのでここは妥協した。当初は半田を溶かして重しの形に成型しようかなどとも考えていたのだが、そういう面倒なことをせずに手持ちの金具でほぼピッタリだったことの満足感に負けてしまった。

 

車体の製作

 パワーポイントで作図し、シール式マットフォトペーパーに印刷したものを厚紙に貼り付け、カッターナイフで切り抜く。

 

 窓には、ダイソーで買ったアクリル絵の具の薄いプラパッケージをカットして貼り付けた。車体とフレームの取り付けはモーター車は、厚手の両面テープ、先頭車はボンド(タミヤクラフトボンド)を用いた。パンタグラフは、片持ちタイプの TOMIX PT-7113ーD形を購入して取り付けた。2個入りだったのに2箱買ってしまった(泣き)。

 

完成

 完成したのでWAB鉄道の線路に配置した。

 

禁断の相互乗り入れ

 ユングフラウ鉄道線に乗り入れさせてみる。

 本線の100‰勾配は上り、下りとも問題なし。回送線の133‰勾配は、下れるが上れなかった。2両編成にすると上りもOKとなった。因みに車両重量は以下のとおり。

先頭車(148) 14.5g
中間車(モーター車) 54.5g
先頭車(149) 14.5g

 参考までにTOMIXの箱根登山鉄道2000形サンモリッツ号の車両重量は以下のとおり。

2003(モーター車) 42.5g
2004 24.0g

 

 定位置に戻して、ユングフラウ鉄道と並べる。

JB鉄道線搭載カメラからWAB鉄道を動画撮影

 

 禁断の相互乗り入れ。アイガーグレッチャー駅に停車するWAB鉄道とすれ違い。

 

俯瞰動画

 禁断の相互乗り入れユングフラウ鉄道上り

 

 禁断の相互乗り入れユングフラウ鉄道(架空の)回送線下り

 勢い余って止まり切れず(笑)。

 禁断の相互乗り入れユングフラウ鉄道(架空の)回送線上り

 133‰勾配は上れずの実証映像。

 

以上

(2021/2/3)