御朱印集め

御朱印集め(12) 小田神社

御朱印集め(12) 小田神社

 島根県出雲市多伎町にある小田神社に昇殿参拝した。場所は、ひとつ前の出雲大社の一番最後に地図をつけたのでご参照されたい。

 出雲近辺の宿ということでネットを探したところ、「はたご小田温泉」という宿が見つかった。そのサイトの小田神社昇殿参拝プランでは、特別に豊玉姫様の御朱印が頂けるとあったので、山幸彦の妻で、大綿津見神(海の神)の娘の豊玉姫の御朱印にひかれて予約しようとしたが、満室のようだったのでふつうの宿泊プランで予約した。

 その後、宿のご当主より連絡があったときに、昇殿参拝しなくても豊玉姫の御朱印は頂けるかお尋ねしたところ、参拝時に申し込むと後日郵送でお授けくださるとのことで、さらに宮司様が常駐でないため、1日と15日を参拝プランの日に設定しているが、宮司様のご予定が整えば正式参拝も可能かということで、確認してくださった結果、宿泊の翌朝に正式参拝できることになった。参拝当日は9時に地元の若い女性ガイドの方が迎えに来られ、宿のバンで送っていただき、3分ほどで到着。

 鳥居をくぐって階段のあがると中ほどに隋神門がある。

 階段を上りきると拝殿、本殿がある。

拝殿

本殿

 手前の竹が挿してあるところは、四角く囲って旧本殿があった場所を示している。

御由緒

 

御祭神

主祭神: 火遠理命(ほおりのみこと)

 彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)と同じ。山幸彦として親しまれているが、あるとき、兄の海幸彦と道具を交換し、その際に山幸彦は全く魚が釣れなかったばかりか、釣り針を1本なくしてしまった。自分の剣をつぶして500本、さらには1000本の釣り針を作って償おうとしても兄は許さず、塩椎神(しおつちのかみ)のアドバイスにより小船で綿津見神(わたつみのかみ=海神)の宮殿に行き、そこで豊玉毘売に出会う。

配祀神: 

豊玉毘売命(とよたまびめのみこと)

 豊玉姫と同じ。綿津見神の娘である豊玉毘売は、火遠理命にひとめ惚れし、火遠理命が天つ神の御子であることを見抜いた綿津見神がふたりを結婚させ、3年間海の宮殿で過ごす。

鵜葺草葺不合命(うかやふきあえずのみこと)

 火遠理命が海の宮殿から戻ると、ある日豊玉姫が子を産むために訪ねて来た。そして波打ち際に鵜の羽を葦に見立てて産屋を作ったが、その産屋をまだ葺き終わらぬうちに、生まれたのがこの鵜葺草葺不合命である。またしても駄洒落のような名前である。→出雲大社の御由緒のところに登場した櫛名田比売(くしなだひめ)を参照。

玉依毘売命(たまよりびめのみこと) 

 玉依姫と同じ。鵜葺草葺不合命が結婚されたのが豊玉姫の妹である玉依姫、つまり叔母にあたる方を娶ってお産みになったのが神倭伊波礼毘古命(かむやまといわれびこのみこと=磐余彦)、すなわち後の初代神武天皇である。

ということで、小田神社では万世一系の皇統に直系でつながる神々をお祀りされていることがわかる。

昇殿参拝

 拝殿正面。灯りがともされている。

 思いがけず、ガイドさんが写真を撮ってくださっていた。

 子供の結婚や、孫のお宮参りなどで祝詞をあげていただいたりお祓いを受けることはあっても、自身がお祓いを受けるのは、自分たちの結婚式以来初めてのことで、たいへん喜ばしいことであった。

 結婚やお宮参りの場合はそれぞれ参拝の目的があるわけだが、今回の場合、明確な目的があるわけではないので、何をお祈りするか尋ねられるかなと思い、もし問われたら、ここはやはり海に因んだ神様が祀られているので、日本の海の防衛をお願いするつもりだったが、そのようなことはなく、私たち自身についての健康や幸せをお祈りしてくださったようだ。

 お祓いの最中に宮司さんご自身が神楽舞を舞ってくださった。これまで宮司さんの神楽舞を見たことはなかったが美しい舞いであった。天の石屋戸にお隠れになった天照大御神に出てきてもらうために天宇受売命(あめのうずめのこと)が舞いを舞った光景を、シチュエーションは全く異なるものの、時空を超えて想像してしまった。

 お祓いが終わった後、ガイドさんにお願いして、宮司さんと少しお話をさせていただいた。神様には、絵は見たことがあっても、仏像のような形のある像というものをあまり見たことがないので、御本殿にはそういうものか、あるいは鏡や玉といったものがあるのかお伺いしたが、これについては畏れ多い質問だったようで、そういうものがあることもあるがということで明確にはお答えいただけなかった。そう言えば、出雲大社御本殿の御神座は西を向いており、鹿島神宮の御神座は東を向いているというが、それぞれ御祭神の像があるのだろうか。大国主命は、出雲大社の境内にムスビの御神像があったが、本殿にも同様の御神像が鎮座されているのだろうか。鹿島神宮の建甕槌神は剣豪だったので、剣が安置されていそうな気もするが、建甕槌神の直刀は宝物殿にあるとのことなのでどうなのだろう。

 出雲大社本殿の御神座が西を向いていることについては、異界の方を向いていらっしゃるとのことだった。異界というのは黄泉の国のことかと問わせていただくと、海のことだそうだ。つまりは海の向こうの外国をにらんでいるということなのだろうか。稲佐の浜の夕陽はきれいだったが、西方の外国から国を守られていたということなのだろうと理解した。改めて地図を見ると真西に朝鮮半島、そしてその向こうには中国大陸があるので、神代の昔から海の防衛は、喫緊の課題だったのだ。現代に生きる私たちは、平和ボケしてぼんやりしている場合ではない。

 本殿西側の小径を上がると、海が見えた。昔、この神社は海の中の岩の上にあったとのこと。

 帰り際に、鳥居の脇の灯篭の浮き彫りに気が付いた。海に縁のある神社なので波が表現されている。

御朱印

 出雲國豊玉姫之宮 小田神社と書かれている。なかなか素晴らしい御朱印で満足。

 御朱印の他にも以下のものを頂戴した。御守りは、神棚の前に安置されている玉に触れて、神様の霊力を移し入れさせていただいたものだ。撤饌(てっせん)は、お供え物のことで中身は金平糖(こんぺいとう)だった。

 小田神社では、昇殿参拝をさせていただき、宮司さんとお話をさせていただく貴重な経験が得られ、さらに深く日本の古代に思いを馳せることができた。この機会を作っていただいた、はたご小田温泉さんに感謝したい。

以上

(2021/10/16)