復活の経緯

復活の経緯

こうして振り返ってみると、アマチュア無線をやっていたのは高校生の頃のごく短い期間でした。あの頃は、パソコンやインターネットのないアマチュア無線全盛時代でした。多くの方がアマチュア無線を始め、しかしすぐにやめると古くからやっておられる方が批判されており、私自身もメーカー製のリグ(無線機)を買って、少しやってあきたらやめる、ということについては批判的で私はずっと続けるぞ、と思っていました。

ところが、高校で始めるとすぐに受験でやめざるを得ません。少なくとも中断せざるを得ないというのが普通の高校生だったと思います。
私も深夜声をひそめてQSO(交信)をしていると、気づいた母から勉強しないでまだやってるの、とよく叱られたものでした。

この頃作ったクリコン+高1中2の50MHz/HF用受信機を先日取り出してみると、意味のわからないスイッチが2つありました。さわってみてわかったのですが、

  • 1つ目は、スピーカーを切るスイッチ
  • 2つ目は、ダイヤルとメーターの照明を切るスイッチ

つまり、廊下で母の足音がするとこの2つのスイッチをすぐに切って、勉強をしている風を装うことができるようにしたものであろうことが想い出されました。何のスイッチがわかるように改めてテプラで貼っておきました。

クリコン+高1中2受信機

その後、大学生の時代に50MHz SSBトランシーバを自作するも完成に至らず、就職後は四六時中オシロやロジアナとにらめっこという生活になり帰宅後まで電気関係の趣味などもうけっこうということでアマチュア無線にもすっかりご無沙汰していました。

時がたち開発から離れると、ものづくりの気持ちがむくむくと持ち上がってき、同好の友人と自作機の動かなかった回路の話をしているうちにこれを修理して電波を出すなら免許がいるな、しかし昔とった電話級では何かなという気になってきました。

調べてみると3級というのがあり、50Wも出せる、電信も出せるけど、なぜか電信実技試験はないみたいだ、ということで早速2011年2月の養成課程講習会に申し込みました。
ところが受講票が送られてきてびっくり、試験の答えはモールス符号で答えるものがあるので、当日までに覚えてくるようにと。

やむなく1週間でとにかく英数記号だけ覚えました。結果、丸一日の講習と試験で難なくパスしましたが、昔は電信実技のせいで全く手を出すことを考えなかった1級も、もしかしたら今では簡単になっているかもと思い講師の方に尋ねてみると毎分25文字の英文受信のみとわかりました。
速攻で1アマ受験本をAmazonで買って見てみると、長年電気関係の仕事をしてきたので、無線工学の7割方はよく知っているか見たり聞いたことはある、残り3割はこんなのあったっけ、という状態でした。

これなら4月の試験に何とか間にあうと踏んでとにかく全問題を頭から順に解くとともに、モールスのCDも買って耳からも覚えました。

1アマ教材

無線工学は、電気の基礎知識の総復習ということで知らなかったことは注入しながらも流石に何とかなるという自信がありましたが、厳しかったのはモールスの受信です。街角の英文の看板や電話番号を見てモールスでツートツートと言うのはできるけれど、聞き取りはなかなかできず苦労しました。どこかでブレークスルーがあったということもないのですが、通勤時にもモールスを聞きながら何とか試験のときは2,3箇所の間違いで済みました。

そういえば、モールスを覚える段階では、前述の友人に携帯メールでモールスの練習につきあってもらったりしました。ツーは長点なので3、トは短点なので1と決め、3131 3313 3131 3313 これでCQ CQとするものです。友人は40年前に1級をとった電信上手なのですが、音で聞かないとよくわからないと言っていやがっていました。

なお無線法規は、「どれが本当に正しいか」、ではなく、「法律の文言にどう書いてあるか」を試験では問うてきますので、自分の常識と直感で答えて間違った問題は、単語カードをつくってとにかく無理やり覚えました。

ともあれ受験後自己採点で合格の目処がついたので、自作機を修理するにもまずはアンテナということで、5月の連休にまずはアンテナを立て、さらに6月には自作機の修理・改造用にディップメーターを作りましのでこの辺りからご紹介してゆきたいと思います。

なお、5月中頃には晴れて1級の無線従事者免許証を手に入れましたが、本年10月の国家試験からは、電信実技(受信)は実施しなくなるそうです。
せっかく苦労して取ったのに、と言いたいところですが、昔、高速の和文送受信で取った人に比べれば赤ん坊みたいなものですし、それでも今後取った人には電信実技試験を合格したということで少しだけいばれるかな、ということで時代の流れを受け入れることにしましょう。

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