中国渡航記

春節の帰省切符争奪戦

春節の帰省切符争奪戦

 昨日の元宵節(春節から15日目の満月の日)を最後に春節気分が消えてゆく中国だが、毎年中国人にとって春節の帰省切符を手に入れるのは大変である。

 お金のある人から順に飛行機、高速鉄道、列車、バスで帰省することになるが、ここのところ全国展開が目覚ましい高速鉄道(日本の新幹線相当)はリーズナブルな値段で人気が高く、切符の入手は困難を極める。

 昨年の春節は上海の友人が高速鉄道の帰省切符が予約できず、結局直前になり泣く泣く一番高い値段になってしまった飛行機で帰省するということがあったのだ。いったい君は何年中国人をやってるんだ、都会で働く中国人はみな帰省するのにどうしてこんなことになるのだ、と思ったものだ。今年はそうならないように春節のチケット発売1ヶ月前に注意喚起をし、その後どうなったのかを紹介する。

 中国鉄道お客様サービスセンターで予約

 今年の春節(日本の元旦にあたる)は1月28日で、その数日前から五月雨的に帰省が始まるため、中国鉄道お客様サービスセンター(中国語では中国鉄路客戸服務中心)では1月24日の一ヶ月前の12月24日午後1:30から春節の切符の予約受付が始まる。

 ちょうどその日の朝、そろそろ春節の切符予約かと思い出して友人に連絡すると仕事の忙しさに紛れて忘れていたようだったが、それでも調度間に合った。夜、どうだったか結果を聞くと、2時過ぎに1/24の切符を予約しようとしたが、売り切れて取れなかったとのこと。

 予約の方法は、スマホで中国鉄道お客様サービスセンター(12306.cn)にアクセスするのが一般的で、私も蘇州、寧波などへの外出・出張時はこれで予約する。

12306.comの予約画面

 

 これは、12/24の夜、1/25の列車の予約状況を調べたときの画面。

 1等、2等、无座(無座=立ち席)ともにまだ残席が表示できる状態でないため*印となっており、13:30発売開始となっている。

  さて、初日はだめだったので翌日1/25の切符を1時半になったらすぐ予約できるようその時間だけは仕事を代わってもらって待ち構えているようにアドバイス。でも、あっけなく売り切れ。さらに翌日1/26の切符もだめ。

 聞くところによると発売開始後、数秒で売り切れてしまうそうだ。携帯電話の電波が弱い、ネット接続のスピードが遅い(4Gでなく、3G、さらに2G接続の場合)と不利とされる。

切符争奪アプリを使用

 いったいみなどうやって切符を取っているのだろうか。高速鉄道をあきらめて、場所によっては30時間もかかるような長距離バスに乗ることを厭わなければ取れるようだが、長時間であることの他、安全性の心配をしたりするとなかなか取れない事態になる。

 そこで会社でやはり地方に帰省する人に聞いてみると、スマホのアプリを使うとのこと。これはCtrip(携程網)という大手旅行予約サイトのアプリで搶票(チャンピャオ=切符を奪い取るの意味)というのを使うそうだ。それに申し込んだので、大丈夫ですよ、取れますよ、と大船に乗った感じだった。なんでも春節の直前になると80%の切符がキャンセルされるので、どうしてもこの日に帰りたいと言わなければまず間違いなく取れるのだそうだ。

Ctripのアプリ入口

 赤丸をつけたところが搶票(抢票)の入口である。

 
アプリの説明

 

 このアプリの説明:

1.何本もの列車、何種類もの座席、何日分のがいっぺんに申し込みできる

2.発車の1,2日前に80%の予約がキャンセルされるので直前まで忍耐強く待つように

 などと書かれている。

  なお、手数料は30元(約500円)で前払い。希望する列車が取れなかった場合には返金される。
希望列車を指定

 日程を指定したあと、出発地、目的地を指定すると、武漢周辺の武漢(武汉
)と漢口(汉口)行きの列車が表示されるので全部チェックを入れる。とりあえず、武漢と漢口は近いのでそこまで行ければあとは何とでもなるということで。

 列車番号の頭がGは高速鉄道(Gaotie)、Dは動車組(Dongchezu)でDはふつうGより少し遅いのだが、逆のこともあり正直に言って違いがあまりよくわからない。車両のタイプが違うこともある。

  確定すると次の画面になる。
これで安心?

 指定した列車番号や座席の種類が表示され、予備の日として別の日もたくさん指定するよう提案している。


 席が取れる成功率は、この状態で70%だそうだ。 

  私は中国のどこかに帰省するわけではないので、ここまで調べたところでやり方を友人に教える。

結果

 友人はどうしても1/24に帰りたかったが、結局前日までに1/24の切符はとれず、別に手配した1/24の航空券で帰省し、帰省後1/26の切符が取れたと知らせがあったとのことであった。年末は仕事に追われ、アプリを使って申し込んだのは年が明けてからだったのでまあが仕方ないところだろう。

 希望日の切符は取れなかったが、1/26は大晦日の1日前なので人によっては十分許容範囲と思う。

 因みにこれを教えてくれた会社の人は12/24よりもだいぶ前に申し込んでおいたので1月の上旬くらいには希望日の列車が取れた知らせがあったとのこと。

 しかし、コンピュータで発売と同時に大量に座席を確保し、それを手数料をとって売り捌くというのはどうなのかなあ、という気もする。

 以前はコンピュータによる自動大量予約を防止するために、中国鉄道お客様サービスセンターの予約画面には最終確認のところで、人間でないとわからない絵合わせクイズのようなものがあったのだがそれが昨年末からあるエリアの高速鉄道では廃止された(上海から予約するときもなくなっていた)のはどういうことなのだろうか。

 考え方によっては、携帯電話接続環境の優劣で取れる人と取れない人が出るよりは、全部コンピュータに取られてしまったあとそれを再配分する方がいいのかもしれないが。でもこういうことを知らない人は当然いて、知っている人が得をするのは世の習いかもしれない。

(2017/2/12)

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