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独検2

独検2

 昨年ドイツ語検定試験5級と4級にパスしたので、今年は3級にチャレンジした。去年もそうだったが、受験者の大半は学生と思われる若い男女で私のようなシニアはほどんどいない。

 今回の試験であれっと思ったのは、後半の聞き取り試験で、問題用紙を開いてから問題音声を会場に流す放送装置の試験か何かでピーという音が鳴って1分くらいポーズ、またピーと鳴ってというのが3回くらい繰り返されるのだが、最初のピー音で、周囲の学生がシャーペンで何かを書き始める音がしはじめ、そのうちカツカツと問題用紙をとおして机を叩くシャーペンの音が会場を覆いつくした。私は、もう既に問題の放送が始まっているのに私の耳にだけは聞こえていないのかと一瞬耳を疑ってしまった。でも、これは問題用紙に書かれている絵が何を表しているのかドイツ語で書いたりとか、問題音声の放送が始まるまでに最大限の準備をしておこうということだろう。多分第二外国語のドイツ語授業で独検受験が必須?になっていて、聞き取り試験への臨み方としてあらかじめ授業でそう指導されているのかもしれない。私も数か所、絵のドイツ語を書いて待っていたので、そういう想像はついたが、あまりに皆熱心にシャーペンを走らせるので一人取り残されたように感じたのであった。

 そういえば去年の同時期に私が書いた独検のブログで、問題音声の中の「レストラン」の発音がフランス語なまりで変だったということを書いたが、3級対策の聞き取り練習のなかで、やはりレストランはフランス語ぽく録音されていることに気が付いた。調べてみるとレストラン(Restaurant)という言葉はもともとフランス語で、これがドイツに外来語として入って来ているので、もとのフランス語の発音をまねて発音されているのだろう、ということに気が付いた。恥ずかしいことを書いていたが、こういうことがわかってくるのも外国語学習の面白さである。

3級で覚えること

 単語もそうだが、動詞と前置詞との組み合わせや、動詞の現在形、過去形、接続法第1式現在、接続法第2式現在、接続法第1式過去、接続法第2式過去という変化形と各々の変化形に対応する人称格変化などを3級ではそこそこの数の動詞について覚えなければならない。規則変化動詞だけならそうでもないが、不規則変化動詞、特殊変化動詞があるのですごく大変だ。変化の前に、動詞の基本形の意味だって覚えなければいけない。しかし還暦を過ぎたシニアの頭では覚える端から忘れて行く。これをどうやって試験の時に記憶のピークに持って行くかが大きな課題だった。試験の時に、というのはその後は電子辞書を調べてわかればよいという考えだ。

 そもそもなぜ3級を受けたかというと、旅行会話くらいなら4級レベルでほぼ間に合うのだが、例えば旅先でお世話になった人にメールでお礼をするとなると、ほとんど現在形だけの4級まででは表現しきれないのだ。そこを時制表現が範囲となる3級を受験することによってできるようにしようというのが動機である。受験するのは、ひととおり3級レベルを理解したかの確認のためなので、それが確認できれば試験終了後は忘れてしまっても辞書を引いてわかれば十分という考えだ。

スマホ単語帳の活用

 去年のブログでもスマホ単語帳について触れたが、例えば動詞と前置詞の組み合わせにしても、例文とその日本語の意味を入力する必要がある。これをスマホの小さいキーボードから入力するのはかなり面倒な作業だ。そこで、音声入力を試してみた。ドイツ語キーボードを出している状態でマイクボタンを押してドイツ語の例文を話すと、結構まともに認識してくれる。ときどき自分の発音が悪いのか簡単なところでひっかかって何度入れても入らないこともあるが、7,8割がた正しく入力される。日本語の訳文は、日本語入力画面でマイクボタンを押して話すと、99%くらいちゃんと入る。それで入力効率は上がったのだが、これは良し悪しだ。1文字1文字ポチポチと入力していく方がノートに手書きしていくのと同じで自分の脳に刻み込む効果は高いような気がする。一方音声入力にしてしまうと、ドイツ語を正しく発音する訓練になるという意味において、3級でも出題される発音問題の対策ともなるが、すらっと読んで認識されてしまうと脳にはあまり刻み込まれない気がする。ただ、ノートに手書きしても1回で覚えられるわけではなく、結局何度も見返して間違えたところは繰り返しやるのが単語帳なので、入力段階では効率重視で入れると割り切ってもよいと思う。なにせ学習期間は4月頭から6月23日の試験日まで2ヶ月半あまりなのでこの期間で集中的にできるやり方とした。

 音声入力中の画面イメージはこんな感じ。

 このスマホ単語帳はカードの色が変えられるので、入力後カードをめくってできなかったところは最初は白色だったのを黄色に変え、次回また間違えたら、橙色、赤色と変えていくことができる。正解したら、ひとつ前の色に戻すという使い方をした。入力後3サイクルくらい通してやったが、直前復習は色が付いているカードだけを見るというような使い方ができて効率がよかった。なお、3級対策での入力カード枚数は、26フォルダーに分け、合計623枚だった。これを紙の単語帳でやると相当かさばるので外出時に全部を持ち歩いて覚えることはできなかっただろう。

聞き取り練習

 3級対策本の模擬聞き取り試験は、早くて聞き取れない、数字が聞き取れない、など課題が多かった。耳を慣らすためにインターネットの無料ドイツ語ニュースサイトのようなものを少し見てみたが、これが3級の試験に適切なレベルかよくわからないので、「新・独検対策4級・3級必須単語集(CD2枚付き)」(白水社)をウォーキング中に何度も繰り返し聞いた。4級は比較的簡単だったので、こちらは無視して3級の方だけを聞いた。

 最初の1回は、3級の分169例文を本を見ながら聴き、あとは歩きながら耳だけで聴くが、これだとスペルがわからないところが多く、シャドーイングができない。1つの例文がドイツ語、日本語の順で録音されており、日本語のあとでもう一度ドイツ語をやってくれるのだが、ドイツ語を2回やってくれてもやはり一緒についてドイツ語を話すことができない。

 そこで1ヶ月あまり聴いたところで、全例文をドイツ語だけ聴いて書き取る訓練をした。止めては戻し再生しては戻しで、わかるまでやる。これをやったあと、ほぼすべての例文のシャドーイングができるようになり、耳もだいぶドイツ語を聴きなれてきた。この学習方法の問題は、何度も聴いていると、数語聴くとどの例文かわかるようになり、日本語訳全体が、塊となって頭に浮かんでくることだ。逐語的にドイツ語から日本語に変換するわけではないので、単語の語彙を増やすという目的からすると、例文中の単語を一語だけ取り出して見せられた場合にはその単語の意味が分からない恐れもある。それでも耳は慣れ、本番の聞き取り試験では、昨年の4級よりゆっくりとしたスピードで録音されていたので、わりと聴き取ることができた。また、この本では例文番号が1から169まで、読み上げられるので、2桁、3桁までの数字の聴き取り訓練として役に立った。因みにこの本に出てくる単語が独検4級・3級に出てくる単語のどれくらいをカバーしているのかは本にも書かれておらず不明だった。

(2019/6/24)