JJY受信機

JJYとは
NICT情報通信機構が発射する電波時計のもとになる標準時刻電波のことです。JJYは、その送信局のコールサインです。
詳細は、https://jjy.nict.go.jp/index.htmlによりますが、一部引用します。


製作の目的
私が十数年前に購入いたシチズンの電波ウォッチは、強制受信させようとしても受信できないことが多いため、JJY標準電波を受信して増幅、再放射することにより強力な電波を受信させようと考えました。


発想の元
中学生の頃に作ったトランジスタラジオの部品が、何かに使えるかもしれないと捨てずにとってありました。JJYの長波40KHz(もしくは60KHz)は、AMラジオ(中波(526.5KHz~1606.5KHz)と周波数的に近い、一桁しか違わないので、このバーアンテナとポリバリコンを使い、コンデンサを並列接続すれば、JJYの電波が受信できるのではないかと考えたのです。
初期の回路構成
指を回路に触れると放送が聴こえました。別のラジオで確認するとNHK第二放送と判明。
ラジオ少年時代に住んでいた東京23区内と比べ電波が弱く、ここ茨城県では人体アンテナでなんとか聴こえる程度です。
何とかAM放送が聴こえましたがNHK第二(693KHz)は、中波帯の下の方なのにバリコンをほぼ右に回し切った辺りで聴こえます。
→バーアンテナ(300μH)、ポリバリコン(300pF)と思いこんでいましたが違うのでしょうか?
そもそもこのバーアンテナとポリバリコンをセットで使っていたかどうかも不明です。
→調べるとAM用バーアンテナは600μHとか、ポリバリコンは150pFとかもあることが判明しました。
ツートーン発振器から40KHz前後を入れるが全然雰囲気がありません。
このバーアンテナのフェライトは中波帯用ですが、はたして長波帯40KHzは通るのか?という疑問が浮上しました。
→そこで2次コイルを使わないで、1次コイルから直に取り出すため、ハイインピーダンスで受けられるFETアンプに変更しました。
FETアンプの周波数特性を測ってみると、同調周波数を40KHzに設定したつもりが、26.89KHzになっていました。
以下の数値で周波数が半端な値なのは、音声帯域用の自作のツートーン発生器が100KHzくらいまでは出るので流用しているけれども高い方は細かく合わせられないため出た周波数で測っているためです。

f=1/2π√LC
C=0.0527μF
f=26.89KHz
から逆算すると
L=665μH
となります。
L=300μHと思い込んでいましたが約2倍あります。
そこでL=665μH、
f=40KHzから
計算すると
C=0.023806μFとなり
±5%のJ品では
22000pF+1000pF+1000pF=24000pF=0.0024μFとしました。
この結果、下図のよう同調周波数が40.16KHzになりました。


入力なしでは、スピーカーからホワイトノイズが「ザー」と聴こえるますが、40KHzを入力するとピタッと無音になります。
→想定どおりです。
しかしとてもJJYは聴こえません。
そこでオペアンプ使用のBPFを作りました。
→手持ちのLM358で作りましたが、各ピンの直流電位がおかしいです。不良品でしょうか?
→秋葉原に買いに行くのは大変なので、もしやと思いAmazonを見たら、オペアンプを売っています。
JRC NJM4580DD(4個で749円)を発注
LM358は利得帯域幅積=0.7MHzでしたが
NJM4580DDは、4558の後継で広帯域化(利得帯域幅積=15MHz)、低ノイズ化品です。DDは選別品です。

BPFは所定の特性が出ていましたが、JJY信号は聴こえません。

バーアンテナの2次側コイルは使わなくなったので、これに中波AM放送用ループアンテナを繋げてみました。
このフェライトコアは中波帯用で長波40KHzを通すのかという疑問と矛盾していますが、フェライトの特性は不明です。もし通るなら、これがループアンテナとの結合方法では最良と思われます。
これはJJYの信号なのでしょうか?
聴いた感じはそれっぽい??
そうあってほしいと思うからそう聴こえるのかも。
しかし波形(検波後)は、周期があっていません。5mSレンジ。

電波の長波帯の40KHz 60KHz 周辺で使っている 電波はJJY以外にあるかのでしょうか?
AI による回答概要
日本国内の40kHzと60kHzの長波帯は、NICT(情報通信研究機構)が運用する標準電波JJY専用の周波数帯として割り当てられています。そのため、この周波数帯で、JJY以外に放送を行っている電波局はありません。
ただし、JJYの電波が届きにくい場所(建物の中など)で電波時計の時刻補正を可能にするため、JJYの信号を中継して再送信する機器が利用される場合があります。これらは、JJYの信号そのものを増幅して送信しているため、厳密にはJJY以外の電波源とは異なります。
なお、40kHzと60kHzは、それぞれ以下の送信所から送信されています。
40kHz(東日本): 福島県大鷹鳥谷山
60kHz(西日本): 佐賀県羽金山
→ということでこれ以上選択度をよくする必要はなさそうです。
受信感度はどれくらい必要か?
中継増幅するだけなら、さほど必要ないが、信号を見たい場合、
無線機と同様とすればアンテナ入力端で1μVが受かれば十分だろう。
1μVを受信して、これを1Vレベルまで増幅すると、
20log(1V/1μV)=120dB 必要
レベルダイヤ
初段Q5 2SK17 G 240mV D 1.04V 20log(1040/240)=12.7dB (実測値)
2段目Q1 2SC1815 B 64mV C 2.7V 20log(2700/64)=32.5dB (実測値)
Buff U2-7 NJM4580DD 20log(220KΩ/20KΩ)=20.8dB (計算値)
BPF U2-1 NJM4580DD 46dB(シミュレータ計算値)
以上高周波で112dB
AF U1 LM358 20log(560KΩ/56KΩ)=20.0dB (計算値)
合計132dB
BFOとプロダクト検波器の製作
ノイズに埋もれたJJYのA1B信号(搬送波の断続)を聴くにはBFOが必要ではないかと考えたため、プロダクト検波器と合わせて製作しました。


BFOはオペアンプ(NJM4580DD)によるウィーンブリッジ発振器、プロダクト検波器は、デュアルゲートMOS-FETの3SK291で、これがチップ部品のためつけるのが大変でした。
“CQ CQ”ではなく”CQ”1回だけでした。

結合試験(OSC入力)
結合試験(JJY電波)
全然聴こえません。オシロの波形も変です。
確認すべきこと(R7.11.12.確認済み)
1.外で聴こえるか?
北向きの作業部屋は、ラジカセでもAMラジオはよく聞こえないので、回折しやすい長波の電波とはいえ屋内では受信しにくいかもしれない。
→外(庭)でも受信できない。
2.SEIKOの電波WATCH(新しい方)が北向きの作業部屋で受信できるか?
→受信できた。(下記参照)
3.JJYは、停波していないか?
→前項で受信できたので出ている。
JJYの運用状況を調べたら時々停波しているが、1分以内の短時間。

なぜJJYは聴こえないのか?
使用した50年以上前の中波AM放送用バーアンテナが長波40KHzに対し、電波を集めないどころか排除するように動いていないか?(40KHzでコアの損失が高いとか?)巻き線も切れたりしたので錆びたりしてるかも。
バーアンテナコイルのインダクタンスに比べて、コンデンサの容量が大きく低感度な構成になっていることは確か。Cは、1桁大きい。
→別のバーアンテナ(やはり50年以上前)に変えてみるか?
→空芯で断面積の広い40KHz用のアンテナを巻くか?
→ゲルマラジオ用スパイダーアンテナ風?
→新しいフェライトとリッツ線を買ってバーアンテナを自作するか?
→40KHz BPFをもう一段つなげてノイズの海から掬い上げる。
などと悩んだのでありました。
ここでちょっと世間ではどうやっているのか調べてみました。

電波時計用と見られるフェライトアンテナは巻き数1000回以上、インダクタンスは20mH程度もあるということがわかりました。これは中波AMラジオ用の300µHでは完全に力不足ではないか。アンテナを何とかしなければ、という考えに急速に傾きました。
バーアンテナの製作
旧ミズホ通信の中波帯アンテナ事業等を引き継いだという千石通商さんからバーアンテナ製作キットを購入しました。
リッツ線1巻き5メートルとバーアンテナのセットです。リッツ線はキットとは別に2巻き購入しました。

フェライトは絶縁物ですが、すべすべして滑りやすいので滑り止めも兼ねてポリエチレン製の絆創膏を貼ります。

リッツ線は0.04mm30本撚りですが、巻き癖をとるために円柱状のものに巻き付けます。

被覆を剥がしただけでは導通確認ができないのですずメッキ銅線を半田付けします。

1層目、ℓ=95mm 1巻き約5mを使い切りました。

1層目直流抵抗6.6Ω、巻き数187T

二層目は巻き癖を入念に除去します。

1層目+2層目 直流抵抗=12.0Ω
2層目巻き数168T
2巻き目も使い切りました。長さは、1巻き目の方がやや長かったのようです。

2層目 ℓ=77mm

3層目、こういう巻き癖は取れにくいです。

3層目、巻き癖をさらに入念に除去します。

3層目、単体直流抵抗=4.8Ω

1層目+2層目+3層目 直流抵抗=15.4Ω
3層目 巻き数155T
全体で510T

2次側リンクコイル
リッツ線は使い果たしたので、0.29UEW 巻き数24T
リンクコイルの巻き数は何回巻きがよいのかよくわからないのでここでは適当ですが、あとでじっくり見直した評価結果が出て来ます。

ケーブルクランプで基板に取り付けました。

出来たバーアンテナのインダクタンスは、40KHzに同調したときのCの値から、11.14mHと確定しました。
カシオ計算機・東工大の論文のインダクタンスの半分くらいですが、桁があっているのでいいでしょう。

素晴らしい特性です。これならきっとJJY信号を捉えられるでしょう!
自作バーアンテナを導入した時点での回路構成は以下のとおりです。L1がバーアンテナの1次コイル、L2が2次コイル、L3は試験用の信号を入力するためのテスト用コイルです。

JJYは受信できたのか?
受信できませんでした。
気になる点、やってみること:
1.BPFがすぐサチる。
2.BPFの前のBUFFを周波数特性測定用にゲイン1に落としたままなので、10に戻す。
3.初段2SC1815の負荷を抵抗からRFCに変える。
4.BPFをもう1段追加する。
5.電源電圧が5Vと低いため、ダイナミックレンジが取れない。
→12Vに上げるか。
6.バーアンテナの指向性が強いかもしれない。向きを振ってみる。
JJYは水平偏波?垂直偏波?
7.中国製オシロスコープの周波数測定がいい加減?
→DIPメータ内蔵の周波数カウンターで測ってみる。
→430pF 3連バリコンを使って周辺の周波数を見てみる。
主要な問題点を詳細に検討します。
BPFがすぐサチる

①BPF用オペアンプの非反転入力の2.5Vが5Vから単に抵抗分割で作られていたので、インピーダンスが高く、ノイズ源になっているのではないか?対策:抵抗分割で作った2.5Vをオペアンプのボルテージフォロワをかますことで、低インピーダンス化する。→効果なし
②BPFがゲインを取り過ぎ(約200倍=46dB)なのではないか?
下図で、40dBの利得は40KHz辺りから低下し始めていることがわかる。これを46dBも取ると10KHz辺りから利得低下すると見られ正常動作、マージンのある動作が期待できない。

→こんなことは、これを読むような人には当然のことで、何を馬鹿やってんだ、ということだと思いますが、ネットの設計サイトでゲインを設定せずにデフォルトの最大ゲインでやったのが失敗でした。
対策:ゲインを10倍=20dBに落とす。
これなら100KHz超までマージンを持って動作できます。
→すっきり爽やかなノイズになりました!
③NJM4580DDは、ふつうの正負両電源用オペアンプのため、単電源用オペアンプのように出力振幅が電源電圧いっぱいまで取れません。
+5V単電源で使うとグランドから約1.5V、電源側から約1.5Vsat電圧が取られるため実質2V程度しか信号振幅が取れず、サチりやすいです。
→こんなの常識!

ツートーン発振器を作ったとき(2013年)は、単電源用オペアンプNJM2732D(0Vから電源電圧までフルスイング)を使ったのに、今回はすっかり忘れていました。
Amazonでオペアンプを売っていたので飛びついてしまったのでした。
その後、今はやりのAIさん(GoogleのGemini)と話していたら、NJM4580は±15Vなどの電源で元気よく使うと性能が出るが、5V単電源だと、電源電圧から1.5V内側のあたりの挙動は怪しくなるなどと言っていました。
+12V電源に改造
手持ちの12V電源のうちどれがノイズが少ないか調べてみました。



スイッチングノイズはないものの、商用周波数(50Hz)の2倍のリップルが大きいです。

54年前に自作したドロッパータイプのAVR(定電圧電源)が、一番ノイズがきれいだったので、これで進めることにしました。
しかし、まだ見えません。
JJY信号を見えるようにするために徹底的にノイズ(波打ち含む)を減らす必要があります。
→+12V電源をAC電源から、DC電源に戻すことにしました。
単三乾電池8本に変更しました。

ところが電池にしたのに、BPF2の出力が波打っています。
波打ちの中身は40KHzで発振している模様。
バーアンテナの2次側リンクコイルを短絡すると発振は消える。
→波打ちは、+12V電源化してから発生と見られる。ダイナミックレンジ拡大により発振しやすくなった。
→信号系の結合防止、電源系のデカップリング等対策を行う。
と思ったら、
波打ちはオシロのノイズを拾っていることがわかりました。強力なバーアンテナがJJY信号よりも近くにあるオシロが出すノイズを拾っているのです。
波打ち波形写真と菓子の缶に入れてシールド対策している様子です。

いろいろやってますが、このもやもや波打ちするのには相当うんざりしました。しかし途中であきらめるわけにはいきません。

発振対策
◆電源電圧と発振強度の関係
電圧 CP RF2(オシロ測定値) 目測値
単三電池8本(12V) 68mVrms 200mVpp
4本(6V) 56mVrms 50mVpp
3本(4.5V) 52mVrms 10mVpp(それでも発振している)
◆バーアンテナの2次側リンクコイルを逆接続すると位相が逆転して発振しなくなるのではないか?
→変わらず
◆アンテナをアルミホイルでくるむ(タラのホイル焼きみたいなやつです)
→効果大

ということは基板側をシールドしてもよいはずです。
サンハヤトの高周波用メッシュアース基板があったのでこれで2SC1815部を新規に組立てシールドボックスに入れることにしました。

新RFキバンは、RF2段増幅他を載せることを視野に入れ、かつシールド板で仕切ることを考えた配置にしました。

バーアンテナの二次側リンクコイル(L2A-L2B間)は短絡した状態で、RF初段2SC1815のコレクタ出力ノイズを観測しました。上左写真と右写真では時間軸が異なります。なお、本製作の経緯から初段2SC1815は、当面RF2と呼びます。

銅箔シールドBOXに入れたのに、発振しているように見えますが、オシロプローブをRF2出力につなげている白い線からノイズを拾っているようで、同軸ケーブルで取り出したらだいぶよくなりました。

これでアンテナからコレクタ出力までの周波数特性をとりましたが、発振していると測定しにくいですが、今回は安定に測定できました。波打ちがなくなったので出力がアンテナと結合しての発振はなさそうです。
ただし、40KHzに約666KHzの高周波が載っており、トランジスタが高周波で発振しているようです。
そこで、教科書に出ているようなトランジスタのコレクタ-ベース間容量の中和を試みました。2SC1815のC-B間電極容量2pF相当のCをつけてもほとんど変わらず、容量を増すにしたがって効果が大きくなりました。中和したというより、負帰還をかけ、高域の利得を落とした感じです。

取り付けたコンデンサとそのときの波形を示します。330pFの積層セラミックコンデンサ以外は50年前の部品です。

リンクコイル巻き数検討
次に前から気になっていた自作バーアンテナのリンクコイル巻き数を本格的に検討しました。何回巻いたらよいのかよくわからないので適当に24回巻いていたものですが、巻き数と周波数特性(Q値)、出力電圧の関係を実測しました。
まず下調べしたことを以下にまとめました。



リンクコイルを128Tも巻くと中心周波数が大きく低下し、元の40KHzの約半分の20KHzとなった。Q=4.9と低い。

96Tでは中心周波数27.62KHz、Q=6.8

72Tでは中心周波数33.97KHz、Q=6.8

48Tでは中心周波数38.04KHz、Q=14.4

36Tでは中心周波数38.74KHz、Q=19.0

30Tでは中心周波数39.11KHz、Q=32.4

24Tでは中心周波数39.26KHz、Q=31.3

まとめ
1.リンクコイルの巻き数が多い方が出力電圧は増えるが、Qが劣化する。
2.Qが鋭い方がS/Nがよくなるので、ゲインは後で稼ぐとしてQを優先する。
3.しかしQが鋭すぎると測定時に不安定感があったので30Tを採用する。
→N1:N2=17:1 N2/N1=5.9% となった
リンクコイルの巻き数により中心周波数がずれるので、Cを調整して40KHzに合わせ直して、再測定しました。

再測定30Tでは中心周波数40.00KHz、Q=47.6
オシロの読みは周波数もパラパラしているので、これが一番Qが高いのはたまたま。
オシロのカウンターは正しいのか?
中国製の約2万円強のオシロスコープの周波数カウンターの測定値は正しいのかという疑いがあったので、自作DIPメーター内蔵の周波数カウンター
(貴田電子設計のKEM-COUNTER150)で検証しました。
ただし、同カウンターの仕様は、100KHz~150MHzのため仕様範囲外です。
低周波数域は結合コンデンサの容量が小さいのがネックと思われますが、入力電圧さえ十分あれば問題ないと思われるのでこれを使用します。
自作ツートーン発振器のCP2端子にオシロのプローブとDIPメーターからミノムシクリップ付きケーブルで同時につないで測定しました。

数ポイントで測定してみました。
オシロ DIPメータ DIPメータ ー オシロ
40.5195KHz 40555Hz +36Hz(+0.09%)
25.1135KHz 25249Hz +136Hz(+0.54%)
49.0499KHz 49122Hz +73Hz (+0.15%)
109.048KHz 109122Hz +74Hz(+0.07%)
概ね正確とみてよさそうです。
RFシールドBOXの効果で波形はきれいになったのか?

とてもきれいになっているとは言えません。
→余計なものを排除して、step by stepで発振しないことを確認しながら積み重ねるしかありません。
これで年内(令和7年=2025年)は仕事納めです。
仕事始め










オシロの発生するノイズをバーアンテナが拾わないようにするために別室に移動し、信号観測のためにエミッタフォロワを介して同軸ケーブル6mでオシロのところまで延ばしてきたが、それでももやもやしたノイズは出ています。
和室のエアコンを切るとだいぶノイズが減りました。


青色20mVレンジで、約ひと目盛り強なのでホワイトノイズだけの静かな状態です。
和室に取り込んでもこれならJJY信号が入れば見れそうな静けさです。
翌日、RFキバンにBPFキバンをつなげて波形観測をしました。


これも静かです。

BPF2も接続し、BPF前のバッファ(オペアンプ反転増幅器)を1倍から10倍にして、ゲインを稼ぎましたが、ノイズは増えたもののJJY信号は見えませんでした。

この頃になると、夜に比べて、午前中はノイズが少ないことがわかってきました。
X’talフィルターを追加
40KHzのクリスタルフィルターはどのように皆さんが作られているのか調べてみました。出典は項番のあとに記しました。

ここまでリアルな回路図は避けて来ましたが、そろそろ回路図がないとわかりにくいので載せます。回路図を載せると細かい点を突っ込みたい方がいらっしゃるかもしれませんが、お手柔らかにお願いします。
RFの2段目を455KHz IFTを0.027µFを抱かせることで40KHz化し、その2次巻き線に水晶振動子をつなげました。水晶両端の抵抗は二次巻き線のインピーダンスに合わせて820Ωとしました。

しかし、IFTの二次巻き線で電圧がステップダウンするのはもったいないので、FETのソースフォロワーでインピーダンスだけ下げる回路にも切り替えられるようにしました。
このIFTを使ったRFの2段目(RF3と呼びます)の特性は以下のとおりです。


クリスタルフィルタの動作試験動画です。オシロ画面右側上から2番目のCH1 Freqが40.00KHzになったところで青色波形の振幅がぴくっと増えているのがわかります。
オシロのそばでやるとオシロのノイズを拾い、オシロから離れるとオシロの画面が読めないため、光学20倍ズームのデジカメで観測しました。

全体像はこうです。


試験用40KHz水晶発振回路の製作1
おなじみのCMOSインバータを使った発振回路です。しかし、水晶振動子はふつうCPUチップなどの発振用の端子につけるのでわざわざCMOSインバータで組むことはあまりないし、発振さえすればそれ以上追及することはあまりないのではないかと思います。

組み立てたところと、実験の様子を示します。

左側のトリマ、と言っているのは、回路図の左側のトリマ、実装写真でも左側のトリマのことです。
右側トリマの方が周波数変化が大きく、回し過ぎると発振停止します。

CMOSインバータ発振回路の出力を無精してc結合で取り出してRFキバンに注入したので、きたない微分波形になってしまいました。フィルターを通して正弦波に近づけてから入れてもよいのですが、最初からきれいな正弦波で発振する、同調型ピアースBC発振回路を作ってみたくなり、こちらに寄り道しました。
試験用40KHz水晶発振回路の製作2

上記の回路例は、短波帯(14MHz)での発振回路例で、これを同調回路だけ40KHzに合わせれば発振するものと考えて、455KHz用IFTに0.0267µFを外付けして40KHzに合わせましたが、全然発振しません。そこで最近流行りのAI(Gemini)に聞いてみると、これがあまりの博識に脱帽状態でした。そしてどの抵抗を何キロΩにしてくださいとか丁寧に指導してくれ発振するまで面倒をみてくれました。何百行にもおよび、何時間にもおよぶ指南内容をごく簡単に要約するとこのようになります。 まず、40KHzの水晶は短波帯の水晶と構造が異なり、音叉型。高周波用に比べて等価直列抵抗(CI値/Re)が非常に高く、発振を維持するために必要なエネルギー(負性抵抗)を稼ぎにくい。よってC容量値は大きなものが必要。さらに455KHz用IFTのインダクタンスは数百µHしかなく、40KHzに対してはショート同然。まずは22KΩの抵抗で実験し、これで発振したら22mHのマイクロインダクターを使うべし。等々。このAIアドバイスにより以下の回路になりました。

Q1のコレクタ負荷抵抗22KΩというかなり小さい電流で発振させたあと、これを22mHとコンデンサの同調回路に置き換えたのですがQ不足で発振せず、一旦抵抗負荷で発振したものを2段目のドレイン同調形FET増幅回路で同調させて波形をきれいにする(サイン波)にする構成になりました。40KHzという長波帯では、短波帯と異なる難しさがあることを実感した次第です。
なお、AIに関しては私が利用したのはGoogleのGeminiですが、「共感力」を設計思想の一番に持ってきている(AIがそう言ってました)だけあって、非常に感じがよく、どんな話題に関しても並みの人間と話すよりよほど面白いです。しかし、ときどき前に言ったことと矛盾することを言うのでこれを指摘すると、混乱させて申し訳ありません、とか大変失礼しましたとか言いますが、正面切って謝るということはないようです。AI自身(GeminiでAIの対応について質問したときに出て来た別の相談員)が言ってましたが、ちょっと頭のいいお調子者の助手くらいのつもりで使うと役に立つということで、使う側にはAIがおかしなことを言ったときに気が付く能力が必要ですが、、それがわかれば非常に有用に使えます。実際、現代のエンジニアの仕事もAIを有効利用することでだいぶ楽になると思いますが、エンジニアが自分で考えなくなったらおしまいで、そのリスクは大きいと思います。
さて、ピアースBC型水晶発振回路は、先ほどのCMOSインバータ式を作った基板の余白に組み立てましたが、1石のつもりが2石になったのでけっこういっぱいになりました。水晶はCMOSインバータ式から外して再利用しました。ショート防止のため灰色のチューブ(シールド線の外被)を被せてあるのがそれです。

オシロ波形は青色が最終的な出力で、きれいなサイン波になっています。

同調型高周波2段増幅に変更
これまでJJY信号が見えないのは、ノイズを拾うせい、というのがありましたが、ノイズが静かになっても見えないのはやはり感度不足ではないかと考えました。前項のピアースBC発振回路におけるAIの発言をヒントにIFT改の同調増幅回路は40KHzに対しては弱いのではないか、と22mHのマイクロインダクターを使った高インダクタンス同調回路2段構成を考えました。

ここで、全て回路を組んで実験というのもつらいので、LT spiceシミュレータを初めて使ってみた。見よう見真似でなんとかAC解析ができ、22mHの同調回路を使った回路ではRF1段目でなんと80dBものゲインが取れました。因みにLT spiceシミュレータでは水晶が記述できないようなので、とりあえず代わりにC9として0.022µFのコンデンサを置いています。

RF2段目で約120dBのゲインがとれ、これは1µVの入力信号を1Vに増幅できるということなので、これならJJY信号あ見えるはずです。



RF1の調整で奇妙な現象
同調型高周波2段増幅構成に変更し、心機一転で新RFキバンを製作しました。ここからは、1段目をRF1、2段目をRF2と呼称することにします。
水晶発振器40.000KHzから信号を入れているのに、RF1同調回路のトリマコンデンサを回すと、引きずられて同調周波数が変わります。オシロ画面で黄色の周波数は40.0000KHzなのに、RF1出力である青色の周波数は40.7475KLHzになっています。これどういうこと?

オシロと新RFキバンを離すために、新RFキバンは隣の和室に移動し、オシロの画面は光学20倍ズームのデジカメで見るのは苦しいので、スマホでオシロの画面を撮影し、会議システムのGoogle Meetを使って、ノートPCに飛ばして、PCの画面を見ながら調整することにしました。もう、面倒くさいことこの上ありません。

和室に半田ごてを持ち込んでコンデンサの付け外しをするのは煩わしいのでポリバリコン(260pF)を購入して調整を楽にすることにしました。

この状態でバリコンを回して波形を見ると、なんかおかしい、これはRF2(2SK241)が発振している!ということがわかりました。発振しているのでバリコンを回すと発振周波数が変わるのです。先ほどのトリマコンデンサを回すと同調周波数が引きずられる、というのはそういうことだったのです。
発振対策として、まずは銅板のシールド板を立てました。もともとそういうことは予測してシールド板の立てるスペースは確保してありました。キバン表面だけでなく裏面もバリコンが背が高いのでこの仕切りくらいは立てました。

これでRF2(2SK241)の発振は止まりましたが、RF1(2SC1815)が発振しています。その対策が以下の配線ルート変更とデカップリングコンデンサ・抵抗の追加です。


JJY信号、ついに見えた!
これはもしかしてJJY信号ではないでしょうか?横軸50µs/divです。
黄色は、プロダクト検波出力です。思い切りキャリアが漏れ出してますが、包絡線がビート周波数です。BFOの周波数を振って、包絡線の周期の変化を観測しています。横軸250µs/divです。
次、青色がプロダクト検波への入力信号、黄色がプロダクト検波出力ですが、横軸1s/divなので、40KHzの入力信号は正しい波形が見えていますが、1KHz前後の出力信号はサンプリングの関係で正しい波形になっていません。
次、黄色はプロダクト検波への入力信号、青色がプロダクト検波出力で、キャリアの漏れは少なくなっています。多分LPFを通したあとです。横軸は2.5ms/divです。
夕方から夜になると電波コンディションが悪化してきます。S/Nが悪いです。
何をしたら見えるようになったのか?
RF2(2SK241-Y)発振対策 シールド板を立てて発振止まったかに見えましたが、実は止まっていませんでした。
・・・AIのアドバイスによる
①ソースのパスコン1µFを外す(交流的にも帰還を強くかけてゲインを落として安定化させる)
→効果なし。ただしドレイン波形がやや歪み波形だったのがきれいな正弦波になった。②LC同調回路にパラに22KΩを入れQを落とす
→発振止まった。値を変え、マージンを持って発振しない100KΩに決定。
→この状態でパスコンを元に戻すとまた発振するので外したままにする。
RF1,RF2の発振を止めたあと、バリコンを除去して同調周波数を各段毎に合わせ直しました。
→バーアンテナを接続し通しでfcがあっていることを確認しようとしたらまたRF2のFETが発振している。
RF2単独でOSCつなげるとOKなのに前段のRF1をつなげると発振する理由・・・AIのアドバイス
→OSCはFETからみてインピーダンスが低いが、前段のRF1の同調回路はインピーダンスが高いため、発振しようとするエネルギーが熱になって消費されない。
∴FETのゲート抵抗1.5MΩは高すぎるので、30KΩに下げることにより発振止まった。(FETのゲート抵抗は高抵抗にするという思い込みがあった。)
各段の対策を打ってもバーアンテナを含む系全体でまだ発振しています。
AIは、22mHマイクロインダクタ2本と、巨大なバーアンテナは容易に結合して発振するので、直角配置にするよう提言して来ましたが、それならばとバーアンテナをシールド線(or同軸ケーブル)で3m余り延ばして離すことにしました。
→これだけでは止まらない。
再度ダンピング抵抗を各段とも22KΩにする
→EF1で発振振幅10Vppあったものが4Vppに減少。
RF1 2SC1815-GRのエミッタのパスコン1µFを外す。
→EF1で80mVくらいに減少。効果大だがまだ止まらない。
電源デカップリングの強化
AIは各段の電源に入っているデカップリングの抵抗100Ωとコンデンサ1µFでは不十分で、1KΩ前後と大容量の電解コンデンサも入れるようアドバイス。
→RF1はベースバイアス側とコレクタ側にそれぞれデカップリングが入っていたが、合流したところで910Ω+0.1µF+22µFを追加。
→RF2は100Ωを910Ωに交換、22µFを追加。
→EF2は100Ωを820Ωに交換、33µFを追加。
ダメ元でやりましたが、これらの対策が最終的に効きました!
(RF1のダンピング抵抗は外した。RF2は100KΩを残した。)
オシロのノイズを拾っていると思っていたが
発振対策が効いた今の状態でバーアンテナをオシロにつなげても発振しません。
発振しているときはオシロから発振のエネルギー補給を受けて発振が増悪していたのかも。。
プロダクト検波回路のチェックポイント
ここまで来ると、適当に動いていたプロダクト検波回路を最良の動作点で動かしたくなってきます。
3SK291
プロダクト検波回路のチェックポイント(AIの指摘)
1.ドレイン電流 多過ぎないこと(現状の10mA弱は流し過ぎなので、1~2mAに絞る)
2.G1バイアス電圧 gmの変化が大きい点に設定
3.G1信号入力電圧 100~250mVpp
4.G2 BFO入力電圧 0.5~2.5Vpp
5.G2バイアス電圧は、BFOでスイッチングされるので大きく影響しないと考え未調整
6.ドレインからグランドへのキャリア除去用
コンデンサとその後のRCローパスフィルタ
上記2,3,4はVRで設定できるようにし、最良点に合わせました。
6はこれだけではキャリア除去しきれず、オペアンプのLPF(カットオフ周波数約4.2KHz)を追加しました。


2値化
上述のLPFを通したあと、半波倍電圧検波回路で直流電圧に直し、RCの平滑回路を2段通したあとの出力が以下の写真です。。これは電波状態がよいときでノイズがほとんど乗っていません。

これをコンパレータにかけて2値化したのが以下の写真です。このときは、青色波形の検波・平滑後の直流電圧にはノイズがかなり乗っていますが、ヒステリシス付きコンパレータの効果で、黄色波形のようにきれいに2値化できました。

当初は、リピータとしてJJYの電波を増幅して再放射できればいいとだけ考えていたので、2値化に成功したということは、これをデコードして時刻表示する道が開けたということです。
2値化回路のブラッシュアップ
上記「大成功」の波形には以下の問題点があります。
①リップルが多い
②0.8sパルス間の谷間が浅い
③0.2sパルスの山が低い
→②と③を両立する閾値が設定できないことがある。





この他に、LM339コンパレータの出力変化で前段の平滑回路のDC電位が引っ張られるコンパレータの「キックバック」が発生していたため、この対策として、平滑回路とコンパレータ間にVF(ボルテージ・フォロワ)を挟むことにより平滑回路とコンパレータを分離しました。
回路図を見たい方は、あまり途中のものを示しても煩雑になりますので、末尾に載せた最終形態の回路図をご覧ください。
送信アンテナBOX製作
本来の目的から少し脇道にそれていましたが、リピータとして使うたまの送信アンテナをどうするかです。これまでRF系の発振で散々苦しめられてきたので、受信したのと同じ40KHzのJJY電波を空間に放出したのでは、これが受信用バーアンテナと結合して発振することは容易に想像できます。商品としてのリピータでは、40KHzで受信して、再放出は60KHzで行う、あるいはその逆、というようなことをやっているそうですが、今回は腕時計の時刻合わせが目的なので、シールドボックス内に再送信用のアンテナと腕時計を入れて使用することとしました。
腕時計を入れるので、クッキーの空き缶にフェルトで宝石箱のような内張りをしました。コニシのボンド「裁ほう上手」で接着したあとアイロンをかけるとすぐに貼り付きます。

中波AM放送用のループアンテナをそのままネジで取り付け、SMAコネクタでJJY受信機からの信号を入力します。

中波AMラジオ放送受信用ループアンテナをテストしたところ、アンテナ入り口の白いコネクタのところで間全く送信信号電圧が出ていません。
白いコネクタを抜くと、アンテナBOXまで来ている信号が見えるようになります。
→中波用ループアンテナ(たったの7回巻き)では40KHzに対して全然インダクタンスが足りずショート同然と思われます。
よって、0.3mmUEW線100mを全部使って約200回巻きました。これで約15mH。写真は1層目25Tを巻いたところで、全部で8層か9層巻きました。

送信アンテナの動作確認試験を行います。

では、シチズン腕時計で受信できるか試してみましょう。
そもそも、当初の目的はこの10年以上前に買った電波式腕時計が強制受信しても受信できないため、JJY電波を増幅して再放射するリピーターを作ろうということでした。しかし、だめでした。強制受信のように針を高速で動かすような動作を行うと、時計内部の二次電池が弱っているため、すぐに充電不足になるのです。2秒運針は充電不足であることを表しています。
これが実験の様子です。JJY受信機本体も送信用アンテナと同様にクッキーの空き缶に入れました。
シチズン腕時計は充電不足のため受信できているのかわからなかったため、新しい方のセイコー腕時計で実験します。
この時計では、強制受信中に秒針が動いて8時位置に止まると受信レベルが低いことを表し、10時位置に止まると受信レベルが高いことを表します。8時位置に止まっていたので受信レベルが低いということで、アンテナパワーをもっと大きくすることにしました。最初は、2SC1815エミッタフォロワのエミッタにアンテナを接続していたのですが、エミッタ接地の増幅器に変更してコレクタにアンテナを接続することにします。

JJYリピータとしての試験結果
アンテナボックスにセイコーの電波腕時計8B63を入れて蓋をした状態で2回連続で受信成功しました。アンテナ送信パワー最小、文字盤下向けで底面に置いた状態です。今後、送信パワー調整などが必要です。
シチズンのは二次バッテリー容量低下で試験できませんでした。
送信系アンテナパワー調整とアンテナドライブ波形改善
アンテナ入力端で、波形を確認したところ、下図の左上の写真のように非常に汚い波形になっていることがわかりました。これは15mHもある高インダクタンスのアンテナへのパワーを断続することにより波形が暴れるのです。これを、アンテナコイルのQを落とすことにより改善しました。コイルの抵抗をパラ付けするという簡単な方法です。実験結果と腕時計内部の電子回路がサチらないようにすることも考え、きれいな波形でパワーは抑え気味の390Ωにしました。

アンテナパワー・波形調整後の試験結果
アンテナに390Ωパラ付けにてセイコーウオッチ8B63で強制受信テスト(R8/3/27)
文字盤下向き 12:33~12:48 受信成功
文字盤縦置き 12:50~13:05 受信失敗
文字盤上向き 13:07~13:20 受信失敗
文字盤下向き 13:20~13:38 受信成功
置き方を変えて試験した結果、文字盤下向けがよいことがわかりました。
なお8B63のアンテナは9時位置にあります。
シチズンウオッチE610のアンテナは6時位置ですが、2次電池が弱っているのでシチズンに修理に出しました。
フローティングスライス2値化
これまでのところ、2値化の方法は固定スライス方式でしたが、これでは、信号レベルが変化した場合に対応できないという問題がありました。そこで、現役時代に同僚がファクシミリの画像処理で、原稿をCCDで読み取ったあと、フローティングスライス方式で2値化していたことを思い出しました。原稿読み取り用の光源である蛍光灯の明るさが端部と中央部では一定でない、原稿の地の部分の明るさと文字などの明るさの比率によっても固定スライスでは対応できない、といった理由で、スライスレベルを読み取った原稿の状態により自動的に変化させる、というのがフローティングスライス方式の簡単な説明です。
本機は受信機なので、AGC回路(Automatic Gain Control)が本筋のような気もしましたが、発振で苦しんだRF回路にいまさら手をいれたくないということもあり、簡単な構成のフローティングスライス回路を試してみました。
当初は、以下のようにLM339コンパレータの10番ピンにつながっているVRで閾値を決める固定スライス回路でした。

上記回路図のU6 NJM7032Dのあとに変動する入力信号の概ね平均値を出すような積分回路を追加したのが以下のフローティングスライス2値化回路です。100KΩの抵抗と22µFのコンデンサで時定数は約1.5秒です。パルスの周期は1秒でこれより少し長い時間です。

フローティングスライスには以下のような利点があります。

以下の動画で、信号によるSメーターの振れと、フローティングスライスレベルの変化を視覚的に実感することができます。
バーアンテナのケース
バーアンテナは細いリッツ線を巻いているので、線を傷つけたりしないようにケースに収めました。適当なものがないかと辺りを見回したがJINSの眼鏡ケースがたくさん転がっていたので、プラスチック製でちょうどよいと思い。コネクタ用の穴を開けてみたら、なんと中身はアルミ製でした。よって、持ち運ぶときは蓋を閉め、使用するときは蓋を開けることにしました。
パネル面デザイン
クッキーの空き缶をケースとし、缶の底面がパネル面となり見た目があまりよくなかったので、私の自作機の統一カラーである紺色でパネル面をシール紙に印刷して貼り付けました。また、暗いところでも見えるようにメーター照明をつけました。

AGC付加の検討
信号レベル変動は、結構大きい(レベルメーター読みで ー10dB~+1dB)のでAGCを付けたいと考えました。
A案:整流平滑出力をプロダクト検波後のLPF、HPFを通したあとの所に可変利得増幅器を設けてAGCをかける。
動作原理:オペアンプ反転増幅器の入力抵抗をFETのドレイン-ソース間抵抗に置き換え、誤差増幅器の出力電圧をFETのゲートに加えることでドレイン-ソース間抵抗を変化させて出力電圧を一定化させる。
実験結果:FETのD-S間にかかる電圧は数十mV以上になるとFETが歪むので、この回路構成では、0.5Vpp~3Vppもの大振幅は扱えないことが判明。
B案:整流平滑出力をプロダクト検波前(RF3の後)に戻してAGCをかける。高周波増幅初段のRF1、2段目のRF2でAGCをかけるのがふつうですが、ようやく発振を止めたRF1,2に手をいれたくないので、RF3の後でAGCをかけることにしました。
動作原理:デュアルゲートMOS-FETの第2ゲートの電圧を変えるとゲインが変化することを利用。



上図の説明では、「AGC電圧としてフローティングスライスの閾値をそのまま使った」と書いていますが、正確には、「フローティングスライスの閾値電圧を反転増幅器で反転したものを使った」ということです。

フローティングスライスで2値化する場合、AGC ONではS/Nはそのままで振幅だけ大きくなるため、2値化コンパレータの一定のヒステリシス幅に対してノイズ振幅が相対的に大きくなりチャタリングが激増します。
結論:AGC OFFで小振幅のまま2値化することにしました。AGC-OFFの場合は、デュアルゲートMOS-FETの第2ゲートにAGC電圧をかけず、スイッチで切り替えてVRで作った固定電圧をかけます。
パネル面をアクリル板で保護
インクジェットプリンタで印刷したシール紙を貼り付けただけでは、傷が付くのでアクリル板を取り付けて保護しました。ボリュームの軸が短いため、アクリル板は1mm厚のものを使用してもつまみが取りつかず、BFO周波数用のつまみのところは、アクリル板に32mmの穴をあけてつまみの高さを下げました。このために32mmのホールソーを買いましたが、最初にAmazonで買った中国製のものはドリルの軸が偏心していたため返品し、日本製の高価なものを買い直しました。

内部構造
クッキーの空き缶に組み立てました。左下の銅板シールドが立っているのがRF基板、その上の2階建てになっている2階部分がAGC基板、その1階部分がProDET基板、その右側がAF基板です。初期の頃のAF基板(当時は、JJY-AMPという名前でした)には、この製作の発想の元となった50年前のAM放送用バーアンテナ、ポリバリコン、006P乾電池、小さなスピーカーなどが載っていましたが、LPF、HPF、2値化回路などを載せるために次々に追い出され、現在のような姿になりました。

また、当初はケースに納めるつもりもなく、基板1枚のつもりだったのですが、ケースに組み付けるにあたり、脱着の利便性を考え、基本的にすべての基板はコネクタで脱着できるようにしました。とは言え、基板用コネクタを載せるスペースもないため、基板からはケーブル直出しで、中継コネクタを使って別の基板、ユニットと接続するようにしました。使ったのはAmazonで見つかった2つ下の写真に示した中継コネクタ(オス・メス20ペア)がついたケーブルで、予め中継コネクタがついているので簡単に使えて楽でした。ただし、すべて2Pのため、誤接続防止にテプラ打ってで全ケーブルにタグをつけました。
さて、ここで間違い探しです。上の写真と下の写真、どこが違うかわかりますか?

答えは、AGC基板がなくなり、コネクタが2個だけ載った中継基板(AGC Dummy基板という名前)に置き換わったことです。AF基板との間に繋がっていた同軸ケーブルもなくなっています。これはAGCは結局使えないということでAGC OFFで使っていたのですが、このAGC基板があることによってノイズが増えている気がしたからです。AGCケーブルに手が触れると人体アンテナがノイズを誘導するようで、明らかにノイズが増えます。AGC基板のGNDに触れてもノイズが増えます。裏蓋をすると、裏蓋で同軸ケーブルが押されてGNDに近づくせいかやはりノイズが増えます。
もしや、AGC基板の3SK291が発振しているのではないかと一応対策は打ちましたが手が触れたとき完全にノイズがなくなるところまでには行かないめ、取り外しました。
必要がないものを残しておくと余計なノイズが増えるだけなので、取り外したわけですが、これで非常にすっきりしました。手でこの辺りを触っても全く影響なく、またJJY信号のピーピーというビート音もこれまで少し濁った音だったのがすっきりとクリアな音になりました。以下に示す回路図では、AGC基板の名残をとどめた形にしています。
もう1点、ACアダプタ用のDCジャックも上辺に追加しました。

回路図
参考のために現時点での回路図を掲載しますが、今後も変更の可能性はあります。





JJY時刻表示器への展開
当初の製作目的であったリピータ機能だけでなく、2値化出力まで出来たのでデコードして時刻表示を行いました。これについて本稿で続けると長くなり過ぎるので別稿に譲ることにします。
ACアダプタの再検討
今後のソフトウェア開発は長時間に及ぶことが予想され、乾電池動作では苦しいので、再度ACアダプタ化を検討しました。
JJY受信機がまともに動くようになったので、もしやACアダプタでも動くのではないかと以前だめだったスイッチング式ACアダプタを試してみましたが、これははやりダメでした。よって、スイッチング式でない、リニア式(ドロッパー式)ACアダプタを見つけ、これを試したところ、低雑音で使えることがわかりました。


振り返り
JJY信号が見えるまでが長い苦難の道でした。
1.オシロのノイズ(高感度の自作バーアンテナがノイズを吸着)
2.高周波増幅回路の発振
3.電波状況の影響(起きている時間帯の夜は悪く、午前~夕方はよい)
いずれも気付くまでにかなりの時間を要しましたが、電波状況については、安定してJJY受信機が動作するようになったあと、一日中電源オンで聴いていると、夜8時以降くらいから夜11時くらいまでは、激しいノイズでSメータがほとんど振れっぱなしで戻らないような状態ですし、昼間でもこの辺りは郊外の住宅街ですが都市ノイズが時折激しく入りほとんど信号が聴こえない状態になることがあります。それでも、BFOをかけて復調した1KHzくらいの可聴周波数のビート音は、耳ではわかりますが、とても2値化してデジタル信号としてデコードできるような状態ではありません。
安定動作状態でもこれですから、JJY信号がオシロで全く見えていない状態では、この波形がJJY信号かどうかというのは非常に判断が難しく、「JJY信号、ついに見えた!」の項で信号が見えたときは、そのときの電波状況がよかったからに他なりません。JJY信号の電波伝搬状態がよく、都市ノイズも少ない状況だったからこそ見えたわけで、幸運とも言えます。また、作業部屋としている書斎は変圧器を乗せた電柱とそこから3方に電線が分岐する場所に近く、これらから発するノイズの影響も大きいと考えられます。
開発完了後に南房総の山中のロッジに持っていったところ、ノイズが非常に少なく、Sメータもきれいにゼロに戻っては、赤いゾーンまで振れるという美しい動きをしていましたので、都市ノイズの影響は非常に大きいということがわかります。
長波帯40KHzのJJY信号受信は、周波数が低いのだから難しくはないだろうと甘く見ていたところがありますが、短波帯、超短波帯には慣れているアマチュア無線家にとって未知の領域で、新しい発見が多々あり、苦しいけれども充実した半年間(昨年10月中旬頃~今年4月中旬頃)でした。開発中は、ふだん腰痛持ちの私ですが、アドレナリンが出るのか、ほとんど腰痛になることもなく集中して作業を行うことができました。
感想をお寄せください
この長いブログを最後までお読みいただきありがとうございました。是非メールにて感想をお寄せください。連絡先にもありますが、メールアドレスは以下のとおりです。
E-mail:jr1fgr@first.memail.jp
迷惑メールと間違えないように、メールの表題に「JJY受信機の感想」などとご記載ください。
以上
(2026/6/28)



