中国渡航記

交通費請求の怪

交通費請求の怪

会社では外出や出張すると交通費を請求するが、中国の会社では「ん?」と思うことがあったのでちょっとご紹介。

高速鉄道に乗った証拠

社内システムで交通費申請後、なんらかの証拠を提出するが、中国の高速鉄道は降車駅で切符は回収されずに手元に残るのでこれをそのまま台紙に貼り付けて提出したが、これがNG。日時、乗車区間、運賃のすべてが表示されているのにどうして駄目?

高速鉄道の切符

実は降車駅の改札口を出る前の壁に取り付けてある領収証発行機に切符をタッチして領収証を発行してもらわないといけないのだ。因みに高速鉄道の切符はICチップ内蔵である。

高速鉄道の領収証発行機

高速鉄道の領収証

地下鉄に乗った証拠

地下鉄は、日本でいえばSuicaのような深セン通というプリペイドカードで利用しているので毎回の乗降記録はカードの中には残っているだろうが、提出できる状態の証拠はない。でも短い区間だし、これは片道2元に決まっているので提出不要だろうと思って出さずにいたら、領収証を提出するように言われた。聞くと地下鉄駅の顧客サービスセンターでもらえるという説と保安でもらえるという説の二説がある。

まとめて何回分はもらえないらしいので、まず会社の帰りに一往復分を顧客サービスセンターにもらいに行く。どこからどこまで往復と言うと、2元の領収証を2枚あっさりくれる。

地下鉄の領収証

翌朝、また同じところにもらいに行くと、「ここじゃない、保安でもらえ」と。「保安ってどこ?」と聞くとあっちだと、首を後ろに回して言う。あっちに行くがそれらしい場所はなく、改札の脇に立っていた駅の人に聞くと、改札入って下だ、とホームの方を指す。そのときは時間がなかったので、出社して職場の人に聞くと、保安というのは保安という場所ではなく、顧客サービスセンター(客服中心と写真にある所)の背面で改札口横に立っている保安の人のことで、その人に言うとくれるとのこと。

顧客サービスセンターと保安の人

帰りに行くと確かに「治安パトロール」という赤い腕章をした人が立っている。前日に聞いたのもこういう人だった。
そこで羅湖まで往復、ついでにその3回分というと2元の領収証を6枚くれる。いつ乗ったか聞かれたり、深セン通の記録を確認したりというようなことはない。

考えてみると

高速鉄道の切符に必要なことはすべて書かれているのになぜ領収証が必要なのか。前にも同僚がこれについて書記さんに尋ねたとのことだが、その話から推察すると、これは税務当局がおそらく領収証の添付を求めていて、それに従わざるを得ないという事情なのだろうと思われる。

地下鉄にしてもやはり当局の要請であろう。地下鉄の保安の人に何元何枚と言うとあっさりくれるのはほんとに乗ったか確認するのは時間の無駄だし、お役所的には領収証がそろってさえいれば文句はないわけなので、まあ中国は巨大なお役所国家ということなのだろう。深南東路には、中国共産党紀律委員会という広大な敷地の巨大な建物があるが、党紀の乱れを取り締まるためにそれほどの巨大な組織が必要というのもすごい国である。

発票と収据の違い

中国で生活していると、タクシーやレストランなどで発票(ファーピャオ)をくれと言ってこれをもらうことがよくある。地下鉄の領収証にも発票と書かれている。しかし場合によっては発票は発行してもらえず収据(ショウジュウ)しかもらえないこともある。

この違いは何なのか、前から疑問だったので書記さんに聞いてみると発票では費用の請求ができるが、収据ではできないとのこと。いわゆるレシートも
収据の一種でこれでは費用請求できない。高速鉄道の領収証には発票とは書かれていない代わりに本票は請求のための証拠してのみ使用できると書かれている。

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