健康診断その2

ビザ更新のための健康診断は、診断書を発行してもらうことによってその目的を達したが、本当に身体に問題がないのかを調べると言う意味では目的を達しなかったので、ふだん風邪を引いたときなどにお世話になっている日本人向けの診療所で健康診断を受けた。日本で成人病検診とか生活習慣病検診とか呼ばれるレベルの検診である。

プランA,B,Cと3種類あるが主要な違いは血液検査の種類の違いで腫瘍マーカーがフルセットのCを選択。日本で毎年受けてきた胃ガンの検査（バリウムを飲んで胃のX線透視をするもの）は、中国ではない。オプションで胃カメラを飲む以外は、胃ガンの腫瘍マーカーで調べる方法となるので、これが含まれるプランCにしたもの。

受付

受付で問診票を書き、ロッカーに荷物を預ける。
検診衣はロッカーの中にあったが着替えなくてよい、とのことなので体重検査のときに重くならないようポケットの中身は全部出していざ開始。

採血

まずは、採血用小部屋で5本取る。
ビザ用のときは、手を開かされて変に感じたが、ここでは日本と同様に握ってくださいと言われた。

心電図・超音波

次に診察室に入る。受付も診察室もここはきれいで、落ち着いた雰囲気。
いつもの日本語のできる女医さんは不在とのことで別の女医さんと普段は受付にいる日本語通訳の助手。

心電図は、ビザのときより身体につけるクリップの数が多かったが時間は1分程度で簡単に終了。

同じ部屋で引き続き超音波。
毎年肝嚢胞が見つかるのでよく見てくださいと予めお願いする。
ところどころで画面も見せてくれる。
肝臓、膵臓、胆嚢、腎臓と順に見ていく。
助手の女性が、今どこを見てます、どれくらいの大きさの嚢腫があります。良性ですなどと、先生が言うのを日本語に直してくれる。医学用語なのでわからないところもあるので助かる。

「左側の膵臓には結石はありません」
ん、膵臓はひとつしかないはずだが？これは「腎臓ですか？」と思わずチェックを入れてしまった。

終わったときに助手の女性は、
「すみません、まだこの仕事は慣れていないので。前は日系の工場で働いていました。」と謝る。
電気関係の工場ですか？と聞くと、メッキ工場だったそうである。
日本語つながりとはいえ、メッキ工場から診療所とはすごい転身だ。

どうりで医学用語は不十分なはずだと思ったが、中国女性は気が強く自分の主張をまくし立てる人が多いなかで、彼女は珍しく謙虚でやさしい感じだった。レストランなどサービス業でも何か尋ねても怒られるような対応をされるのが普通なので、多少通訳が下手でも気持ちはよかった。

超音波診断用のゼリーを拭いてくれないのはここも同じだった。

身長・体重・視力・聴力・血圧・脈拍

身長、体重、視力はふつうに終わり。聴力は、通訳の女性が「ティンリー」は日本語で何と言いますか？と聞くので「ちょうりょくです」と教える。
わからないことを聞いてくるのは好感が持てる。私も〇〇は中国語でなんと言うの？はよく聞くし。

聴力検査は、日本ではヘッドホンを被って、音が聞こえたらボタンを押してください、というのがふつうだが、ここでは長さ10cmほどの音叉、3種を使って行う。音叉は楽器の音の高さを合わせるために用いられるものになじみがあるが、指などでふたまたに開いた部分を弾くとポーンとかピーンとかその音叉固有の振動数（周波数）の音を発するのだ。

検査の人が指で弾いては耳元に持ってくるので、左手を挙げたり右手を挙げたりして聞こえたことの意思表示をする。

この方法では周波数の聞き分けは検査できても、音叉が鳴る音量はコントロールできていないので、どれくらい小さな音まで聞き分けられるかという検査はできず、高価な検査代金からすると改善の余地ありだ。

血圧はふつうに計り、脈拍は検査の人が指で脈を取り、小さな目覚まし時計の秒針で60秒を計り、記録を取る。これは、心電図を取っているのだから、それで自動的に取れると思うのだが。
まあ、脈を取りながら目覚まし時計とじっとにらんでいる姿はなにか暖か味があってよいものではある。
もし自動測定と手動測定とがありますが、どちらを選択されますか？と聞かれれば手動測定を選ぶかもしれない。

採尿

きれいなトイレで採尿用の紙コップに取る。問題なし。

朝食

この日はレントゲン技師が不在とのことで、胸部、腹部X線透視は別の日に実施ということになったため、これで終わり。ひとつの部屋で複数の検査を実施するため、部屋の移動が少なくもう終わり？という感じ。

検査の案内文書に終わったら朝食が出ます、と書かれていたのでこれを楽しみにしていたのだが、スーパーかコンビニで売ってるような三角サンドイッチに、日本語通訳の女性がインスタントコーヒーを入れてくれただけであった。ちょっと残念！

(2015/5/9)

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