製作記事

50MHz SG

50MHz SG

50MHz SSBトランシーバ(甦る40年前自作機を参照)の受信性能評価のために製作した50MHzバンドの固定周波数の信号発生器です。

50MHz SG外観

裏側に電源スイッチがついています。  

仕様

出力周波数: 50.25MHz
出力レベル: 50mV(rms)/50Ω

とします。

理由は、周波数はたまたま6倍するとこの周波数になる水晶が捨てずにとってあったということと、50MHz SSBトランシーバのバンド幅(50.0~50.6MHz)のほぼ真ん中あたりでちょうどよい周波数だったということです。

出力レベルは受信機の評価専用に作ったアッテネータの入力レベルにあわせました。

周波数安定度は、水晶で作ったなりで、特に安定度を求めることはしていません。

構成

40年前に50MHz A3送信機に使用していたFT-243型水晶(8.375MHz)が見つかったので。これを3倍オーバートーンで発振させたあと2逓倍します。

これは、元の送信機と同じ構成ですね。元のは3極真空管12AT7の1/2のシュアファイアー回路で3倍オーバートーン発振させ、残りの1/2で2逓倍していました。

当初の内部構成

最初に作ったところです。

手前の1段目のトランジスタで25MHzを発振、2段目のトランジスタで2逓倍しましたが同調回路1段では高調波が取り切れないので、M結合でもう1段同調回路を置いて波形をきれいにし、向こうに見える水色のVRで出力レベル調整し、10dBのパイ型アッテネータを通して出力しています。

コイルですが、シールド付きのものにすべきかとも考えましたが、単機能のものだし、全体をシールドケースに入れるのでそれで外部への漏れ出しはガードされると考え、かつシールドケース付きは場所もとるし巻くのが面倒、何よりこれは早く作って甦る40年前自作機、Sメータの作業に戻りたいという考えで、裸のものにしました。

このコイルボビンもなかなか売っていませんが、秋葉原のラジオデパート2階のいつもコンデンサを買う山王電子で聞いてみたら、あったかな、といいながら出してくれました。あの狭いスペースによくこれだけ色々なものが置いてあるなと感心。

失敗の巻

最初に作ったときの外観はこれです。

当初の外観

9VのACアダプタで動くように作りました。

実際の使用シーンとしては40年前自作機の受信系の評価に使用するので、以下の図でディップメータSGのところを本SGに置き換えて信号を発生させます。

受信機測定系統図

ところがATTを全て(114dB)入れても受信機側では相当なレベルで信号が検出されています。

Deja vu,これって、前にもあったような。。。

そうです、アッテネータを作ったときにディップメータをSGとして使って同様の構成でFT-950に信号を入れたときATTを全て入れても相当なレベルで信号が受かっていました。
そのときの対策はディップメータのコイルのシールドと、出力の取り出し方を陸軍端子からSMAコネクタに変更したことです。
AC-ADPは使いませんでした。

今回は、最初から出力はSMAコネクタにしたのでこちらは問題なく、ACアダプタのDCケーブルのところに50MHz信号が漏れ出して来て、このケーブルがアンテナになって空中に電波を輻射し、アッテネータを通らずに直接受信機に飛び込んでいるのに違いない、と考えました。

なぜディップメータのときはAC-ADP使わなかったのに、今回AC-ADP使ったんだ、と突っ込みたくなりますが、んんーー、考え漏れがあるのは歳のせいでしょうか?

そこで、ACアダプタはやめ、電池は中には入らなさそうなので、スナップ端子をとりつけ、006Pで電源供給しました。ACアダプタ方式のときは使わないときは抜けばよいという考えで電源スイッチは省略しましたが、今度は電池動作なので電源スイッチもつけました。すきまはすべて銅テープで水も漏らさぬくらいに目張りしました。

問題切り分け1

しかし、これはほとんど効果なし。

 
問題切り分け2

50MHz SG全体を菓子缶に入れて蓋するも効果なし。

 

グランドを直して解決

これだけやって駄目ということは同軸の外被に信号が載っているのかと考えそういう目で見ると、SMAコネクタのグランド側に基板から緑色のグランド線をつなげています。ケースの中は50MHzの信号が充満しているので、このグランド線に誘導していることは十分考えられます。

誘導しててもコネクタのところでグランドにばっちり落としているんだから、いいはずでは、との疑問もありますが。

グランド強化

そこで、基板からSMAコネクタのグランド側までは、銅箔を使って面でつなげることにしました。この銅箔はケース前面と底面に沿わせた形です。

 
非導電性皮膜を除去

このアルミケース(タカチ MB-1型)は、調べてみると外側だけかと思ったら内側も非導電製の皮膜があるので、SMAコネクタ取り付け部分、基板からの銅箔接触部分、および蓋との嵌合部分はサンドペーパーでよく擦って皮膜を剥がしました。写真でも良く見ると剥がしたところがわかります。

ここで振り返ってみると、そもそもSMAコネクタのグランドがシールドケースにしっかり落ちていなかった可能性が大です。テスタのプローブでケースの内側表面をあたると軽く触れただけでは全く導通なく、突き立てるようにしてようやく導通があるという状態なので取り付け穴の断面での導通が取れていただけだったのかもしれません。外側は皮膜があっても内側のナット締めのところでしっかり導通が取れると考えていたのですが。

 
内部修正形

電池もなんとかケースの中に押し込めました。
巨大なFT-243型水晶のせいもあってぎちぎちです^^;
電池固定用の手段を考えなくても動きません。

ACアダプタ用ジャックのところは目隠し蓋をしました。

 これでATTを全て(114dB)入れたときの受信機側での信号レベルは全く問題のない低いレベルとなりました。結局、ケースがシールドの役目を果たしていなかったのですね。

また、ディップメータをSG代わりに使っていたときのATTの設定値によって、周波数が微妙に変わる問題は、水晶発振式に変えたため解消されました。

今後の課題

電池式だと、電池が減って来ると発振出力が低下するのがいやで当初安易にACアダプタ式にしていたのですが、最終的に電池式に戻ってしまったのでこの問題が残ってしまいました。

よって時間をみて、電源電圧安定化のためレギュレータを通すことと、発振レベルをモニタするレベルメータ(ラジケータなど)を追加したいと考えています。

(2012/7/7)

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