製作記事

モジュール化・Nゲージレイアウト

モジュール化・Nゲージレイアウト

 鉄道模型・Nゲージのレイアウトをモジュール化して製作することは、この分野の諸先輩方がふつうに行われていることではあるが、今回以下の目的によりレイアウトの主要部をモジュール化して製作した。

目的

 孫が来たときに、これまではプラレールで遊ばせていたが、そろそろレベルアップを図りたい。しかし、1~2泊しかしないのにNゲージのレイアウトを全部一から作って運転し、後片付けをするには時間が足りない。畳の部屋での作業は腰への負担が大きくつらい。線路だけつなげても面白味に欠ける。といったことから、主要部分をモジュール化し、孫が来たにはモジュール間をレールで接続するだけですぐに完成するレイアウトとした。電源やポイントの配線を完成させた駅モジュール、山とトンネルのある風景をジオラマ化した山モジュール、海と鉄橋のある風景をジオラマ化した海モジュールの3モジュールと、バラのレールから構成される。

 また、この製作の隠された意図としては、亡父の遺産を活用する、ということがある。もともと亡父が孫(私の息子)が来たときに遊ばせようと大量のNゲージレール、車両、各種構造物などを買い集めていたが、私が子を連れて帰省したときに、一日でレイアウトを作って片付けるということで三世代が楽しんだものの、なかなか全部を活用できないということがあった。父が亡くなったあと、Nゲージ資産は私と息子でおよそ半々に引き継いだが、仕事が忙しい息子がNゲージなど出して遊ばせられるはずもなく、リタイヤした私が、眠らせておいても価値がないし、保管場所を取っているだけなので、いまある資産(TOMIXのホーム、駅舎、鉄橋など)をジオラマ中に取り込むことを一念発起した。ただし、大ジオラマは普段の置き場所がないので、いくつかに分割し、家具の上に載せて保管できる大きさとした。

完成レイアウト図

 小さな子供でも遊びやすい、複線周回線路に、留置線付きの単線周回線路を追加したレイアウトとした。複雑なレイアウト構成よりは、ジオラマにより想像力を膨らませられることを主眼に置いている。

 部品名は、略称で示したが、約30年ほど前のTOMIX製品なので、レールの道床は茶色、ポイントは3線制御式で現在のものと互換性はない。各モジュールの製作方法は、以前に作った「スイス登山鉄道Nゲージ・ジオラマ」のような新しさはなく、地形は発泡スチロールを使用したため、完成写真のみを以下に示す。

 なお、レイアウトソフトはSCARMを使用した。無償バージョンでは、以前できたレイアウトの印刷ができないという制約がかかってきたのと、上記レイアウトに外回り線と内回り線間の渡り線を追加しようとしたら、これ以上の部品数はサポートされないという制約が出たので、この際有償版を購入した。37.90USDで、現下の円安のため5千円強に相当。

 

駅モジュール

全景

 ホームには外回り線に100系新幹線が5両停車可能。完成レイアウトが部屋に設置できることと、たんすの上に保管できること、の条件からこの長さになっている。

 TOMIXの4009 島式ホーム(近代型)、4010 島式ホーム(近代型)延長部、4007 橋上駅舎 、4033 橋上駅舎(近代型)、5006 DXパワーユニット、5011 DXパワーユニットを各1式と、5002 ポイントコントローラー3式とレール全てを亡父遺産から使用。

 5002 ポイントコントローラーは数が足りないため中古品を3式調達。

 4270コンビニエンスストア ファミリーマート 、トミーテック ジオコレ 情景コレクション 情景小物047-2 交番2、[あすにこ] ジオラマ レイアウト用 道路シート (ロータリー)、樹木、バス、自動車、人はジオラマ化のために新規購入した。

 レイアウトボードは、カラーべニア板(2.5mm厚)のちょうどよい大きさのものが残っていたのでこれを使用して自作。大きさは約128cm×30cm。骨組みは30mm×24mmの角材で、床面からレイアウト面までの高さは32.5mmとなる。写真左端のポイントコントローラー2個以外の電気配線はこのモジュール内で完結しているため、これに山モジュール、海モジュールをバラのレールで連結するだけですぐ運転できる。未配線のポイントコントローラーは、予備の列車を留置する引き込み線用で、これだけは実際にレイアウトを組み上げるときに要配線。

 以下、異なる角度からの写真、拡大写真などを掲載。

 端面の切り欠きは、高架付きレールとの嵌め合わせのために設けた。

 駅前ロータリーの様子

 駅前の交番

 このバスが一番安かったので購入。千葉県北西部を走る坂東バス。

 コンビニエンス・ストア

 駅前、コンビニ、駐車場♬ って歌があったな。NHK朝の連ドラ「あまちゃん」挿入歌の「地元へ帰ろう」。高い建物がないのですっかり田舎のローカル駅になってしまった。

 駅モジュールの季節は春の設定なので、ホームに面した広告看板には、「山田神社春季例大祭」とある。この神社は山モジュールの中に鎮座している。

 花見をする近所の人々

 駅に出入りする人々

 日中にしては、けっこうにぎわっているかな。私の地元の駅に比べて。(笑)

 駅の裏口

 こちら側にも通勤・通学の送迎用のクルマが停車している。

 

電源ユニットとポイントコントローラー

 取付用のねじ穴などがないので束線バンドで固定した。

 配線は、端子台の端子カバーをスライドさせて配線を固定するこの方式は、畳の上にかがみこんでやるときに腰や膝への負担が大きく、花粉症の季節だとその上に鼻水が出てきたりして大変なので、このように配線済みモジュールにしてしまうとあとが楽だ。ポイントコントローラーは3線式なので現在のシステムとは互換性がない。中古品をAmazonで3個買い足したが、その後は探しても出てこない。

 

山モジュール

 全景

 タケダ MDF ベースボード (450×600×40mm)上に構築した。この大きさのジオラマを2式、パイプ製ワードローブの上に載せて保管できる。地面や山などの地形は15mm厚の発泡スチロール板を重ねて作った。

 因みに発泡スチロールの使用はこれまで切るのが難しそうで避けてきたのだが、義春刃物 ダンボール・発砲スチロールカッター DBO-185 ステンレスというもの(熱線で切るのではない)を使ったらザクザク切れて調子がよかった。窓のようにくりぬくことも可能。写真は、コツがつかめていないときのもので、切り屑がボロボロしているが、押し引きで切るとこうなり、押すだけで切る方が切り屑が少なくきれいにきれることが後にわかった。

 季節設定は、稲の刈り入れ時の秋だ。それにしては山の上は紅葉が進んでいるが、各色ミックス90本入りの樹木を購入したので、錦秋ということでよいのではないか。このジオラマでは、写実性を極めようとは思っていないし、そこまでの技術も根気もないので、まあそれらしいという程度ではある。

 日本の田舎の風景なので神社がある。トミーテックの建物コレクション 建コレ 161 神社B を組み立てて使った。これは、駅モジュールの広告看板で出てきた、山田神社だが、秋なので春季例大祭はやっていない。でもそれなりにぽつぽつと参拝者は訪れている。

 用水路にかかるのは、TOMIX 3009  S140スルーガーター橋。

 以下、異なる角度からの写真、拡大写真などを掲載。

 左側端面は、高架付きレールと嵌め合わせる構造にした。

 樹木はけっこういい値段がするので、数を減らすために。山の傾斜が急なところは岩壁にしている(笑)。

 右下トンネル出口は、レイアウト構成上、ここにつなげるレールはS70だが、ふつうのS70用の高架橋付きが遺産のなかに無く、1502 V70バリアブルレールを使ってみることにしたため、切り欠きは設けていない。実は、3014 高架橋S70Aというのはあり、これはDCフィーダー・信号機ベース付き、と箱に書かれていたため、役物的な感じでふつうの高架橋としては使えないと考えていたが、これを書いている時点で改めて確認したらふつうの高架橋としても使えたのであった。しかし、このような重たいジオラマ間の接続ではバリアブルレールがあった方がつなぎやすいことがシステムアップの際にわかったので、結果的には正解であった。

 神社を俯瞰

 山を背景にした場所に鎮座しているということは、この神社の御祭神は、もともとはこの山そのものなのかもしれない。手前から、鳥居、手水舎、灯篭、狛犬、拝殿、本殿が立ち並んでいる。

 親子連れが参拝しており、奥の方では近所のおばさんが境内の掃除をしている。

 

 田んぼでは、コンバインを使って稲の刈り取りを行っている。やはり、農道には軽トラが似合う。

 コンバインはそのままでは素気ないので、ちょっと色を付けた。

 タイルカーペットを田んぼにしたが、拡大写真にしてみると、意外に稲穂の感じがよく出ている。そう思うと、コンバイン前面の爪みたいな部分が稲穂の上にあるのは変なので、カーペットの毛を刈って一段低くした場所にコンバインを置いた方がよかったかもしれない。

 用水路の水の表現は、当初、KATOの「さざ波」を流し込んだのだが、乾いてくるに従い、収縮し、周りの塗料の色を吸収したのか変色して不透明なクリーム色になってしまったので、撤去して、海モジュール用に買ってあった「水面シート」を貼った。MINORIX ジオラマシート 3枚 セットアクアシート PP板  (流水 3枚セット)。これはなかなかいい感じである。

 高架橋付きレールと嵌め合わせる部分。

 山の裏側の絶壁も樹木が生えていない。

  

 トンネル入り口。茶色のバラストが足りなくなりそうだったので、トンネルの中だけは灰色のバラストを撒いた。

 用水路にかかる橋の下から、向こうをのぞく。

 

海モジュール

 山モジュールと同じタケダ MDF ベースボード (450×600×40mm)上に構築した。

 季節は、もちろん夏。海水浴をする家族や、ペンションの前でバーベキューをする人々がいる。また、遺産のなかで場所をとっていた3010 S280ニュートラス形鉄橋セット2式を使いたかったので、河口の風景も入れた。河口の様子は、Google Mapで日本の河口の写真を海水浴場がありそうな本州、四国、九州あたりで調べて、砂が河口周辺に堆積した様子を再現した。

 以下、異なる角度からの写真、拡大写真などを掲載。

 海、河、砂浜の構造としては、以下のとおり。

 MDFボードの上に、海、河の色をアクリルペイントで描く。河に砂が堆積しているところは、その上に砂を木工ボンドで接着、海岸の砂浜も薄く砂を接着。その上に水面シートを載せる。河の中州と海岸の砂浜はその上に砂を厚めに盛って接着。海の波頭をアクリルペイントで描く。水面シートの固定は当初、パワフルタッカー(強力なホッチキスのような針が出る器具)で固定しようとしたが、水面シートが割れるため、砂で見えないところはボンドで接着、海の全面と、河の向こう側はアルミのL型材で押さえて固定することに変更した。

 

 河口周辺

 

 トミーテックの049-2 消波ブロック B2 を配置。

 海水浴をする人々

 「モデル パラソル 太陽傘 と椅子 模型 キット 2セット」というものを使用。

 護岸壁のコンクリートブロックは、ホームセンターで園芸用もしくは農業用の青色メッシュシート(幅約1m)を量り売りでわずか30cmだけ買ってきて、これをアクリルペイントを水を加えずに調色したもので発泡スチロールに固定した。下地は、発泡スチロール表面に木工ボンドに墨汁を混ぜたものを塗ったうえに、同色のアクリルペイントを塗ったもの。

 波打ち際

 鉄橋の下の通路

 線路の向こう側のペンションから海岸までは、線路を渡るのは危険なので、鉄橋の下をくぐってくる。

 鉄橋

 鉄橋(TOMIX 3010  S280ニュートラス形鉄橋セット)は、もともと全体が欄干の色と同じ灰色だったので、私の中で鉄橋の記憶色である赤色に塗装した。トラスの部分と線路が載る台の部分を分解するのがむずかしく、爪が固くてはずれなかったため、爪を切り飛ばし、塗装後に接着した。筆塗りしたのでアップには耐えられないが遠くから見れば十分である。

 

 バーベキューをする人々

 トミーテックの情景コレクション 情景小物131 BBQセットを使用。

 ペンションは、Eve modelの1:160モデルハウスDIY JZN01 (白い)を使用。

 線路側から見た海岸

 

完成したレイアウト

走行動画

俯瞰

 

 

 

前面展望

 外回り (国鉄415-1500系 常磐線色とすれ違い)

 

 内回り (国鉄100系東海道・山陽新幹線とすれ違い)

 

 外回り(2) (国鉄EF66、24系25形寝台特急とすれ違い)

 

 内回り(地上線)

 

 内回り(機関庫入れ)

 

 前面展望動画では、残念な事故が起きた。「スイス登山鉄道Nゲージ・ジオラマ」製作の際には構造物は基本的に自作のため、前面展望動画撮影用のカメラが当たらないように注意して作ったが、今回はTOMIXの製品をそのまま使ったため、車両は通過できても、カメラが構造物に衝突して通過できないのだ。

 

 外回り通過線では、橋上駅舎の橋脚にカメラが衝突するが、ホーム沿いの線路では、若干ホームの屋根に擦るものの何とか通過できるので、こちらで撮影した。ホーム通過時にガリガリと異音がするのはこのせい。

 内回り線では橋脚への衝突を回避することができないため、駅構内は衝突しない範囲で撮影した。

走行動画(2022/11/14追加)

俯瞰

 JR485系特急電車かもめエクスプレス

 

 JR185系特急電車踊り子とJR東海道線210系通勤電車

 

前面展望

 JR485系特急電車かもめエクスプレスを追尾

 ED75形電気機関車で押しているカメラ車よりかもめエクスプレスの速度が速いため間隔がどんどん開いてしまう。

後面展望

 かもめエクスプレスに先行して後面カメラで撮影

 追いつかれて食いつかれ、最後は大事故になってしまった。

前面展望

 JR185系特急電車踊り子を、415系で押したカメラ車で追尾。速度が同程度なので、うまく撮影できた。

以上

(2022/11/13)