便利な道具

ネガのデジタル化

ネガのデジタル化

背景

撮り貯めたフィルムカメラの写真をどのように保存するか、これはなかなか難しい問題です。結婚や子供の誕生を契機にアルバムにきれいに貼り付けた人は多いと思いますが、あのように重たいアルバム、増やし続けると置き場所がなくなるし、それ以前にアルバムに整理するというのはなかなか重労働で続かないものです。

一方、デジタルカメラに置き換わって久しいですが、ネガフィルムもデジタル化してPCのハードディスクの中にしまっておきたい、と考える人も少なくないと思います。

そこでフィルムスキャナーの登場、となるわけですが、価格が高い割りにスキャンが遅いという欠点があります。多機能プリンタにはスキャナ機能のなかにフィルムスキャナ機能を有しているものもあり、これは価格は特に高くはないもののスキャンが遅いことには変わりがありません。
ここでは、フィルムスキャナについては詳しくフォローしませんが、1コマのネガをスキャンするのに分オーダーかかるのでは私は耐えられません。

ここで思いついたのが、ネガをデジカメで撮影して、ソフトでネガ→ポジに変換すればいいのではないか、ということです。1,000万画素もあれば、スキャナと同等以上の解像度がとれるはずです。

必要な道具

この方式で必要な道具は以下のとおりです。
購入時期は2009年6月です。

1.ケンコースライドデジコピアDSLR

これがキーポイントです。
この商品の元の目的はリバーサルフィルムのデジタル化ですが、ネガフィルムのデジタル化に使いました。

Kenko DSLR

ビックカメラで¥14,700でした。

カメラへの取り付けはカメラメーカ毎に異なるマウントが必要で、キャノンEOS用のマウント「TマウントEOS」を¥2,100で購入。


2.デジタル一眼レフカメラ

それまで持っていなかったので、このために購入しました。
高級なものは必要ないので、中古を探しましたが、デジタル一眼の中古というのはほとんど売っておらず、たまたまあった店頭展示品現品限り(1,000万画素)のものを安く手に入れることができました。

なお、スライドデジコピアDSLRがミラーレス一眼に適合するのかはわかりません。

3.Photoshop Elements

アドビの画像処理ソフト。Elementsということで基本的なもの、ということでしょう。
ネットで1万円前後で購入したと思います。
購入当時はversion7.0でした。

以下は、あった方がよいものです。

4.白い背景板

ネガの撮影をする際に背景がいつも同じ白色である方が仕上がりのばらつきが少なくなるので、板に白い紙を貼り付けたものを用意しました。
白い紙はただのコピー用紙です。再生紙ではなく白いものにしました。

日中に北向きの部屋ですりガラスを背景に撮影することもできますが、明るさや色合いが変わるのでよくありません。

5.蛍光灯

白い背景板を明るく照らすための蛍光灯です。

蛍光管は、購入した状態では3波長タイプのものがついていましたが、ナチュラルホワイト色(色温度5800K、三菱電機オスラム株式会社製FPL27AX)を別に購入して交換してあります。

デジカメでネガを撮影する際に、光源が3波長タイプだとカメラのホワイトバランスが正しく行われないことを防止するために1波長のものに交換したのですが、どの程度効果があったかはよくわわりません。

6.ライトテーブル

ネガをネガホルダーに嵌め込むときに使います。
これがないと、ずれていないか、真っ直ぐになっているかよくわからないためです。
買うと1万円前後と高いので自作しました。

使い方

ネガをネガホルダーにセット

ネガをセット

自作ライトテーブルの上で作業します。

多少曲がったりずれてたりしていても、ソフト上で修正することは可能ですが、きちんとセットすれば後が楽です。


ネガを一眼デジカメ+スライドデジコピアで撮影

撮影の様子

スライドデジコピアの本体(長さ18cm程度で、望遠レンズのような形態のもの)を一眼デジカメにマウントを介して装着します。

ネガホルダーをスライドデジコピア本体先端のヘッド部に挿入して1コマずつ撮影します。

背景は、白板を蛍光灯で照らしたものを用います。

コマ送りは手動で行います。
スキャン時間は、シャッターを押す一瞬です。

スライドデジコピア自体の使い方詳細は、説明書にあります。


Photoshop Elementsに取り込む

ネガ画像取り込み

USB接続なり、SDカードなりでPCに撮影したネガ画像を取り込み、Photoshop Elements(以降ソフトと呼ぶ)で開きます。

ズレや曲がりはソフトで修正し、ついでに必要ならトリミングも行います。


階調を反転する

階調反転

手軽にはソフトのクイックモードで作業を行います。

上段のメニューから、
「フィルタ」-「色調補正」-「階調反転」
を選択すると左のような画像が得られます。

ぼーっとした画像です。


レベル補正、コントラスト補正を行う

レベル、コントラスト補正

次に、ソフト右側ペイン中段の「ライティング」から、
「レベル補正」、「コントラスト」をそれぞれ「自動」で実行すると左のような画像が得られます。

めりはりがつきましたが、青みが強いです。


色温度補正等を行う

色温度補正等

ソフト右側ペイン下段の「カラー」から「色温度」バーを赤側にスライドさせます(色温度を下げます)。
すると左のような自然な画像が得られます。

顔が暗かったので、「ライティング」から、「シャドウを明るく」バーを少し「+」側にスライドて明るくしてあります。


使い方は上記のとおりですが、手元にプリントした写真があれば、それに近い色合いになるよう、あるいはより自然な、あるいは元と少し違っても生き生きと見えるようにソフトで修正をかけるということです。

私の経験ではソフト右側ペイン下段の「カラー」から「彩度」、「色相」、「色あい」を変えても、望む方向にはなりませんでした。

「色温度」が一番望む方向に行きますが、肌の色を健康的に見せようとすると空の色が黄色っぽくなるところが難しいところです。ソフト右側最下段の「タッチアップ」から「どんよりとした空を青くする」という機能を選んでもなかなか思うようにはいきません。

読むとむずかしいかもしれませんが、慣れるとパッパと適当にできるようになります。

カラーバリエーションの調整を行う

2011年末から2012年始にかけてネガのデジタル化を集中して行ったのですが、どうしてもプリントの色調にならない場合があって悩みました。自然の中で撮った写真で青みが強く、色温度補正だけでは肌が青白く健康な感じにならない、あるいは薄暗いところでフラッシュ撮影したものの肌がやはり青白く不健康な色合いになる、などの場合です。

これはソフトの上段のメニューから、
「画質調整」-「カラー」-「カラーバリエーション」
を選択すると
「レッドを強く」「グリーンを強く」「ブルーを強く」
「レッドを弱く」「グリーンを弱く」「ブルーを弱く」
した場合の画像が出てくるのでその画像をクリックします。
青みが強い場合「レッドを強く」を何回かクリックするとプリントの色調とほぼ同じになることが多いです。

上の写真では色温度を下げたため黄色っぽい色調になっていたのですが、色温度を少し戻し、「レッドを強く」を何度か押したものが下の写真です。

カラーバリエーション調整

これで、ほぼ紙焼きプリントと同じ色合いです。

ただし、上の写真とこれのどちらが現実に近いのかは今となってはわからないので好みの色調に仕上げるということにもなります。


カラーバリエーションの調整(RGBの調整)はメニューの深いところにあったためこれまで気がつきませんでした^^;
「色相」、「色あい」よりもこの機能を表に出しておいてくれれば便利だったのに。

色温度補正とカラーバリエーションのどちらを使うか、あるいは併用するかはその写真によるのと、カラーバリエーションは表に出ておらずクリック数が多くてやや面倒なので色温度補正だけ済むものはそれで済ませるという考えもあります。

しかしこれまでうまく出なかった色もカラーバリエーションを調整するとたいてはよくなるので、やり終わった写真ももう一度やったりしてきりがない感じです。でもこれは写真の中の人への愛情なんだと思います。

この他にも
「画質調整」-「カラー」-「カラーカーブを補正」
を使うと、薄暗いところでフラッシュ撮影をし、プリントでは人物の背景の不要なものは黒くつぶれているのに、デジタル化したものでははっきり見えてうるさい、というような場合に背景をほぼ黒くつぶしてしまうことができます。金色のチャイナドレスの女性をフラッシュ撮影した写真がきれいに復元できずに困ったのですが、カラーバリエーション調整とカラーカーブ補正でばっちり復元できました。

所要時間

 ネガ撮影

1.ネガ1本毎に撮影日、場所などをラベルに書いて貼り付ける
2.1本につき24、25コマを撮影する
3.撮影したネガをネガファイルに収納する

この一連の作業を4本分について測定しました。

結果:
・いずれも1本8分程度でした。

ネガホルダーにネガをセットするところがずれないように注意するため時間がかかるので、ネガホルダーをもうひとつ用意し誰か手伝ってくれる人がいれば、撮影とネガセットを並行して行うことにより2倍のスピードでできると思われます。

 ソフト処理

1.ソフトに読み込む
2.変換処理を行う
3.反転済みフォルダに格納してデータを閉じる

この一連の作業をネガ5本について測定しました。
デジカメからPCにデータを移す時間は含みません。

結果:
・使いきりカメラ(27コマ/本×2本)53分/54枚
・普通のカメラ(24、25コマ/本×3本)72分/74枚
平均1コマあたり1分というところです。

読み込み格納の待ち時間が結構あるので、性能のよいPCならもう少し早くなると思われます。
私のは2,3年前に購入のごく普通のノートPCです。

ご参考

最近は上記方法と同じ原理を採用した一体型製品が発売されていますが、使ったことはありません。
仕上がりの画質や価格は知りませんが、簡単でいいかもしれません。
使ってみられた方は結果をお教えくださるとうれしいです。

下記URLをご参照ください。
http://www.exemode.com/yashica/index.html#fs

デジタルフォトフレームの表示順

本設備でデジタル化した写真数年分とデジカメ写真数年分をあわせて1200枚強の写真をデジタルフォトフレームに入れて親にプレゼントしようとしましたが、表示順で苦労しましたので、オマケでご紹介します。

96フォルダ、1200枚強の写真をSONYのデジタルフォトフレーム「DPF-D720」に入れたのですが、表示順序が思ったとおりになりません。

画像名順か撮影日時順が選べますが、撮影日時はネガをデジタル化したものでは意味がないので、画像名順を選びます。

フォルダ名を例えば、1997_02_14_蔵王スキー のようにつけたので、フォルダ名の頭の年月の順に表示してくれると思ったのですが違いました。

調べたところ、カメラ映像機器工業会の定めるカメラファイルシステム規格DCF2.0なるものがあり、これにより、ファイル名とディレクトリ名(フォルダ名)のつけ方が厳密に規定されていることがわかりました。
http://www.cipa.jp/hyoujunka/kikaku/pdf/DC-009-2010_J.pdf

正確には上記URLをご覧いただきたいですが、ディレクトリ名、ファイル名の部分についてごく簡単に要約すると以下のようになります。

ルートディレクトリ名は「DCIM」であること。
その下のディレクトリ名の規定は以下のとおり。
 半角英数大文字8文字であること。
 先頭の3文字は100~999の3文字の数字で重複がないこと。
 その後の5文字は英数字で必ず5文字であること。

私がつけていたディレクトリ名は、上記の規定を全く満たしていないので、表示順序がおかしかったのです。
規定に従ってディレクトリ名を付け直したら、正しい表示順になりました。

ファイル名の規定は以下のとおり。
 半角英数大文字8文字であること。
 先頭の4文字は半角英数大文字。
 その後の4文字は0001~9999の数字。

ファイル名はデジカメで撮影したものなので問題ありませんでした。
(2011/12/23)

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