御朱印集め(3) 息栖神社
関東三社参りの2社目は、茨城県神栖市にある息栖神社(いきすじんじゃ)だ。位置を復習しておこう。
息栖神社御由緒
主祭神は岐の神(くなどのかみ:牛馬守護の神、豊穣の神としてはもとより、禊、魔除け、厄除け、道中安全の神として信仰される)であるが、前回「鹿島神宮と高天原」の中で紹介した田中英道先生が、最も注目されている息栖神社の御祭神は、住吉三神とともに相殿(あいどの)の神として祭られている天鳥船神(あめとりふねのかみ)である。先生によると、神話のなかの天孫降臨は、高天原すなわち日本の東半分の日高見国から西半分の葦原中国へ実際に船で移動したと考えることができ、その出発点がこの鹿島の息栖神社の港である。ここから船に乗って、空飛ぶ鳥のように早く、九州・鹿児島に到達した。鹿児島という地名は鹿島のなかに児がはさまっている。つまり鹿児島は鹿島の子ということなのだ。その船を導いたのが天鳥船神である。大事なことを始めることを「鹿島立ち」というが、この言葉はこの港を出発して九州に向かった故事に発している。
また、「天」と「海」は両方とも「あま」と読むことができる。天と海は水平線でつながっており、天鳥船神は天を鳥のように飛ぶというだけでなく海を鳥がとぶごとく走る船の神、ということに通じる。上の写真の由緒でも航海・航空のご霊格が高く、鹿島の大神の御先導を務められたと記されている。現代においては船は遅い交通機関の代表のようなところがあるが、古代、陸上を徒歩で移動するのに比べれば、船は鳥が飛ぶごとき速さで、しかも多くの物資や武器を持って行くこともできたのである。
息栖神社の見どころ
境内案内図が示すとおり、一の鳥居から社殿までは一直線につながっており、参道は本殿に向かって東向きである。正確にはやや右肩上がりの東向きだが、鹿島神宮の参道ほど右肩上がりではないので、特に夏至の日の出の方角に向いているというようなことはなさそうだ。
本殿の向きとしては、常陸利根川のある西向きに建っているということになる。
一の鳥居と忍潮井(おしおい)
息栖神社の魅力は、常陸利根川に面した港に一の鳥居を構え、そこから二の鳥居を通して境内が見通せる、まさに鹿島立ちを行うのに相応しい立地ではないか。一の鳥居の両側には忍潮井が男瓶(おがめ、向かって左)、女瓶(めがめ、向かって右)があり、真水を湧出させている。
一の鳥居の内側から港の出口を望む。現在は常陸利根川の堤防に水門が作られている。忍潮井の看板がある。
女瓶
男瓶
二の鳥居
神門
神門をくぐってから振り返って撮影したので、いま見て来た一の鳥居と二の鳥居が見える。
社殿
御神木
御朱印
おまけ
港のすぐ隣に、茨城名産活しじみの直販の看板を妻が目ざとく見つけ、「猿田水産」に買いに行った。私は会社の名前が気になり、おそらくこの会社の社長夫人と思しき方に、珍しいお名前ですが、猿田彦大神(さるたひこおおかみ)と何か関係がおありなのでしょうか、と尋ねてみた。猿田彦神は御朱印集めシリーズ第1回の千勝神社の主祭神だったので、同じ茨城だし関係あるかなと思ったのだ。よくそう聞かれるのですが関係ありません、とのことだった。関係はなかったが、妻としては大きなしじみが買えて非常に満足した、と言っていた。これも神様のお引き合わせか。めでたしめでたし。
以上
(2021/7/26)
(息栖神社御由緒の青字部分を修正 2021/9/28)