社員旅行でタイに行く
中国の会社で社員旅行に行った。考えてみると日本での現役時代に社員旅行に行った記憶は数えるほどしかなく、土日を利用した1泊2日の旅行だったと思う。
この社員旅行はなんと4泊5日でタイに行くもので、いまの会社でも海外社員旅行は初めてとのこと。中秋節の祝日と有給休暇を1日プラスし、木曜日の終業後に出発し、中秋節の月曜日に帰国する。およそのスケジュールは以下のとおりだ。
- 1日目 夜香港空港出発→深夜バンコク着
- 2日目 バンコク観光
- 3日目 バンコク観光→パタヤへ移動
- 4日目 パタヤ観光
- 5日目 パタヤ→バンコク空港→夜香港着
日本人として中国人の団体ツアーに混じって海外旅行をする、というのは非常に貴重な体験で、面白い発見がたくさんあった。一同25名のうち、日本人は3人で最年長の私を含み、みなおじさん、中国人は若者から40代くらいまでで、男女比はほぼ半々、女子はみな若者である。
ガイドは深センから女性ガイドが同行、現地ではタイ人(華僑とのこと)男性ガイドが同行した。また、観光ポイントごとに現地ガイドがつく。どのガイドも中国語ガイド。
盛り沢山のスケジュール
往年の日本人団体海外旅行はこうだったか、と思わせる盛り沢山のスケジュール。これが事前に配られたスケジュールとは予告なく順序が入れ替えられたり追加になったりなくなったりで、融通無碍に変化する。全員で行ったのは概ねこんなところ。
- 名所旧跡
ラーマ王朝宮殿、玉仏寺、メナム河(乗船)、水上マーケット、神殿寺、水上四季村、風月歩行街
- ショー
おかまショー、タイ式キックボクシングや象のショー、船上レストランでのおかまショー、三合一・龍と鳳凰ショー
- アクティビティ
象に乗る、パタヤ金沙島で水上モータバイク(オプション)、海底散歩(オプション)、パラセール(オプション)、海水浴、タイ式マッサージ、フルーツ村でドリアンなど果物食べ放題
金沙島に行くボートは途中で沖合に浮かぶ平べったい構造物に立ち寄り、ここで何をするのかと思ったら、パラセールをやる。男は有無を言わせずやる感じなので旅行料金に入っているのかと思ったらあとで800バーツ(1バーツは3円強)も取られて、かなり高かったのだが、パラシュートのようなものを身に着けてモーターボートが引っ張ると空を飛べるスポーツだ。
説明が中国語だけなのでぼーっと聞いているうちに急に引っ張られてけつまずきそうになったが、走れ!の声でなんとか離陸。こういうオプションは個人旅行なら値段、安全性などをよく考えてこれまでやったことがなかったのだが、何でもありの中国団体旅行という感じだ。
金沙島海底散歩オプションは、今度こそ説明がよくわからないと海中では命に関わるので私は不参加。その代り、水上モーターバイクにチャレンジ。
- お仕着せ買物
宝石店、蛇から作った薬や皮製品を売る毒蛇センター、燕の巣専門店、タイ観光物産店
恥ずかしながら燕の巣を食べるのは初めてで、スープかと思ったら、甘いデザートだった!これは燕の巣がばらけた安いものだが、燕の巣の形になっているものは箱に入って高額で販売されている。
蛇から抽出した薬に関しては、我々のグループの中国人は熱心に説明を聞き、結構買っていた。こういうものは中国で珍重されており、中国で買うより安いということで高価なものだが何人かでお金を出し合って何種類かの薬を買っていた。しかし、帰国後調べたそうだが、ネット販売のタオパオで買った方が安かったとのこと。こういう失敗は利に聡い中国人はしない感じがするが、事前にこういうところを廻るという案内がなかったので準備不足だったのだろう。
重要なのは、中国人向けと思われるポイントが多いところだ。これらのお仕着せ買物ポイントはすべて中国人向けの店で、店員はみな中国語で話しかけてくる。ショー関係も客はほとんど中国人だった。
パタヤ金沙島の海の家も中国城と書いてあり、この海岸に来ていた観光客はみな中国人だったと思われる。その証拠に私が時計をしたまま海に入っていると、今何時かと、普通に中国語で聞かれるし、防水カメラで写真を撮っていると、それは防水か、と中国語で聞かれる。そもそもパタヤの街全体が中国人をメインのターゲットとしているように思われる。日本人観光客は全然見かけなかった。
よかったところ
1. 娘くらいの年齢の女子が仲良くしてくれ、ほとんどお父さん役のようなものでもあるが、一緒に写真も撮らせてもらい楽しかった。個人情報なので写真は載せないけれど、これらの写真は中国で働いた記念となる宝物だ。
2. お仕着せ買物ツアーが何度も組み込まれており、妻との旅行では妻が店員の餌食にならないよう注意が必要で落ち着かないが、若い女子と冗談を言いながら見るのは意外と楽しいものであった。うちの女子たちは日本語ができるので、日本語で話していると中国人相手の店では店員がセールスをしかけられないというメリット?もある。
3. 参加者は礼儀正しい。中国人海外旅行時のマナー向上は中国国内でも呼びかけられているようだし、これまでの個人旅行時に中国人団体に出くわすとうるさいと感じたことがあったが、私たちのグループはそんなことは全然なかった。
また、部屋割りの関係で、二晩は面識のない中国人の若者とホテルが同室になったが、やはり礼儀正しいし、バスルームの使い方などで気になることもないし、夜はしばし、中国語+英語で語りあったりして有意義だった。
パタヤのホテルの窓から見た何の変哲もない景色。中心部から離れた地味なところで立地はよくないが、ホテル自体は新しく清潔で機能的。
悪かったところ
1. 現地ガイド(タイ人華僑)がうるさく、品がない。バスの中では四六時中大声でしゃべりっぱなしで、下品な冗談を度々言うし、日本人が聞くと不快に思うような冗談も交じる。うちの女子たちもみな不満に思っていて、我慢をしていたがついに3日目、2人の女子がバスの中で意見を言い、ガイドがしゅんとなって黙ったのは痛快だった。日頃の仕事の様子を見ているだけに流石○さん!と感心したものだ。
2. 金沙島に行ったときの現地ガイド(タイ人)は特に品がなく、ビーチタオルで何かの形を作るといって、若い女子の前でおかしな形を作る。そんなのを見て喜ぶと思っているのだろうか。そういうのを喜ぶオッサン団体ツアーもあるのかもしれないが、日本人向けのガイドだったらセクハラでクビになるところだ。中国人に対しても失礼。
3. タイに行ったのにタイ料理が食べられなかった。一度朝食でタイ風の料理があっただけで、その他はすべて中華料理。しかもどこでも同じようなメニューで美味しくない。ツアーの料金が安いので最低限の料理なのかもしれない。美味しくないだけでなく、量も少なかった。
4. 観光ポイントで、見終わったあとの集合時間や場所をガイドが明示せず、だいたい集まると動き出すため、どこに行ってしまったのかわからなくなる。また、ガイドが旗を持っていないのでどこを歩いているのかわからなくなる。一度私も我慢しかねてガイドには文句いったが、そのときは調子よくわかったというもののそのうち元の木阿弥に。
びっくりしたところ
1. パタヤ風月歩行街は、バー、レストラン、各種ショップ、ショーを見せるクラブなどがある歓楽街。ここに同じ職場のメンバー男女合わせて10人ほどで夜繰り出した。この街に来たことのある中国人男性がシステムや料金などを交渉して上に上がると、ピンクショーが目の前で繰り広げられる。ここはおかまショーではなく出演者はすべて女性で怪しいショーを行う。
こんなところに若い女子を連れて来ていいのか??日本だったら絶対セクハラ行為でバッテンだが、こいうところは中国人はすごくオープンで男も女も気にせず見ている。でも無言で見ていた。
2. パタヤ最後の晩のオプションショーは、参加メンバーが5つのショーの中から選んだのが2つに割れた。どちらにするのかと思ったら、結局旅行会社が2つに分かれて連れていくのは面倒だからか、いつのまにか三合一・龍と鳳凰ショーというのに決まっていた。ここは中国人観光客専用の大きな劇場で、男、女、おかまの三つ合わせて出てくるのでそういうショーの名前になっているらしい。
観客は老若男女取り混ぜ、一部外国人を除いてほぼ全員中国人。ダンサーは露出度100%で客席の方まで入ってくるので、手を出して触ったりする中年女性客や、顔を隠して逃げている若い女性客などさまざまであるが、日本人社員旅行でこのようなところに男女全員で行くのはあり得ないと思われ、恐るべし中国人、流石中国人と言ったところである。撮影禁止のため写真はなし。
なにかとホットなタイ旅行、犬もおなかを氷で冷やしてお疲れ様。
(2014/9/28)
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