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伊検(独検との比較)

伊検(独検との比較)

イタリア語とドイツ語はどちらが難しいか

 6月に独検3級を受験し無事合格したので、将来のイタリア旅行に備えて伊検5級を受験した。私のなかでは独検5級、4級は昨年併願で同時に受験したが特に大変ということはなかったので、伊検5級くらいは少し勉強すれば受かるだろうと考えていた。旅行会話レベルで少し勉強したフランス語に比べて、イタリア語は同じラテン語系統でもわかりやすい、とっつきやすいと感じていたこともある。NHK教育テレビの「旅するフランス語」、「旅するイタリア語」を見ていてもフランス語に比べてイタリア語の方がわかりやすく感じられていた。

 しかしこの考えは甘かったことが8月中旬に勉強をし始めてすぐにわかった。イタリア語検定対策本を買って1課分勉強して練習問題をやってもほどんどわからず、解説を見てもわからない。これは、しばらくしてわかったが買ったイタリア語の本がいけなかった。三修社【改訂版】イタリア語検定4・5級突破(藤谷道夫/一ノ瀬俊和共著)という本だが、これはイタリア語をまともに勉強している人が、伊検を受験する際におさらいやテストの出題範囲を確認するような本だったのだ。

 独検5、4級を受験したときは、ナツメ社 30日で話せるドイツ語会話(岡本和子著)を旅行前に2ヶ月ほどやって旅行し、半年後に第三書房 独検合格4週間neu 5級(在間進/亀ヶ谷昌秀共著)と同4級という本で約2ヶ月勉強したのだが、その本以外はたまに文法書を参照したくらいでほどんど使わなかった。このシリーズは3級まで利用したが、各級に必要な発音から文法までが概ね過不足なく記されており、各課ごとも練習問題もその課の学習後にやればできるようなものだった。

 このような経験から伊検も上記のようなタイトルの本が一冊あれば大丈夫という思い込みがあったのだ。ところが、この本はそういう本ではなかった。ある課を読んでいても、例外の説明から始まり、基本のことが書かれていないということがしばしばあり、NHK出版 これならわかるイタリア語文法 入門から上級まで(武田好著)という文法書を併読しなければならなくなった。また、この伊検対策本は、タイトルに4・5級とあるように二級併用なのだが、練習問題で〇〇年度4級とか〇〇年度5級とか明記されていない問題が多くあり、これは5級の範囲ではできなくてよい問題かわからず、できなくてフラストレーションがたまるということがよくあった。また、全ての問題文には日本語訳がついておらず、回答の解説が省略されている場合が多く、いちいち辞書を引かねばならず、引いても出て来なくて心底いやになった。

 結局この本はひととおり最後までやったところで打ち捨て、今度は読者レビューをちゃんと読んでからベレ出版 本気で学ぶイタリア語(本多孝昭著)という本で再スタート。この本のキャッチフレーズは、「丁寧な文法解説&豊富な例文で、つまずくことなくしっかり身につけられる」というもので、公文式ではないけれど簡単なことから着実に学んでいくような感じで前の本でのイライラが解消されていく感じがした。

 さて、ここまでは勉強方法というか本の選定が間違っていたせいでイタリア語が難しく感じられただけではないか、と思われそうだが、実際イタリア語はドイツ語よりも難しい、面倒、覚えることが多い、と感じられたので、具体的にどこが難しいのかを初学者の観点でここから述べていきたい。ただし、イタリア語は5級かせいぜい4級レベルまでしかやっていないので、基本的な部分での比較となる。因みにドイツ語は学生のときに第二外国語として数年学んだが40年以上前のことで、この経験があるからドイツ語の方が簡単と感じられたのではないかというと、まあゼロではないがあまり関係ないと思う。みなさんも昔学んで以来何十年間ふれていない第二外国語のことを考えてみるとわかるのではないか。なお、以下で述べる文法的内容は、ドイツ語、イタリアの初学者が自分の理解の範囲でさっくりまとめたことなので、間違っていたら笑い飛ばしてほしい。

1. 冠詞類

 ドイツ語の定冠詞は、冠する対象の名詞が男性名詞、女性名詞、中性名詞、複数名詞のいずれかによって形が変わる。また、文中で1格(主格 ~は)、2格(所有格 ~の)、3格(目的格 ~に)、4格(目的格 ~を)のいずれに使われるかによって形が変わる。つまり、4×4=16種類の冠詞がある。

  男性 女性 中性 複数
1格 der die das die
2格 des der des der
3格 dem der dem den
4格 den die das die

 

 イタリア語の定冠詞は、ドイツ語のように格によって形が変化することはない代わりに、定冠詞の次の語の最初の文字(語頭音)が何かによって定冠詞が異なる。

男性名詞につくとき

定冠詞の次の語の最初の文字 単数 複数
ほとんどの子音 il i
s+子音、z(gn、psなど) lo gli
母音 l’ gli

 

女性名詞につくとき

定冠詞の次の語の最初の文字 単数 複数
子音 la le
母音 l’ le

 

 イタリア語は、学習を始めた最初のところでこのように見慣れない文字の並びが出てくるので奇異な感じがし、シニアの頭ではなかなか覚えらずに苦労した。ドイツ語は次の語の最初の文字なんかで冠詞が変化することはなかったし、全部dで始まるので、16種類もあるが1つのグループとしてまとまりがよかったが、イタリア語ではiとかloとかgliとかl’とか統一性がなく頭にすっと入って来ない。そしてこの定冠詞の変化は、その後に学習する指示形容詞の変化にも入って来て、語尾がそのものではないが似たように変化する。似たように変化するので覚えやすいとも言えるが完全に同じではないところが覚えるのに苦労する。

イタリア語指示形容詞quello(あの)

男性名詞につくとき

quelloの次の語の最初の文字 単数 複数
ほとんどの子音 quel quei
s+子音、z(gn、psなど) quello quegli
母音 quell’ quegli

 

女性名詞につくとき

quelloの次の語の最初の文字 単数 複数
子音 quella quelle
母音 quell’ quelle

 

 残念なことに指示形容詞questo(この)はこの形の変化をしない。

イタリア語 指示形容詞questo(この)

questoのあとにくる名詞 単数 複数
男性名詞 questo questi
女性名詞 questa queste

 

 questoは、語尾が男性(単数・複数)、女性(単数・複数)により、o,i,a,eと変化するだけなので、quelloもそうかと思うと間違えることになる。

 一般の形容詞の語尾もquestoと同様にo,i,a,eと変化したり、e,i,e,iと変化したりするのでこの形容詞はどちらのタイプに変化するのかを覚えないといけない。さらに名詞も単数か複数かによって語尾が変化する。名詞の語尾変化は形容詞の語尾変化と連動しているものとそうでないものがある。

 一方、ドイツ語の「この」は語尾変化が定冠詞と似た変化をするために定冠詞類と呼ばれている。ということはこれも4×4=16種類の変化形がある。

ドイツ語 定冠詞類dieser(この)

  男性 女性 中性 複数
1格 dieser diese dieses diese
2格 dieses dieser dieses dieser
3格 diesem dieser diesem diesen
4格 diesen diese dieses diese

 

 この他、welcher(どの)とか、不定冠詞のein(ひとつの)とか、所有冠詞のmein(私の)などにもこういう16種類の変化がつきまとうので、ドイツ語はドイツ語で大変である。ドイツ語は先にやったので、後から新しくやったイタリア語の変化の仕方が受け入れられないだけかもしれない。因みにドイツ語名詞の複数形は、語尾に何もつけない、-eを付ける、-erを付ける、-enを付ける、-nを付ける、-sを付けると色々あったので、先入観なしで言うとドイツ語の方が大変かもしれない。しかし、4×4の変化は、統一感がありかっちりしたドイツ語の美しさと思う。

2. 動詞

 イタリア語の動詞は、辞書の見出し語に掲載される不定形(原形)とは想像もつかない形に姿を変える。変化形で辞書を引いても出てこないことが多いのでストレスがたまる。英語のhaveに相当するavereは、動詞としても助動詞としても使われるが、(直説法)現在形の活用形は人称により以下のようになる。

イタリア語 動詞avere(持つ)の活用形(直説法現在)

人称 動詞の活用形(カナは発音イメージ)
io 私 ho オ
tu 君  hai アーイ
lui/lei/Lei 彼/彼女/あなた ha ア
noi 私たち abbiamo アッビアーモ
voi 君たち avete アヴェーテ
loro 彼ら、彼女ら hanno アンノ

 

 不規則変化動詞とは言え、不定形のavereがどこにも出て来ないのはひどいし、もとの姿がほとんど想像不可能である。規則変化動詞でも不定形は活用形のどこにも出てこないが、もとの姿は慣れてくるとわかるようになる。

 一方、ドイツ語ではhabenだが、以下のように活用する。

ドイツ語 動詞haben(持つ)の活用形(直説法現在)

人称(単数) 動詞の活用形 人称(複数) 動詞の活用形
ich 私 habe ハーベン wir 私たち haben ハーベン
du 君 hast ハースト ihr 君たち habt ハープト
er/sie/es 彼/彼女/それ hat ハット sie 彼ら、彼女ら、それら haben ハーベン
Sie あなた haben ハーベン Sie あなた方 haben ハーベン

 

 不定形のhabenは、二人称単数敬称のSie、一人称複数のwir、三人称複数のsie、そして二人称複数敬称のSieの4箇所に出てくる。他の動詞(seinを除く)でもこの4箇所は不定形と同じだ。加えて活用形は不定形の変化形であることが十分に推測できる形だ。このhabenも不規則変化動詞だが、頭の二文字は全てhaであり、不規則変化動詞といえどもイタリア語のように全く姿を変えるものは英語のbe動詞に相当するsein以外には見たことがない。essen(食べる)が二人称単数と三人称単数でisstとなるくらいが語頭まで変わる一番大きな変化の部類ではないだろうか。因みに英語のbe動詞相当のイタリア語essere動詞は以下のような不規則変化だが、イタリア語は原形をとどめない変化をするものが多いのでこれくらい変化しても気にならなくなってしまう。

イタリア語 動詞essere(~である)の活用形(直説法現在)

人称 動詞の活用形
io 私 sono ソノ
tu 君  sei セイ
lui/lei/Lei 彼/彼女/あなた è エ
noi 私たち siamo スィアーモ「
voi 君たち siete スィエーテ
loro 彼ら、彼女ら sono ソノ

 

ドイツ語 動詞sein(~である)の活用形(直説法現在)

人称(単数) 動詞の活用形 人称(複数) 動詞の活用形
ich 私 bin ビン wir 私たち sind ズィント
du 君 bist ビスト ihr 君たち seid ザイト
er/sie/es 彼/彼女/それ ist イスト sie 彼ら、彼女ら、それら sind ズィント 
Sie あなた sind ズィント Sie あなた方 sind ズィント

 

イタリア語 動詞preferire(~の方を好む)の活用形(直説法現在)

 これは規則変化動詞だがややくせのある変化をする語尾が-ireタイプのisco型と呼ばれるものだ。このisco型はいったん覚えるとこの独特の語尾変化が面白くもなる。

人称 動詞の活用形
io 私 preferisco プレフェリスコ
tu 君  preferisci プレフェリッシ
lui/lei/Lei 彼/彼女/あなた preferisce プレフェリッシェ
noi 私たち preferiamo プレフェリアーモ
voi 君たち preferite プレフェリーテ
loro 彼ら、彼女ら preferiscono プレフェリスコノ

 

イタリア語 動詞uscire(出る、出かける)の活用形(直説法現在)

 これは不規則変化動詞だが語尾が上述のisco型に似た変化をするものだ。何だこれは!?と怒りたくなるような変化だが、できの悪いほど可愛いではないが、印象的な変化なので却って覚えたりする。

人称 動詞の活用形
io 私 esco エスコ
tu 君  esci エッシ
lui/lei/Lei 彼/彼女/あなた esce エッシェ
noi 私たち usciamo ウシアーモ
voi 君たち uscite ウシーテ
loro 彼ら、彼女ら escono エスコノ

 

イタリア語の過去形

 イタリア語には直説法の過去形が近過去、半過去、大過去とか5種類もあるとのこと。一番最初に学ぶ近過去が5級の試験に出ると書かれており、過去には出題されていたようだが、今回は出なかった。近過去は、いちばん普通に使う「~した」という過去形だ。これは、各々の動詞について人称ごとの活用形を覚える必要はなく、過去分詞だけ覚えて、その前に動詞ごとにどちらを使うか決まっている助動詞essereまたはavereの人称活用形(上述)をつければよい。ただし、助動詞essereを使う場合、主語が男性か女性か複数かによって過去分詞の語尾が変化する。

ドイツ語の過去形

 ドイツ語は、直説法では過去形と完了形の2種類が3級の本には載っている。それで動詞は不定形(原形)の他に過去基本形、過去分詞がある。これだけなら英語と同じと思ったがそうは問屋が卸さず、過去形では、過去基本形が人称変化する。これも規則変化動詞、不規則変化動詞、でそれぞれに変化するので、この点ではドイツ語の方が大変である。ただ、直説法の過去がもし2種類しかないなら、5種類もあるイタリア語はその概念も含めてなかなか難しいのではないかと思われる(未学習)。

3. 主語がないイタリア語

 イタリア語は主語が省略されていることも多い。主語が必ずある英語やドイツ語に慣れているとすごく変な感じがする。いったい主語がどこにあるんだ?とパニックになりかねない。しかし動詞の活用形を見ると全部形が違うことから主語が誰なのかを判断できるのだ。

4. 発音

 発音は、ドイツ語、イタリア語ともに各々のアルファベットの発音と、若干の規則に従えばそう間違えることはなさそうだ。英語のように同じ母音「a」でも発音が何通りもあるということがない。アクセントがどこにあるかはそれぞれ色々あるので、これは覚えるか慣れるしかない。スマホ(iPhone)にドイツ語キーボードとイタリア語キーボードを導入しておいて、テキスト例文を自分で読み上げるとドイツ語の方が認識率がよく、イタリア語の方が認識されない率が高い。発音が悪いと言われればそれまでだが、ドイツ語の方が易しい気がする。音声認識の性能にもよるだろうが、イタリア語は語間をあけずに続けて流暢に読まないと認識されにくいようだ。発音の面白さという点では、イタリア語がEcosi piccolo!(エコジ ピッコロ=何て小さいの)とかOttama idea!(オッタマ イデア=すばらしい考えだ)とか促音が入って可愛らしいものが多くて楽しい。ドイツ語の方は四角四面な印象で一語一語か独立しており、イタリア語のように冠詞と次の語がつながって別の音に聞こえるということが起きにくい。

因みに独検では5,4,3級すべてで発音問題が出たが、伊検5級では発音問題は出なかった。

5. 検定試験の難しさ

 特定非営利法人国際市民交流のためのイタリア語検定協会の実施する実用イタリア語検定5級と、公益財団法人ドイツ語文学振興会独検事務局の実施するドイツ語技能検定試験5級の比較である。双方とも、筆記試験とリスニング試験があるが、質・量ともに圧倒的に伊検の方が難しい。

伊検5級

 2019年秋季、リスニング問題は絵の選択肢を選ぶ問題が12問、文の選択肢を選ぶ問題が8問の合計20問。会場に流されるイタリア語音声は完全にナチュラル・スピードなので初学者にはついていくのが困難。そのうえ、会話は2度流されるが、問題の音声は最後に1度流されるだけなので、何を問われるかに絞って聞くことができないという難しさがある。しかし録音音声は、試験用の会話なのに何人もの男女が流石イタリア人と言うべきか迫真の演技力でしゃべるので、内容が聞き取れないときはその声音から回答を推測したりした。筆記問題は36問で選択肢から正しいものを選ぶか正誤の判断を行う。最後の長文読解は23行でかなりのボリューム。合計56問(全てマークシート方式)、合格基準は総合で70%以上の正答率、リスニング、筆記の各々で最低60%以上の正答率とされている。試験時間は80分でリスニングは冒頭の23分ほど。

独検5級

 2018年夏季、リスニング問題は絵の選択肢を選ぶ問題が3問、1,2語程度の選択肢を選ぶ問題が3問、会話の内容を示した日本語文の選択肢を選ぶ問題が3問の計9問。ドイツ語音声はゆっくりで短い。しかも会話、問題文の順で2度あるいは3度流してくれるので問われる内容に絞って聞くことができる。筆記問題は23問。合計32問(全てマークシート方式)、合格基準は総合で60%以上の正答率の模様。

 独検の方が問題は簡単で合格基準も低いので明らかに合格しやすいのではないか。試験実施団体の独自の考え方が各々あるのだろうが、外国語検定試験で同じ級なら概ね同等のレベルになるように問題の難易度やリスニングの音声スピードや、合格基準を設定することはできないのだろうか。私の受験した印象では、伊検5級は独検3級に匹敵するくらいの難易度だった。

6. 受験者数

 伊検は東京の会場で受験したが、5級は大人数を収容できる教室で多くの方が受験していた。男女比率は9割が女性で、多くは中年女性だった。ドイツ語を受験したときは男女比率は同等で、学生が多く見えたのだが。いまどきの大学の第二外国語は何を教えるのか知らないが、ちょっと調べてみるとドイツ語に比べるとイタリア語はかなりマイナーらしい。やはり独検は第二外国語でドイツ語を選んが学生の受験者が多く、伊検はイタリアが大好きな人が受けているのではないかと思われる。各主催団体の発表では、以下のように通算で独検受験者の方が約3倍多い。

伊検 

 1995年から2018年までの23年間で延べ107,170人。男女比は女性63.7%。一番簡単な5級は全体の平均より女性比率が多くなっているものと見られる。年齢構成は不明。

独検

 1992年から2015年までの23年間で延べ約33万人。男女比率は不明。一方年齢構成は10歳代、20歳代の合計が73.8%(2018年の受験者)で、大学で第二外国語を学んでいる人の受験が多いことがうかがわれる。

7. 結局どちらの方が難しいのか

 ここまでで検定試験は伊検が独検より難しいことが明らかとなったが、言語自体では、ドイツ語はゲルマン語系統の王者の風格を持つ複雑な人称格変化を備えているし(個人的思い込み)、イタリア語はラテン語の直系を感じさせる変幻自在の美しさがあり(同上)、言語自体の学習上の難しさは、甲乙つけがたい。

 変化形なども試験のために覚えるのは辛いが、語感の面白さはイタリア語は上述したとおりで、ドイツ語では動詞gehen(行く)の現在形、過去形、過去分詞は、gehen, ging, gegangen (ゲーエン、ギング、ゲガンゲン)といかにもドイツ語的な響きがして好きである。

 覚えるのが大変でも、それがやりたいなら、やる必要があるのなら、好きなところを見つけて楽しんでやってゆくのがよいのではないだろうか。

 因みに日本人が最初に習う外国語である英語は、ドイツ語と同じゲルマン語の仲間だが、定冠詞はtheの一語で、次の語の語頭音が子音か母音かによってtheの発音が異なるだけだし、動詞の人称格変化などもない比較的簡単な言語でよかった。言語の進化か退化か知らないが、変化の過程で難しい部分が削げ落ちてしまったのだろうか。英語が世界的に共通語として使われるのは大英帝国の植民地支配のためではあるが、文法が簡単なこともそのまま使い続けられている要因ではないかと思われる。

(2019/10/14)