製作記事

40年前自作機の修理

40年前自作機の修理

40年前自作機とは

学生時代に作った50MHz SSBトランシーバのことです。
1973年のCQ ham radio誌に連載されたJH1QZT OMの製作記事にほぼ沿って作ったものです。
これは、完成直前の段階で、次の2箇所が色々試したもののうまく動作せず、放置していました。

  • Sメーター回路
  • リニアアンプ部(真空管式)

50MHz SSBトランシーバ内部

電源は入るか?

40年も前のものだと電源が果たして入るのだろうか、という問題があります。主には電源回路の電解コンデンサがまともな状態にあるかということです。
アルミニウム電解コンデンサは長期保存後(長期と言っても40年とかではなく6ヶ月程度)は、電解皮膜の活性化処理が必要とコンデンサメーカのデータシートには書かれています。10KΩの抵抗を通じて定格電圧を数時間印加する、というようなことで、電解皮膜を活性化し、容量を復活させるという処理です。実装済みのコンデンサについてはAC100V電源の装置なら急に100Vをかけずに、スライダックで8時間くらいかけて0Vから100Vに少しずつ電圧を上げてゆくという処理になるそうです。このために小容量のスライダックがいくらくらいで買えるか秋葉原で調べましたが、およそ1万円台で買えることがわかりました。

しかしこんなことをやっても、電解液が干上がっていたら(ドライアップ)意味がありません。スライダックを買っても無駄です。

そこで、えいやっ、で電源を入れてみました。
電源入れて数秒は50MHz特有のノイズ音が大きく聞こえますが、すぐに小さくなり、ボリュームを上げても音が大きくなりません。

やはりおかしいか。

電源電圧をあたってみると、
 +24V出るべきところが+7V
 +12V出るべきところが+10V

やはりおかしい。

電源基板をよく見ると、電解液が漏れて乾いた跡がありました。
実はここは電圧マージンが全くない状態で使われていたことが捨てずにとってあった回路図を見てわかりました。学生時代の設計ですが、何を考えていたんだか。

液漏れしたアルミ電解コンデンサ

さっそく、電解コンデンサを買って交換。液漏れしたところだけでなく装置内の電源回路のすべての電解コンデンサ交換(高圧部は未)。基板は汚く見えますが、これでも乾いた電解液の残滓を削り取ってきれいにしたつもりです^^;
電解コンデンサの定格電圧は16Vから25Vに変更しても一廻り小さくなりました。

交換後のアルミ電解コンデンサ

この他、ゲルマニウムのパワートランジスタで組まれていた+24Vの安定化電源回路も三端子レギュレータに交換してOKとなりました。

50MHzバンドを聞いてみると

ベランダに設置したばかりの小型V型ダイポールアンテナ(COMET CHV-5)をつなげて聞いてみました。
日曜日でもほとんど誰も出ていません。コンテストがあるときくらいですね、賑やかなときは。それからEスポが出たとき。
40年前は東京・杉並区に住んでいましたが、50MHzは強力なローカル局がたくさん出ていたものです。今は茨城県とはいえ、さえぎるものもあまりないので東京の局が聞こえてもいいと思いますが、東京でもあまりいないのでしょう。

それで50MHz用として修理しても相手がいないのでは仕方がないので、21MHz用として復活させようかと構想中です。
(2011/8/1)

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