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スイススキー旅行
夢を現実に
高校の同窓会でスキーを復活しようと声を掛けられ、18年振りにスキーを再開する機運が出て来たことに合わせて、昨秋のヨーロッパ鉄道旅行の際にスイスの山で「ここはスキー場か、今度は冬に来てみたいものだ」とつぶやいたのを妻が覚えていて、それならスイスにスキーに行こうよ、と言いだした。私も妻もスキーは卒業して2度とやらないものと思っていたが、突然スイススキーとは発想が前のめりというか、目標が高いのはさすがである。
私はリタイヤしてフリーだが、妻は年度末までは有給休暇がほとんどないとのことで、2月に2泊3日の北海道スキーは設定したものの、スイスは来シーズンだろうということでとりあえずどんな日程、費用なのか下調べを始めた。ところが3月に週末と春分の日をあわせて5連休が取れることになり、スイス・グリンデルワルト3泊5日の弾丸スキーツアー決行となった。
スキーは丸2日間だけなので短すぎてもったいないとも思ったが、年齢を考えると行けるときに行った方がよいと考えた。
事前準備
ツアーの選択
スイスのスキーツアーは、グリンデルワルト、ツェルマット等、8日間、9日間、11日間などと長いものが多いが、大手J社のグリンデルワルト6日間298,000円というのが最短で手頃だった。6日間休みが取れればこれに決定するところだったが休みは5日間である。昨秋のヨーロッパ鉄道旅行でフレキシブルに対応してくれたH社にすでに来シーズンの見積りを出していたが、急遽3/17(土)~3/21(水)の決め打ちで設定可能か確認依頼。5日間でスキーを丸2日間するには日本-スイス間の直行便(成田-チューリッヒ)を唯一運行しているスイスインターナショナルエアライン(以後スイス航空)を利用するしかない。これが取れない場合のために、各地経由便かドイツ(フランクフルトもしくはミュンヘン)、イタリア(ミラノ)、フランス(パリ)からの鉄道移動を調べたが5日間で丸2日間スキーをする時間は取れないことがわかった。
幸いスイス航空の予約が押さえられた。5日間だが30万強と少し高くなってしまったのはホテルを前回と同じEiger Selfness Hotel(アイガーセルフネスホテル)のアイガービューの部屋を希望したことと、スキーガイドさんがグループツアーではなく私たち2人専用になってしまっていることが原因と思われる。スキーリフト券は2日券である。
現地交通手段(2018/4/6 本項訂正)
スキーツアーなので空港からスキー場まではバスがふつうだが、私たちは2名だけのオーダーメードなので鉄道移動である。昨秋経験したので鉄道移動には慣れているものの、スキーを担いでの大荷物なのでできればバスにしたくて調べてもらったが1人52,000円アップになるとのことで断念。結局スイストランスファーチケットという、スイス入国地点から目的地点までの往復だけに使える鉄道チケットを利用することになった。後でわかったことだが、チューリッヒ~ベルン~インターラーケンオスト~グリンデルワルトのルートでふつうに片道切符を買うと43.5CHF(スイスフラン)なのに対してこのチケットは140EUR(ユーロ)である、と初版で書いたが、43.5CHF(正しくは43.2CHF)はSBB Mobileアプリの画面に表示されるのでそう思ったのだが、これはTickets from CHF 43.20と表示されているように最低運賃だったらしく、ここクリックするとCHF 86.40と出てくる。どこかの時点で自分達の氏名と生年月日を登録したからだろう。因みに小学生くらいの年齢を入れてみるとCHF 43.20と表示されるのでこれは子供料金だったらしいが、デフォルトで子供料金を表示するのはちょっと紛らわしいアプリである。よって、
(誤)43.2CHF×112円/CHF×2(往復)=9,677円
(正)86.4CHF×112円/CHF×2(往復)=19,354円
140EUR×133円/EUR=18,620円
(通貨レートは利用当時の記憶による)
なのでふつうに切符を買うよりはスイストランスファーチケットの方が割安だった。
因みに日本語で最短コースでの移動に適用、との記載があり、ベルン経由よりルツェルン経由の方が距離が短いので旅行会社に確認したところこれで問題ないとのことだった。時間はベルン経由の方が早いのでこれが標準ルートとされているのかもしれない。
ドイツ語会話
スイス・グリンデルワルトはドイツ語圏である。昨秋の旅行後もドイツ語、フランス語の勉強は続けており、ウォーキング時に会話本の録音を聴くのと、テレビ「NHK旅するドイツ語」と、「NHK旅するフランス語」を視聴している。とはいえフランス語は相性が悪く熱が入らない。
旅するドイツ語の旅人役の俳優・前川泰之さんは、けっこう意欲的にドイツ語をしゃべっており、前回私が勉強した「30日で話せるドイツ語会話」にない表現が出て来たりすると、私の知らないことを勝手にしゃべっている、と前川さんをライバル視して差をつけられないように頑張っている。この中で前川さんが鉄道の切符を買うシーンがあり、これはノートしておいたので買おうと思えば切符も買えたのだ。番組に出てくるアニメのキャラクターの重厚なベートーベンさんや軽やかなシューベルトさんはなかなかキャラクターが作り込まれていて面白く勉強することができたが3月いっぱいで終わってしまったのは残念だ。
スマホのネット接続
今回は現地滞在4日間なのでモバイルWiFiルータに入れる海外用データSIMカードは最小容量で2GB(有効期間30日)、2,080円のものをAmazonで購入。Activateの説明があったが、現地でこのSIMを挿入したルータの電源を入れるだけで特になにかの操作をする前につながっていた。
なおスキーをする2日間は私がモバイルWiFiルータを持っている状態で夫婦が離れ離れで最悪行方不明になる可能性を考え、この2日間は妻はWiFiルータ経由のデータ通信でなく、携帯電話のデータ通信を使用することにする。つまり、海外旅行時はdocomoの高額の海外パケット代の発生を防止するためにデータ通信をOFF設定にして行くが、今回はスキーの2日間だけはON設定に戻すということである。また、海外にいて関係のないアプリは成田出発時にデータ通信をしない設定に変更しておいた。
第1日 成田~チューリッヒ~グリンデルワルト
成田空港~チューリッヒ空港
出発時刻の24時間前から可能なWEBチェックインを済ませていたので、成田空港では荷物預けカウンターに直行。スイス航空の日本便はエコノミークラスで23Kgの荷物を2個まで無料で預けられる。スキーは3辺合計の長さ制限を越えるが問題ない。「スキーを預ける際に、万全の注意をもって取り扱いますが、万一傷ついた場合はご容赦ください。」とのお断りがあったが、それはないよなと思いつつも荷物タグの裏面に承諾のサインをする。
因みに24時間以上前にWEBチェックインをしようとすると、座席指定のところでどの座席であっても3,100円が必要と出てくる。また、23時間前からは無料で座席が指定できるとの説明がある。それでは24時間前からでは座席が指定できないのではないかという不安が出てくる。24時間前になってWEBチェックインをしてみると、すでに座席が指定されており、31D、31Eである。機種はエアバスA340-300でエコノミークラスの座席配列は、2-4-2でD、Eは真ん中4人の通路側とその隣だが、A、Bの方が2人掛けでくつろげるので変更してみると、これは無料で変更可能だった。これは即ち24時間前から座席が無料で指定できるのとほぼ同じなので、23時間前からは無料で座席が指定できるという表現は利用者に不安を与えるだけで不適切と思う。
WEBチェックインすると一連の流れで搭乗券の印刷と荷物タグの印刷を行えるようになっている。A4の用紙に印刷すると、搭乗券は横幅そのままに4つに折りたたむとちょうどよい塩梅になるが、荷物タグは、こんなに大きいのをどうするのかと思っていたが、カウンターで横半分に折ったあと縦半分におりハガキ大(A6サイズ)にして専用のビニールケースに入れてスーツケースに取り付けてくれた。スキー用と2枚印刷していったが、スキーの方がなぜかこれは使わず、ふつうの荷物タグをカウンターで印刷して巻き付けていた。
LX161 成田 3/17 11:05~チューリッヒ 3/17 15:50(フライト時間12:45)
エアバスA340-300は、4発のエンジンを持つ機体としては細身である。機内のパンフレットにスイス航空の保有機の案内(下表に要約)があったが、以下のようにワイドボディ―機(通路が2本あるタイプ)としては座席数が少ない。ビジネスクラスの席数が多いこともあろうが、エコノミークラスで座席配列が2-4-2は2人で利用した場合に中央部の席でなければ、3-3-3配列や3-4-3配列のよう見知らぬ人が隣にいるということがなく、かつ窓側の席でも隣にいるのは身内のためトイレに行く際に気兼ねする必要がないため快適性が高い。
機種 | ボディータイプ | エンジン数 | 座席数 | 保有機数 |
Boeing 777-300ER | ワイド | 2 | 340 | 10 |
Airbus A340-300 | ワイド | 4 | 219 | 6 |
Airbus A330-300 | ワイド | 2 | 236 | 14 |
Airbus A321-100/200 | ナロー | 2 | 219 | 9 |
Airbus A320-200 | ナロー | 2 | 180 | 19 |
Airbus A319-100 | ナロー | 2 | 138 | 5 |
Bombardier CS300 | ナロー | 2 | 145 | 8 |
Bombardier CS100 | ナロー | 2 | 125 | 8 |
欠点としては、窓側の席(A席)は、足元に何かの設備のボックスがあるため通路側の席では全幅足が伸ばせるのに、ここでは3分の1くらいが塞がっているため両足が満足に伸ばせず、帰りは膝が痛くなった。また、オーディオ・ビデオ設備がいかにも古いため、画面が暗く、リモコンも使いにくかった。往きはブレードランナー2049を見始めたのだが、画面が暗くて見にくいので途中放棄。食事は離陸後、飲み物に引き続き昼食が、途中でおにぎり(梅)が、到着2時間前には軽食が出された。いずれも美味しかった。
成田を定刻に出発し、チューリッヒへは約30分早く到着。空港内のトラムに乗って別棟へ移動。入国審査は非常に空いており、入国審査官には、どこに行くにか、何しにいくのか、何日間だ、と尋ねられた。Grindelwaldは日本語的に平板にグリンデルワルトというと通じないと何かで見たので、ドイツ語的にグリンデルヴァルト、とリンのところを強調してOK。(なおWikipediaによると、Grindelwaldのあるベルナー・オーバーラント地方では標準ドイツ語のようにグリンデルヴァルトではなくグリンデルワルトと発音するので日本ではグリンデルワルトと表記されることが多いそうだ。知らなかった。)
預け荷物の受け取りは、スーツケースが出て来たあとスキーが出て来ないと思ったら大物はベルトコンベアではなく別のところに出しており、空港係り員がスキーの袋ごと投げ置いていた。ちっとも万全の注意をもって取り扱ってないではないか。
チューリッヒ空港~グリンデルワルト
到着ロビーから建物を出、空港内の道路を横断し向かい側の建物へ。ここからエスカレータで地下へ降りるとチューリッヒ空港駅。17:18発の電車に乗る予定だったが、ここでまだ16時前。旅行会社からは16:40発から18:18発まで6パターンの乗り継ぎ時刻表をもらっていたが、その範囲外だ。もともと計画段階で、スイス航空はわりと正確とは聞いていたものの、万一成田空港大雪などで大幅に遅れた場合にどうするかというのは調べてあり、最悪23:43にチューリッヒ空港駅から電車に乗れば最終区間のインターラーケン・オスト~グリンデルワルトは最終バスでグリンデルワルトに着けることがわかっていた。しかし早着は想定外で、このようなときのためにスマホにダウンロードしておいたSBB Mobileというスイス国鉄のアプリを調べたところ、16:18発の電車があることがわかり、もう一階下のプラットフォームへ。
以下はアプリの画面写真だが、最初のものがチューリッヒ空港駅(Zürich Flughafen)~グリンデルワルト(Grindelwald)を通しで4パターン表示したもの、この1パターン目、16:18発19:08着のものの乗り継ぎを表示したものが、2枚目、3枚目の画面写真で3回乗り換えである。
Zürich Flughafenでは16:18発で、列車番号はIC726、Geneve-Aeroport(ジュネーブ空港)行きに4番線(Pl.4)から乗ることがわかる。この区間は1等車も2等車も空いていることになっている。
間もなく入線し、当駅始発ではないが空席はある。スーツケースはデッキ付近の荷物置き場に置いたが、スキーは置けなかったので網棚へ。相席の年配女性がいろいろ英語で話しかけてき、「そう、グリンデルワルトに行くの、天気予報をみてあげるわね、19℃よ。」ぎえーっ、そんなに暖かかったかな、雨だと困る。でも実際スキーをするのはそれより標高が1,000mくらい高いクライネシャイデックだからきっと雨は降らないと思う、とか話しているうちに次のチューリッヒ中央駅でその女性は降り、代わりに大勢乗って来てワンボックス3人掛けだったのが4人掛けとなり車両はほぼ満席。
SBBのアプリは区間毎に混雑状態が表示されるほか、発着番線が表示されるのでヨーロッパ全域カバーのEurailアプリより行き届いている。
最初の乗換駅Bern(ベルン)では5番線(Pl.5)に到着し、6番線(Pl.6)から出発し、乗り換え時間は6分であることがわかる。ただし、5番線と6番線が乗り換えやすい同じホームか大荷物をかかえて隣のホームに移動するかは駅の構内図などを予め調べておく必要がある。調べた結果、ここは同じホームである。Bernから先は2等車に赤い人型が3つ表示されており、実際スイスの首都ベルンからの帰宅ラッシュで混んでいたが、30分弱なのでデッキで立っていた。
次のSpiez(シュピーツ)での乗換は3番線から2番線だが、これは駅の構内図がみつからず、乗り換え時間が3分しかなくおまけに5分ほど遅れたため乗り換えられるか不安だったが、幸い同じホームで待っていてくれたため無事乗り換えられた。この電車はローカル線ぽくて空いていた。
最後のInterlaken Ost(インターラーケン・オスト)での乗り換えは8番線から2B番線でホームは離れており、しかしホームと連絡地下道との間はスロープがある。小走りで駆け下り駆け上がったが、スロープは前方の2A番線に近い方に出るためホームに上がってから後方の2B番線までさらに100mほど急ぎ、ぎりぎり間に合った。因みにBOB(ベルナー・オーバーラント鉄道)は、インターラーケン・オストではグリンデルワルト行きとラウターブルンネン行きが連結されており、途中で切り離されるのだが、グリンデルワルト行きは同じ2番線でも後方のBの位置で乗らないといけないのだ。
19:08にグリンデルワルト(1,034m=標高、以下同じ)に到着。路面は濡れており雪が降っているがそう寒くはない。多分昼間は雨だったと思われる。
幸い駅前にタクシーがいたので、乗り込む。わずか数百メートルだが大荷物、降雪、上り坂で歩くのは勘弁してほしかったので助かった。料金は14CHF(約1,500円)。
夕食(レストラン クロイツ&ポスト)
チェックイン後、歩いて駅のすぐ手前にあるホテル クロイツ&ポスト(KREUZ & POST)の一階に入っているレストラン クロイツ&ポストへ。2人とも予め食べようと考えていたコルドン・ブルーを注文。ハムとチーズが挟まったシュニツェル(カツレツ)のようなものと聞いていたが、とろとろのチーズがあふれ出るような一品で、これと付け合わせのパンだけで満腹。ビールはベルナーオーバーランドの地ビール ルーゲンブロイのスペシャル黒(RUGEN BRÄU SPEZIAL DUNKEL)。
上写真左のリフト券表面に2T ERWとあるのは2日間 大人のことである。これがいくらだったのかは、グリンデルワルト駅においてあったGrindelwald Info Guide Winter 2017/2018なるパンフレットを帰国後見てわかったが、大人2日間は145CHF(約16,200円)である。ただし、62歳以上のシニア料金も設定されており、これは10%引きで131CHFだったので本来こちらの方を手配してほしかったものだ。
また、First(フィルスト)の天気が悪かった場合には女王陛下の007の映画ロケ地のSchilthorn(シルトホルン)に行く可能性もあったのでJungfrau Regionつまりユングフラウスキーエリア全域有効のリフト券になっているが、もしSchilthornを除外するなら、Grindelwald-First-Kleinescheidegg-Männlichenの限定版で大人2日間は118CHF(約13,200円)というのがあった。もしこういうのがあることがわかっていればこちらを選択していたかもしれない。
因みに便宜上リフト券と書いたが、該当エリア内の登山電車、リフト、ゴンドラ、ロープウェイに乗ることができる。バスは少なくともグリンデルワルト内の指定された路線のバスに乗ることができる。
さて、駅前通りを下り、ガイドさんは案内所に寄って自分のスキーを取り、グリンデルワルト駅(GRINDELWALD 1,034m)へ。駅で撮ってもらった下の写真バックの山は、左がヴェッターホルン(WETTERHORN 3,692m)、右がメッテンベルク(METTENBERG 3,104m)。2つの山の間の奥の方にシュレックホルン(SCHRECKHORN 4,078m)が見えるというがこの写真ではよくわからない。
グリンデルワルト9:17発のWAB(ウェンゲルン・アルプ鉄道)の黄色と緑に塗り分けられた登山電車に乗る。電車は日中毎時17分発と47分発の30分毎に1本。昨秋に来たときは、グリンデルワルドを発車する際に、アイガーを見るためにグルントでスイッチバックすることを見越して進行方向に向かって右側の座席の方に座ったものだが、ガイドさんは左側の座席を取る。
左側に座ったので谷底のこのグルント(Grund 944m)でスイッチバックするまではアイガーと麓の村のおとぎの国のような風景がよく見える
スイッチバックして山を登るに従いこちら側の席からはスキー場がよく見えるようになりガイドさんの意図が判明。
9:49、クライネシャイデック(KLEINESCHEIDEGG 2,061m)到着。
駅の大きなトイレに寄り身支度を整え、線路を渡って谷側へ移動。ここでスキーを履く。コースの入口で最初にガイドさんから重要な話がある。コースの左右にコース内とコース外の境界を示すためのポールが点々と立っている。ポールの色は初級者コースは青色が基本で左側が上から1:9の比率で、右側は1:1、つまり半分半分の比率で塗り分けられている。中級者コースは赤色が基本、上級者コースは黒色が基本で同様の比率で塗り分けられている。なので、例えば自分の進行方向左側に1:9の比率で塗り分けられたポールがあればコース内に居るが、自分の進行方向右側に1:9で塗り分けられたポールがあればコース外に出ているので直ちに戻る必要があり、今のように晴れていればよいが、視界が悪い時は特に注意するようにとのことだった。この注意が翌日、遭難を未然防止してくれることにつながったのは知る由もなかった、ということはなくこのとき既に予想していた。なので、ガイドさんについていなければこのことは知らなかったので危なかったかもしれない。
この日のクライネシャイデックの天気予報は午前中くもり、午後は雪だったが、予想に反して晴れており、少し滑って景色のよいポイントで写真撮影。いつ山が見えなくなるかもしれないので天気がよいうちに撮ろうということだろうと思ったが、その後も各所で撮ってくれた。
後方少し上に見えるのはクライネシャイデック駅。駅から上は雲で見えない。
中央左に見えるのがヴェッターホルン(WETTERHORN 3,692m)、中央がシュレックホーン(SCHRECKHORN 4,078m)のすそ、右の壁はアイガー(EIGER 3,970m)の北壁。
中央右に見えるわずかに雲がかかっているのがユングフラウ(JUNGFRAU 4,158m)。本当のピークはいま見えている稜線に隠れて見えない。
さて、まずは足慣らしで初級者コースを滑る。これはガイドさんがお客様のレベルを確認するステップとも言えるだろう。
初めて乗るリフトは6人乗りだ。6人乗りのゴンドラと同じ積載能力だ。もしかしたらゴンドラよりもリフトの方が間隔が狭いので運搬能力が高いかもしれない。日本と異なるところは、日本ではリフトが降りて来て乗り場でぐるっと向きを変えてローンチの直前で乗り込む形だが、当地では降りて来たリフトに乗り込んだあとゆっくり進みながらぐるっと向きを変え、その後加速してローンチという形だ。リフトの係りの人は立っておらず小屋の中にいる。それと、スキーヤー、スノーボーダーはほぼ100%がヘルメットを被っている。毛糸の帽子を被っているのは私たち2人だけで、無謀で安全軽視の日本人スキーヤーと思われないかちょっと心配だった。ガイドさんに尋ねると、法律でヘルメット着用が義務付けられているわけではないが、当地ではこれがふつうとのことだった。来シーズン前にはヘルメットを買おうと決意。
これはHonegg(ホーネック)という名前のリフトで、これを上がったところから今度は赤コース(中級者用)を滑る。ガイドさんが、ではこれから動画を撮りますので、私が先に下へ降りて手を振ったらスタートし、私のところを通り過ぎて下まで滑ってください、と言う。ガイドさんには最初写真を撮ってもらったときにデジカメ(動画も撮れる)を預けてあったが、おー、こちらで頼まなくても撮ってくれるんだ!と感激。
妻からスタート。
私も同じところを滑りおりたあと、さらにそこからもう一度。今度は私の動画。
今度は滑りながら撮ってくれるという。長いので2分割して掲載。
つづき。
スイスまで来て、ボーゲンで滑るとは!と思わないでほしい。ここの見方はこうだ。ボーゲンでもスイスで滑れる!スキー全盛時代にスキーをしたけど今はしないシニア世代の皆様、奥様を連れてスイスにスキーに来ませんか?もちろん上手な人はいいけれど、私にはスイスでスキーなんて無理、そう思っている人はこの動画を見て、ボーゲンでも滑れることがわかったでしょう。この辺りは急斜面は多くなく、あっても並行して中級者用斜面か初級者用斜面があり、疲れたときの退却方法もあるので是非ご検討を。私をスイスにスキーに連れてって!
今度はEigernordwand(アイガー北壁)というリフトに乗り、EIGERGLETSCHER 2,320m(アイガー氷河)まで上がる。ここはユングフラウヨッホまで行くJB(ユングフラウ鉄道)の途中駅があるところで、昨秋はここからクライネシャイデックまでハイキングをしたところだ。景色のよいところで写真を撮ってくれる。
多くのクライマーの挑戦を受けとめてきたアイガー北壁をバックに。
ごつごつしたヴェッターホルンをバックに。
優しい姿のユングフラウをバックに。
次はここから赤コースでの妻の動画。最初に出てくるオレンジと赤のポールが比率1:9のコース左側の境界に立つもの。
引き続き私の動画。
朝乗って来たWAB鉄道の線路の下にくり抜かれたトンネルをくぐり、Eigernordwandリフト乗り場近くにあるArvenリフトに乗って、最初に降りて来た辺りの斜面を見ながらクライネシャイデックに戻る。ここは予めガイドさんが予約してくれていたレストランで混む前にランチを摂る。私はガイドさんお薦めのスープで、パンをくり抜いた中に少し酸味のあるシチューが入っている感じのものでとても美味しかった。妻はキノコのスパゲッティでこれも美味しかったとのこと。
ランチ時点までで妻はかなり体力を使ったらしく、午後はしばらく私とガイドさんの2人で滑って来て、と言うので約1時間後の13:15に戻ってくることにして2人で出かける。
まずはArvenリフト沿い、朝一に滑った青コースの隣の赤コースを滑って、再びEigernordwandリフトに乗り、EIGERGLETSCHERへ上がる。
ユングフラウ鉄道の登山電車がちょうど降りて来た!スキー場の真ん中を電車が走ってくるなんて日本では考えられない楽しい遭遇。
妻は休憩なので黒コースに行く。ここは黒コースとはいってもそんなに急ではなく、30度弱の感じ。ただしゲレンデ案内図には最大斜度75%(水平距離100mに対し垂直落差75mの意味と思われる)と表示されているので、これは角度に直すと約37度なので、最も急なところは通らなかったのかもしれない。
滑りながら撮ってくれたのを2分割で。
つづき。
Wixi(ヴィクシー)リフトでLAUBERHORN(ラウバーホルン)に上がり、ワールドカップの滑降のスタート小屋を見るだけ見て、なんだやらせてくれないんだ、と思いながらクライネシャイデックに戻る。ちょうど待ち合わせ時間でガイドさんが妻を呼びに行ってくれる。レストランまで行くとまた坂を歩いて上がらないといけないので助かった。
クライネシャイデックにはレストランがたくさんあり、右下のレストランから上がってくる。この写真ではよくわからないが上りスロープのためわずか20~30mほどの区間にロープトゥーが設置されている。TバーでもJバーでもなくただ動くロープにつかまって登ってくるやつだ。こういうものは苦手で絶対失敗すると行く前から妻は言ってたのだが案の定転んでしまいよけいなところで体力消耗。
この日は日曜日なのに人が少ないのは天気予報を見て、近場の人が出かけるのを控えたためだろうとガイドさん。
さて、Lauberhornリフトに乗り再度Lauberhornへ上がる。ガイドさんは夫婦そろったところでワールドカップ滑降スタート小屋の写真を撮るつもりだったのだ。スタートの一瞬だけをピンポイントで撮影。
引き続きWカップ滑降コースに並行する赤コースを滑る。
妻転倒で救助に向かうが、どうしても助け起こせず、ガイドさんから山側からではなく谷側から起こした方がいいですよ、と声がかかり谷側にまわってよくやく引っ張り起こすことができた。ガイドさんから夫婦愛を撮りましたよ、と言われたシーンである。
これで消耗しさらに2回転倒したため、ガイドさんからこれ以上無理と判断され、WENGEN 1,274m(ヴェンゲン)まで滑って降りる予定のところをWENGENALP 1,873m(ヴェンゲルンアルプ)から戦線離脱し電車に乗ることになった。
リフト券で乗れるのは上り方向だけで下り方向に乗る場合は有料と旅行会社からは聞いていたのだが、ガイドさんによるとどちら向きに乗ってもかまわないとのこと。実際、クライネシャイデックから下りに乗っておるスキー客も大勢いたとのことで、途中から電車に乗るのも特に不名誉はことではないだろう。自身の体力・技術に合わせて行動することが大事である。因みにリフト券をよく見ると、ミューレン~シルトホルン間は上りのみ、と書かれているのでここで誤解があったのかもしれない。さて、またガイドさんと私の2人になったので、ワールドカップの滑降コース(黒コース)に途中から入る。頭上にTバーリフトが見えるので、ゲレンデマップからBumpsのリフトとわかる。
つづき。
もう少し下の方のやや急斜面。降りるにしたがって雪が悪くなってき、表面に積もった雪の下は少しアイスバーンになっているため慎重に滑っている。
ワールドカップ滑降コースゴール直前の急斜面。ここはシャーベット状の湿雪で技術が伴っていないが、ゴールの雰囲気を味わってもらうために敢えて掲載。因みにワールドカップは各地転戦するが、このコースでは毎年必ず実施されるそうだ。帰国後に調べたところ今年(2018年)は1月13~14日に開かれた模様。開催1ヶ月前から整備のためコースは閉鎖され、終了後はすぐに開放されるとのこと。なお、ワールドカップ選手は2分で降りてくるが、私たちは45分かかったらしい。
線路より大分下方に降りてきてしまったので、Innnerwengen(インナーウェンゲン)のリフトでALLMEND 1,493m(アルメント)の駅付近まで戻る途中、ガイドさんと話をした。ガイドさんはアイガー、マッターホルンを始めとしてこの辺りの山は大体登っているのだそうだが、そのときに同行する山岳ガイドさんは、お客様の力量を慎重に見極め、コース、天候等を鑑みて、お客様が行きたいと言っても無理だと判断したら途中でも引き返すのだそうだ。当然と言えば当然だがそのときにしか来れなかったお客様を引き返さすのは難しいことだろう。そういう山岳ガイドの判断をスキーガイドにも適用しているのだろうと思うが、LAUBERHORNから降りてくる最中に妻が立て続けに3回転んだのをみて、だいぶ疲れが来ているなと判断したそうだ。本人もへとへとだったので電車に乗せてもらえて助かったとのこと。またそのままでは私が不完全燃焼になるところを、妻を戦線離脱させることにより、私を黒コースに連れて行って満足させるということでなかなか見事な采配だと思う。
Innnerwengenのリフトを降りたあとはほぼ線路沿いの青コースを滑り、WENGEN駅近くでスキーを脱いで踏み切りを渡り、100mほど歩いて駅に到着。ちょっと前に妻も電車で到着したところだった。グッドタイミング、というか妻としてはもう少し休んでいたかったかもしれないが。
WENGEN駅前にある歴代ワールドカップ滑降優勝者ボードの前で、ガイドさん(右端)と3人で記念撮影。
ここから5分ほど歩いて、メンリッヒェンLWMロープウェイ(Männlichenbahn LWM )乗り場へ。5分の乗車時間でメンリッヒェン(Männlichen 2,230m)山頂駅へ到着。昨秋来た時は360度のパノラマが楽しめる絶景だったのだが、ガスで何も見えない。ここからグリンデルワルト側の麓のグルント(Grund 944m)までは、GCMゴンドラ(Männlichenbahn GGM)で30分のロングコースなので妻は途中駅のホーレンシュタイン(HOLENSTEIN 1,619m)まで滑ってそこから先はゴンドラで降りることにする。
では、山頂からHOLENSTEINまでの赤コースでの滑りを3分割で。
つづき。
つづき。
HOLENSTEINから先はガイドさんと私の2人で黒コースを滑る。この辺りから下は標高が低くなり、昨日は雨が降ったと思われるようなシャーベット状の悪雪。春の蔵王大森ジャイアントや苗場や八方の下の方を思わせるコンディションで足を取られて3回くらい転んでしまった。最後はぐじょぐじょの道路を漕いで何とかロープウェイに山麓駅(グルント)に到着し妻と合流。谷底のグルントからグリンデルワルトまでは昨秋は電車で上がったが、今回はバスに乗った。グリンデルワルトの駅前でガイドさんと別れ、私たちはホテルを少しだけ行き過ぎたところにあるもう2つ先の停留所で降り少し下ってホテルに帰着。夕方4時半くらいだったと思う。ガイドさんの契約時間は8時間なので、ちょうどそれくらいにうまくコントロールされていた。
なお、旅行会社経由でガイドさんを依頼したため、実際ガイド代がいくらなのかわからなかったので、ガイドさんに尋ねたところ400CHF(約45,000円)くらいですかね、(物価の高い)スイスですから、ということでいいお値段であるようだ。でも、それだけの価値は十分あったと思う。帰国後、グリンデルワルト日本語観光案内所のホームページを見たら日本語ガイドの料金表は掲載されていてスキーガイド8時間405CHF(チップ・交通費込み)と明記されていた。
この日ホテルに帰ったあと頭の中で振り返ってもどのリフトに乗ってどのコースを滑ったかはいまひとつよく思い出せなかったが、帰国後ガイドさんに撮ってもらった写真や動画をこのブログ上に貼り付るために見ていると、各コース毎に多くの映像があるため、これらの映像とゲレンデマップと地形図を照らし合わせることによりおそらく正確に実際のルートを再現できたものと思う。特に滑りながら動画を撮るのは子供が小さい頃によくやったものだが、自分で撮ると絶対自分は入らないのでガイドさんがたくさん撮ってくれたのは非常にありがたかった。景色のよいポイントでスイスアルプスの山並みも意識的に入れ込んでくれているので何度見返しても楽しく記憶に残る。あらためてガイドさんに感謝!
それとあまり意識していなかったのだが、持ってきたコンパクトデジカメ(Canon Power Shot SX430IS)は正解だったなと。昨秋のヨーロッパ鉄道のために買ったもので、iPhone7 plusより写りが悪く不満足だったのだが、光学ズーム45倍という特徴の他に片手で握りやすいということを評価して買ったのが今回役に立った。ガイドさんが滑りながら片手で撮るのにこのように握りやすいデジカメでなければ撮影しにくかっただろうと思う。
近くのスーパーで買ってきたスイスの缶ビールで乾杯!
夕食(レストラン バリーズ)
夕食はホテル内の山小屋風レストランBarry’s(バリーズ)で、妻が関口知宏がスイス鉄道の旅で食べていた、あるいは世界入りにくい居酒屋スイス・ベルンでやっていたというミートフォンデュを食べる。ここではFondue Chinoiseとメニューには書かれていたと思う。煮立てた透明なスープの中に、牛と七面鳥の肉をしゃぶしゃぶして、16種類あるタレ(薬味)につけて食べるというもの。肉はそれぞれ16枚ずつくらいあったのですべての組み合わせが楽しめる。
タレや薬味はどれも甘めで、私としてはふつうの胡麻ダレかポン酢醤油がほしかった。16種類の薬味やタレが出てきて物珍しくはあるが、フォンデュならチーズフォンデュの方が美味しいと思う。
ウェイトレスさんがテーブルに来てドイツ語なり英語なりで何か言葉を交わすたびに、最後にShesheと言うので何だろうと思っていたが、そうか、Fondue Chinoirsを注文したので私たちを中国人だと誤解して謝謝(Xiexie)と言っているのではないかと気が付いた。そこで次に来た時にIch komme aus Japan. Nicht Chinese!(私は日本から来ました。中国人ではありません。)と誤解をを解かせてもらった。申し訳ないがさぞかし気まずい思いをしたことだろう。もう一度来たときにスープにUdon(うどん)入れますか?と日本語が入っていたが、もうお腹いっぱいだったのでお断りした。
第3日 スキー(フィルスト)
朝食を済ませ、9時過ぎにホテルを出てフィルスト(First)のゴンドラ乗り場へ向かう。リフト券もしくはホテルの宿泊者に配られるパスで村内循環バスに乗る手もあるが、10分弱なので待っているより歩いた方が早い。
表示板のリフト、ゴンドラやコースに表示される赤ランプは運行停止やコースクローズ、緑ランプは運行中やコースオープンで、左側の赤ランプ多数はハイキングやソリのコースなので関係ないが、右端の赤ランプ2つはスキーリフトである。
また、ここのゴンドラは30分と長いが、帰りは村外れのOBERER GLETSCHER付近まで下りて来られるコースがある。前日ガイドさんに尋ねおいたところゴンドラ駅近くに降りてくる青コースの21番はだめだが、22番、23番の赤コースはほぼ下まで降りて来られ、あとは村外れからバスに乗って帰って来られるとのことだったのだ。しかし、前日WENGENやGRUND近くの標高の低いところではシャーベット状の悪雪だったのでここも同様とみて、帰りはゴンドラ中間駅のSCHRECKFELD(シュレックフェルト)またはBORT(ボルト)からゴンドラで降りてくることにする。
FIRST 2,168m(フィルスト)に着くと、ガスっており視界が悪い。スキーをつけてゴンドラ降り場から左上の方にまわり込んで行くと、さらに上に向かうOberjoch(オーバーヨッホ)リフトがあった。雲の中に入って行く4人乗りのリフトだ。
OBERJOCHは雲の上だった!ここは本スキー場最高の標高2,500mで昨日最高地点のEIGERGLETSCHER 2,320mよりも高い。1本目は、リフトを降りて左側の青コースを滑る。誰もいない。
ここは極上の粉雪というか、粉ではなく綿あめのようにふわふわのとっても軽い雪。スキーは雪の中にもぐっているのだが、軽ーく滑れる。妻も新境地と言っていた。
2本目もOberjochリフトで今度は降りて右側の赤コースへ。こちらの方は少し人がいる。
OBERJOCHから新雪の赤コース。
この日はガイドさんがおらずデジカメはリュックにしまったままなのでiPhoneで撮った動画をひとつ。
この後、先の上りを越すために勢いをつけて滑り、スピードに負けて転んだところで立てなくなった。スキーを外して立ち上がったはよいが、今度はスキーがつかなくなって体力消耗。よって、ランチ・ブレーク。
ゴンドラ駅の2階にあるレストランでアジアン・チキンというメニュー。あっさりしていて美味しかった。ここのウェイトレスさんは語尾にメルシーをつける。これは私たちをフランス人に間違えるとは思えないので、本人がフランス人だったのかもしれない。
休憩中にスマホをつなげようとすると、なんだか動きが遅いのでモバイルルータを見ると3Gではなく2Gになっていた。そこで、旅するドイツ語でWiFiありますかというのもやっていたな、と思いつき、言おうかと思ったがフランス人にドイツ語で話しかけるのも何なので英語で教えてもらった。
妻は転んだ時に頭を打ったとのことで、やはり来シーズンはヘルメットでという思いを強くしたが、もう十分滑ったので先に帰るとランチ後ゴンドラで下山。
私はOberjochリフトに並行して右手にあるはずのSchilt(シルト)リフトに乗るために連絡コースぽい青の3番コースを滑るが、ガスで視界が悪く、コース境界のポールが直近の1本しか見えない。左側の1:9塗り分けのポールに沿って滑っているつもりがいつのまにか1:9ポールが右上の斜面の上にある。これはいけない、と急いで上に戻ろうとスキーを持ち上げると雪に埋まっていたスキーが外れ、ここでスキーがなかなかつかず悪戦苦闘。ようやくついてコースに復帰したあとは、また今のような事態に陥ると道に迷い、遭難の危険もすぐそこにあるので決して次のポールを見落とさないようゆっくり滑る。周囲はほとんど人影なし。
そのうちリフトが2本見えてき、1本はSchiltより下から上がってくるGrindel(グリンデル)リフトであることを確認し、4人乗りのSchiltリフトに1人で乗る。自分より少し前に2人組が乗ったが後ろは誰もいない。ガスの中を上りながら、ふと上を見上げると水色の光が見える。これは雲の上に出て来たのかと思ったが、下方を見ても水色の光が見え、よく見るとどこを見ても水色の光とピンクの光がまだら模様になってまるで冥界の入口に迷い込んだようだ。気味が悪くなりそうなので声を出して気持ちを振り払いなんとか終点までたどり着いた。SHILTは標高2,260mだが、相変わらず視界は効かない。
晴れていれば、この時点で動いていた一番右端のリフトであるHohwald(ホーヴァルト)を目指すところだが、視界悪く、私の少し前にリフトで上がった2人組の姿も見えなく、誰もいない状態なので、遭難の危険を冒してまで、あるいは遭難防止にポールを見失わないようにゆっくり滑ってもつまらないので、ゴンドラ屈曲点中間駅のSchreckfeld(シュレックフェルト)を目指すことにする。コースを間違えないよう分岐がある度にゲレンデマップを取り出してみないといけないので大変だ。
ところで、ゲレンデマップは拡げると横が52cmほど、縦が27cmほどのものだが、屏風のように折り畳んだあと縦に3つに折って名刺くらいの大きさになる。どこでもさっとポケットから取り出して、見終わったら雪を払って畳むと考えなくても元のようにきれいに折り畳める。表紙と裏表紙は厚紙で耐久性を持たせている優れものだ。なお材質はプラ紙ではなくただの紙だ。
何とか無事にSCHRECKFELD 1,955m(シュレックフェルト)に到着。schrecklichってひどいとか言う意味だったから、ひどい野原か、この天気にはぴったりだと思いながらパチリ。
ここから先は黒の6番コース経由で黒の5番コースを滑って、BORT (ボルト)駅まで行くつもりが、6番がみつからずソリ用55番コースに出てしまった。ここは若干名ソリをしている人がいたが、邪魔しないようパスし、FIRSTが出発地点の5番に出た。この後はひたすら5番でBORTを目指す。
上左写真は黒の5番コースを上から見たところ。アイスバーン気味の斜面の上に新雪が積もり、シュプールはない。途中の一番急なところで30度くらいか(上右写真)。
ようやく目的のBORT駅が見えて来た。
BORT駅到着。
木製のソリがつながれていた。他にも金属製やプラスチック製のソリがあるとのことだが、ここのソリコースで見かけたのはみなこのタイプの木製ソリだった。
ここからゴンドラに乗って無事に帰還することができた。よかった!
ところで今回、Ski Tracks(スキートラックス)というスマホのアプリを試してみた。スキー初日は使い方がいまいちわからなくて中途半端なデータしか取れなかったが、二日目は以下のような記録が取れた。航空写真の上にリフトとスキーの軌跡が出るのは素晴らしい。ゲレンデマップと照らし合わせて自分がどこを滑ったのかが確認できる。複雑なコースをたどった初日こそこれでしっかり記録できるとよかった。
標高1,000m付近のゴンドラ駅から記録をスタートし、OBERJOCHの2,500mまで上がり、2,200付近のFIRSTまで滑り、もう一度OBERJOCHに上がって下りてランチを摂り、Schiltの乗り場まで滑り降りたあとSCHILTの2,258mまで上がり、SCHERECKFELDの1,995mまで下ったあと、1,500m付近のBORTまで急斜面を滑り降り、最後はゴンドラで山麓まで下りた記録が取れている。
なお、ここまでスキーエリア内では、ゲレンデマップの表記に合わせ、地名、山名、駅名は大文字、リフト名は先頭のみ大文字とした。
夕食(レストラン ベルヴェデーレ)
ホテルでサウナに入り、ベランダで冷やしておいた缶ビールを飲み、一寝入りしてから予約しておいたBelvedereという同名のホテルの中にあるレストランに向かう。山側に歩いて600mほどのはずだったがどうしても見つからず雨の中を電話した。いったいどこにいるんですか?うちはグリンデルワルドのレストランですよ、と言われ、いや、だからグリンデルワルドのメインストリートにいるんです!レストランC&Mの前にいます!と言ったら、説明しようとしてあきらめて、そこにいてください、いま迎えに行きます、ということでクルマで来てくれた。妻がネットの掲載されていた地図が間違ってるんだよ、いままでにそういうことも何度かあったし、と言うので私もそんなことだろうと思っていたら、すっかり地図の読み方を間違っていた。青い丸しるしが現在位置で、この線がフィルストゴンドラだろうと思い込んで地図を見ていたら、青い丸しるしはグリンデルワルドの中心で線は鉄道だったのだ。
中に入るとピアノ生演奏のあるけっこう高級な感じのレストランだった。食べたものは私は前菜ビーフカルパッチョ(下左写真)、サラダバー、主菜がなにかの魚のポワレ(下右写真)だったが、すべて繊維質な感じで噛み噛みモードになり味は悪くなかったはずなのだけど全体的にはあまり美味しく感じられなかった。妻が食べたリゾットは味が濃すぎてつらかったようだ。
このレストランのボーイさんは今まで接したことのないような陽気でサービス満点な感じの人なので、イタリア人かなと思ってたずねたらスペイン人だった。そうなんだ。
ホテルへ帰るためにタクシーを呼んでもらったが、呼び出し料金というのは取られず、メータではなく料金早見表のようなものを見て、2人でこの区間だから14CHF、という運賃制度になっているようだった。
第4~5日 グリンデルワルト~チューリッヒ~成田
早朝の天気は毎日こんな感じ。
チェックアウトは朝7時からということで、前夜のうちに精算を済ませ、朝食はまだ始まってないので部屋でお腹が疲れたときのために日本から持って来たフリーズドライのお粥を食べる。朝食ボックスを頼むこともできたのだが、前夜お腹いっぱいで10時過ぎに戻ってきたので、遠慮したのだ。
帰りの電車の時刻はこれだ。乗り換えが往きより少なく、ベルンではホームが離れているが乗り換え時間は10分あるので問題ない。
グンデルワルト~チューリッヒ空港
グリンデルワルトの駅にはだいぶ早く着いたので少し土産物を見る。観光パンフも詳細なものがたくさんあったのでいくつかもらい、グリンデルワルド近辺の25,000分の1の地形図を購入。鳥瞰図的な書き方のゲレンデマップではわかりにくいところが平面図の地形図で逆にわかりやすところがあり、スキーの軌跡をたどるのに役だった。
登山電車内で荷物はこんな感じに余裕で収納。
チューリッヒ空港~成田空港
LX160 チューリッヒ 3/20 13:00~成田 3/21 08:55 (フライト時間11:55)
に対して余裕でチューリッヒ空港駅に着き、鉄道のホームを上がったところにあるチェックインカウンタでチェックイン。スマホでWEBチェックインはしてきたが、搭乗券や荷物タグは自動機でセルフで出さないといけない。荷物タグが各自1枚しか出てこないため、もう一度やったら搭乗券が2枚になってしまったので、そばにいた係りの人に聞いたら、2枚目の荷物タグは荷物預け場所でくれるとのこと。それならそうと書いておいてほしいものだ。
荷物を預けて身軽になり、フードコートで昼食を摂ったあと少しウインドウショッピングをして出国にかかる。始めに安全検査があり、ここでバッグが引っ掛かり、同様に引っ掛かっている人が行列していたので10分ほどよけいにかかってしまった。
安全検査を抜けるとすぐに免税店なので、出国審査はしなくてもいいのか?と思ったが、指定のEゲートに向かうとEゲート手前のエスカレータが行列している。これがなかなか進まず、降りていくと出国審査場(イミグレ)があった。チューリッヒ空港は順序がおかしいのではないだろうか?ふつうは免税店ではもうあと搭乗するだけなのでゆっくり買い物をするが、ここでゆっくり買い物をしていたらその後の出国審査の行列のせいで乗り遅れてしまうかもしれない。私たちは買物をしなかったが、搭乗ゲートE67に着いたときにはちょうど搭乗開始時刻の12:25になっていた。
ここでモバイルルータは電源オフしたが、データ使用量は1.16GBで2GBの容量に対してだいぶ余裕があった。ホテルにいるときなどはWiFiを使うし、スキー中は使わないのでふつうの旅行よりは使用量が少ないようだ。
時間が8時間進んで翌朝3/21 8:48、無事成田空港に到着、かくして3泊5日の弾丸スキーツアーは終了した。短いようだが、シニアとしては2日間でも十分堪能した感覚だ。スイススキー実現の原動力となった妻に感謝!
リフト券の記録情報(2018/3/31追記)
ユングフラウヨッホのホームページ https://www.jungfrau.ch/en-gb/ にアクセスしてスキーリフト券のシリアル番号を入力すると、利用記録が得られることがわかった。乗った登山電車、リフトや、滑り降りて来た高度差などが詳細に記録されている。スキーから帰って来た後ももう一度記録データをとおして当日のスキーを振り返ることができるのはさすが観光立国スイス。
以下のデータでは3/18は延べ12本の登山電車やリフトに乗り滑走距離27Kmで、高度差合計は4,721mであったことなどがわかる。
次は登山電車やリフトの利用記録を横軸を時刻、縦軸を標高で表示。
参考情報
ゲレンデマップのPDF版を右に示す。MAP
お願い
本記事の内容については筆者の体験をもとにできる限り正確を期しているつもりですが、誤りや勘違いがあるかもしれず、また交通機関の時間などは変わる可能性もありますので、この点ご理解いただいたうえで参考にされることを望みます。
以上
(2018/3/27)