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ツートーン発生器
動く、光る、鳴る、の三拍子そろったツートーン発生器です。
SSB送信機調整用のツールですが、今回は作ること自体を楽しもうとツートーン発生器には特に必要のない上記機能を付加しました。
ツートーン発生器とは
SSB送信機調整用の信号発生器の一種です。
音声周波数帯の正弦波を2周波同時に発生します。
2つの周波数は高調波の関係になっていないことが条件ですが、周波数を可変できる必要はありません。
この2周波数をミックスした信号をSSB送信機のマイク端子に入力します。
製作目的
「40年前自作機TX編」の中では、シングルトーン発生器しかなかったので縦笛と音叉を持ち出してツートーン発生器の代わりにしましたが、きれいな波形のツートーン発生器で真面目にSSB送信機の調整をできるようにすることが製作目的です。
仕様
主要仕様を下表に示します。
No. | 項目 | 規格 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | 発振周波数 | 200Hz~20KHz | Ch1、Ch2ともVRにて独立に可変できること |
2 | 周波数表示 | パネル面のアナログ目盛りによる | 右回転で周波数→高 |
3 | 波形 | 正弦波 | 各次高調波は基本波に対して -40dB以下 |
4 | 各Ch出力レベル | 最大0dBV(0dBV=1Vrms)無負荷時 | Ch1、Ch2ともVRにて独立に可変できること |
5 | 各Ch出力レベル表示 | アナログメータにより-20~+3dBVを表示 | Ch1、Ch2独立表示 |
6 | 各Ch出力制御 | ON-OFF切り替え | Ch1、Ch2独立トグルスイッチ |
7 | 出力ATT | Ch1、Ch2合成出力を1倍~0倍に減衰 | |
8 | 出力ATT設定 | パネル面のアナログ目盛りにより 0~-50dBを設定 | |
9 | チェックポイント | Ch1出力、Ch2出力、Ch1+Ch2合成出力 | 波形観測用 |
10 | 外部出力インピーダンス | 0Ω | 短絡保護付き |
11 | 外部出力振幅 | RL=20KΩ時無負荷の98%以上/RL=2KΩ時無負荷の95%以上 | NJM2732Dのドライブ能力による |
12 | 外部出力端子 | RCAジャック | 合成出力のみ |
13 | 電源 | 006P乾電池(DC9V)/AC-ADP(DC12V出力)両用 | |
14 | 電源スイッチ | AC-OFF-BAT | トグルスイッチ |
15 | メータ照明 | 白色LEDバックライト | AC動作時のみ点灯 |
16 | モニタースピーカ | 内蔵 | ON-OFF切り替えスイッチ付き |
製作方針
- 40年前自作機(50MHz SSBトランシーバ)に組み込まれていたシングルトーン発生器の波形があまりきれいではなかったこともあって、ちゃんとしたツートーン発生器を作ろう、と思い立ったわけなので、きれいなサインウェーブ(正弦波)を発生することを目標にします。
- どれくらいきれいな、という定量的な目標は立てても測定できないと意味がないので、FFT機能付きの中国製オシロスコープで測定できるよう、各次高調波は基本波の40dB以下(100分の1以下)、という目標とします。
- ツートーン発生器というのは、言ってみれば単なる発振器が2組入っただけのもので、出来上がったものを眺めてもそれ自体面白いものではないので、見て楽しめるようなものを組み込むことにします。
・・・・・・・ラジケータのジャンク品は最近めったに見ないのですが、秋葉原ラジオセンター2階の内田ラジオで大型のラジケータ、TEACのテープデッキに使われていたとおぼしきものが手に入ったのでこれをレベル表示に使うことにします。メータが振れるだけでもだいぶ楽しさが違います。
回路
きれいな正弦波が出るということで、オペアンプを使用したウィーンブリッジ発振回路を採用します。
帰還量を正確に3分の1にしないと発振しないので、AGCをつけた回路なども発表されていますが、今回はウィーンブリッジの基本回路のままとし、発振条件はVRで設定することにします。
なお、ウィーンブリッジ発振回路の原理については本記事の中では触れません。
上記回路図では、見やすいようにバックライトやAC-ADPとの切り替え回路などは省略しました。
発振周波数は、Ch1側で言うと、回路図左上のオペアンプU1-1(-1はU1がオペアンプ2個入りのため、出力ピンが1ピンの方、という意味に理解してください)につながっているVR1-1 100KΩとフィルムコンデンサ0.01μFで構成するHPFと、VR1-2 100KΩとフィルムコンデンサ0.01μFで構成するLPFで決まり、
fosc=1/(2×π×C×R)
となります。
VR1-1とVR1-2が100KΩのとき、fosc=159Hzになります。
発振回路のあと、オペアンプのボルテージフォロワによるバッファ回路をかませて、レベルメータ回路、Ch1とCh2とのマルチプレクス回路(加算器)、をつなげています。
電源は、9Vの電池もしくは、12VのACアダプタ出力から低ドロップの5V三端子レギュレータで安定化し、±2.5V電源を作っています。
また、モニタスピーカ用のアンプ回路は、オペアンプ+コンプリメンタリトランジスタで簡単に作っています。
部品
ボリューム
発振器としてのキーパーツは、ずばりボリューム(VR)です。回路図中で、VR1-1/VR1-2、VR2-1/VR2-2と示されている、100KΩの2連ボリュームです。
2連は、2軸2連(2つのVRが独立に可変できる)でなく、1軸2連(2つのVRが同時に変化する)タイプです。
VRにはAカーブ、Bカーブ、Cカーブの3種類がありますが、本機ではCカーブを使います。
Cカーブを使う理由を示します。
それは、操作性の観点からVRの回転角に対して、周波数の対数(Log)を取ったものがほぼリニアに変化する必要があるからです。
また、右回りに回したときに周波数が高くなることが重要です。
Cカーブ2連のVRの回転角度に対する抵抗値の変化を直接測定するには、テスターが2台必要ですが、ないのでVR両端に12V電圧をかけタップの電圧を写真のようにしてオシロで測定します。
急激に立ち上がってゆっくりと上限値に達するカーブになっています。これがCカーブです。
Aカーブはゆっくり立ち上がって急激に上限値に達するカーブに、Bカーブは直線になります。
各VRにて、回転角度に対してぴったり同じ電圧が出ることが理想的ですが、そうはいかず、若干のずれがあることがわかります。
さて、電圧値から回転角度に対する抵抗値を逆算し、VR1、VR2の各々で2連VRの上側と下側の平均値を取りこれを0.01μFのコンデンサと組み合わせたときに発振周波数を計算すると次のグラフのようになります。
右に回したときに周波数が高くなるようにするため、VRは右に回したときに抵抗値が小さくなるよう軸側から見て右の端子と真ん中の端子の間の抵抗値を使います。
横軸の回転角度と縦軸の発振周波数(対数目盛り)との関係が、少し波打っているものの概ねリニアな関係になっていることがわかります。
BカーブのVRを使うと、低周波領域の回転範囲が広くなり、いくら回しても周波数があまり変化しない、また、高周波領域の回転範囲が狭くなり、ちょっと回しただけで周波数が急に変化する、という使いにくいものになってしまいます。
このCカーブのVR(しかも2連)は秋葉原で探してもなかなか見つからず、
一度はあきらめてAカーブ2連を買ったのですが、直後に別の部品を買うために寄ったラジオセンター1階の三栄電波で偶然みつけて入手できました。
Aカーブ2連を買ったときは、左回りで高い周波数となるのをあきらめるか、あるいは機械的な実装の工夫で右回りで高い周波数に見えるようにする方法を考えたものです。
メーター
あった方がカッコいい、動くところがないと面白くない、ということでつけました。
せっかく手に入った大型のラジケータを生かすためとも言えます。
もっと言うと、大型ラジケータを生かすためにツートーン発生器を作りました(本末転倒^^;)。
買ってきたときの状態では、針の赤い塗装がほとんど剥がれ落ちんばかりになっています。
赤い塗装は塗り直すためにいったん全部剥がします。
ステンレスのピンセットを使って剥がしたのですが、これが大失敗。
メーターの感度がすっかり狂ってしまいました。
ゼロ点の位置も右にずれてしまいました。
ピンセットが磁性体なのでメーターに磁気が移ってしまったようです。
上のものは没にして、木の割り箸で剥がすことにしました。
ニッペ水性蛍光塗料(スカーレット色)498円を
ナイロン画筆 4号丸筆(モリベクリエーション)水彩・油絵 アクリル絵
具用 198円で針に塗ります。
「この筆は穂先に適度な弾力があり、毛ぞろいが良く、とても描きやすい
画期的な画筆です。」というキャッチフレーズのとおり、使いやすいです。
乾燥待ち1時間で、ばっちり仕上がりました。
完璧です!
カッコよさねらいでつけたメーターですが、実は後で述べるように動作試験段階になって必要なものに変化しました。
バックライト
メーターをシャーシーに嵌め込んでふと光にかざしてみると、なんとメーターが光るでなありませんか。
これはきっと、透過照明用のメーターだったに違いありません。
それでライトテーブルの上のおいてどんな風になるか試してみたのがこの写真です。
美しい!
これはやるしかありません。
早速白色LEDモジュールを買って来ました。
バラでLEDを買って来て基板上に組み立てればよいのですが、とにかくこのところは早く作りたくて、モジュールを使いました。
秋月電子で1個400円。
電源はDC12V~14V、60mAが必要なので、元々は9Vの006P乾電池動作のみだったのですが、このためにACアダプタをつけての動作も可能な仕様にしました。
因みにメーターが光るのはAC動作のときだけです。
ブラケットに取り付けます。
実はこの白色LEDモジュールは明る過ぎです。
メーターのボディは白色の樹脂製のため、裏から光を当てると自然に拡散してくれるので、外付けで拡散板は不要なのですが、メーターの取り付け用押さえ板と減光用を兼ねて白色アクリル板を使っています。
白色LEDモジュールをバックライトとして取り付けた状態です。
この他の主要部品も付いていますが、最終状態とはVRやスイッチの数が違います。
抵抗、コンデンサ
ウィーンブリッジ発振回路は、周波数安定度をできるだけよくするために、抵抗は金属皮膜抵抗、コンデンサはフィルムコンデンサを使いました。
このフィルムコンはニッセイ電機のポリフェニルサルファイドを誘電体として使用したもので、温度特性がよいと東京ラジオデパート2F山王電子のご主人のお薦めの一品です。
抵抗の許容差は1%、コンデンサは5%のものです。
実装
シャーシー側に取り付ける部品がVR 7個、SW 4個、メーター2個等たくさんあるので、基板との接続数はかなり多くなります。
これらシャーシー側取り付け部品からの配線を直接基板に半田付けすると、部品交換などの際に毎回半田を外したり付けたりするのが大変です。
何度も繰り返すうちに配線がだんだん汚くなっていくので、この問題を解決するために、脱着が容易なコネクタを使うことにしました。
コネクタ接続の場合基板側は問題ありませんが、ケーブル側は電線先端を皮むきし、ターミナルを圧着し、ターミナル付きの電線をコネクタのハウジングに挿入するという工程となり、アマチュアの場合は圧着工程がネックになります。各コネクタメーカーのコネクタ品種毎の専用圧着工具は5万円もする高価なもので、汎用の圧着工具でも4,5千円はします。
そこで当初の目論みは、圧着はあきらめて半田付けで代用しようというものでした。
それでもまずは色気を出して、まずはラジペンで適当にターミナルをかしめたらどうかということでやってみました。
きれいな仕上がりではありませんが、この状態でターミナルを電線から引っ張っても外れることはありません。
ところが、ターミナルをハウジングに挿入すると、ほとんど力も加えないのにあっけなく電線がターミナルから抜けてしまうものが5本ほどやって2,3本ありました。
おそらくハウジングにターミナルを挿入するときに、ラジペンでかしめたときとは逆方向の力がターミナルに加わって、ゆるむのでしょう。
次に当初目論みどおり半田付けを試してみましたが、ターミナルをどれくらいどんな形に曲げてから半田付けするかにより、電線を半田付けしたターミナルがハウジングにうまく入らないことが多く、また半田付けの際のフラックスによる接触不良も懸念され、これは筋が悪いと断念しました。
正しい圧着工具を使って圧着したときの断面図をあらためて見てみると、適当にかしめた、というより潰したのでは絶対こうはできない形状であることもわかり、もはや圧着工具を買うしかない、という方向に急速に傾きました。
秋葉原では安くても4,500円程度だったのですが、Amazonで調べると
株式会社エンジニアの精密圧着ペンチPA-09というものが3,200円で買えることがわかり、ただちに注文し、翌日ゲットしました。
Amazonでは多くの商品が配送料金無料で翌日入手できるので、非常に重宝しています。
これは比較的細い線径(AWG#32~AWG#20)に適した品種です。
もっと太い線まで対応できる品種もありましたが、実際に使用するAWG#24程度の太さ近辺でどの溝を選ぶかで微調整が効くようにこの品種を選びました。
左がこの圧着工具使用、右がラジペン使用です。
この製品のパッケージの一部の写真を載せます。
余談ですが、これで圧着する瞬間はカチッとしたクリック感のようなものがあるのですが、その瞬間、奥歯に力がかかっていることが明らかに感じられます。
そう強い握力を要しているとも思えないのですが。
それからしばらくして歯の金属の詰め物が取れたのは、このせいなのか、
あるいはその後の風邪で39.6℃の熱を出して歯が浮いたのか。。
総合回路図
コネクタ、バックライトなども含む総合回路図を見たい方は下のボタンをクリックしてください。
外観デザイン
外観デザインは、自作ディップメータ、自作アッテネータとイメージを統一し、パネル面は透明アクリル板でPCからプリントアウトした紙をはさみこむ方式としました。
パネル面デザインの作り方についてはアッテネータに詳述しましたので興味のある方はご覧ください。
評価
発振条件の設定
前述の回路図は最終形のものを載せてあり、発振条件調整用のVR3、VR4(各2KΩ)を実装していますが、当初はこうではありませんでした。
Ch1側で言うと、U1-1から、10KΩ+10KΩでU1-2に戻し、ここから10KΩでGNDに落とす基本構成のなかで、許容差1%抵抗の抵抗値を実測して選別したうえで、帰還量が1/3前後の値になるように、100ΩのVRを10KΩ+10KΩに直列に入れて発振条件の調整を行うようにしていました。
ところがこれでは、Ch1は166Hz~1.6KHzの範囲で発振するが、Ch2は100ΩのVRを調整しても全く発振しないという状態になりました。
VRの可変範囲が狭いとみて、100ΩのVRは削除し、GND側の10KΩを7.5KΩ+5KΩVRに置き換えて実験してみました。
すると、きれいな正弦波で発振するためにVRを何Ωに調整すればよいか、は周波数によって異なり、規則性もないことがわかりました。
そこで、なぜそうなるのかを考えてみました。
ウィーンブリッジ発振回路の部分だけを以下に抜き出しました。
オペアンプU1の出力1ピンの電圧をVo、非反転入力3ピンの電圧をViとするします。
Voは、R1/C1からなるHPF(高域通過フィルタ)とR2/C2からなるLPF(低域通過フィルタ)を通して、Viとして非反転入力に加えられます。
別の言い方をすると、VoはR1/C1の直列インピーダンスとR2/C2の並列インピーダンスで分圧されてViとなります。
R1=R2,C1=C2として、分圧比を複素計算すると、共振周波数では虚数部分がなくなり、Vi=Vo/3となります。
これを増幅度3倍の非反転増幅器で増幅してやると、系全体として増幅率が1/3×3=1となり、安定に発振が持続するということになります。
非反転増幅器の増幅率Aは、この回路図では
A=1+(R3+R4)/(R5+R6)
となり、可変抵抗にしているR6が2.5KΩのとき
A=1+(10KΩ+10KΩ)/(7.5KΩ+2.5KΩ)=3
となります。
ところが、R1とR2は2連VRで1本の軸につながったものですが、ボリュームの項で説明したとおり、回転角により微妙に値がずれます。
つまり、現実にはR1=R2にはならないということです。また、C1とC2も許容差5%のJ品なので現実にはC1=C2ではありません。
よって、前述した分圧比がいつでも正確に1/3となるわけではなく、VRの回転角により分圧比はわずかですが1/3以下になったり1/3以上になったりするのです。
2連VRの上下間の抵抗値は、片方を基準とするともう片方は最大で15%近くず
れることが上述の実験結果からわかります。抵抗値の変化が大きい部分でずれが大きくなります。
そして、freq=1591Hzとし、コンデンサは理想的にC1=C2=0.01μFとし、R1を10KΩとしR2をR1の85%から115%まで変化させてときの分圧比を計算したものが下のグラフです。
分圧比は複素計算したものの絶対値で示しました。
分圧比は0.333(=1/3)を中心に0.315から0.347くらいまで±5%近く変化することがわかります。
このように分圧比が変化した分、R6をVRとして、非反転増幅器の増幅率を変えることにより、系全体の増幅率を1とする必要があるのです。
さて話を戻して、規則性はありませんが、2KΩ以内の調整で下から上まで全ての周波数で発振することがわかりましたので、実験時の定数から変更し、9.1KΩFの固定抵抗と2KΩのVRを組み合わせることにします。
元は基板上の半固定抵抗だったVRは、完全な可変抵抗としてパネル面に出すことにします。
ちょうどよいところで、きれいな正弦波になります。
増幅率をあげすぎると、上下が電源-GNDで飽和した歪み波形になります。
周波数可変範囲の設定
当初切りがよい値で、100Hz~10KHzと考えており、しかし0.01μFのCと100KΩのVRでは上は100KHz近くまで出るものの下が159Hzまでしか出ないので、Cをもう0.01μF増やして倍にし、80Hzから出るようにしてみました。
ところが、こうすると写真のように、中央が500Hzとなり、左半分が83Hzから500Hzとやたらに広くなり、よく使う500~3KHzくらいが右半分の狭い可変範囲に押し込まれてしまうことがわかりました。
このためCは元にもどし、公称周波数範囲は200~20KHzとしました。
実際には下は159Hzから上は100KHz近くまで出ますが、50KHzくらいでは振幅がだいぶ減って来ます。
シングルトーン波形
波形をきれい、歪んでいると言っても定量的ではないため、デジタルオシロのFFT機能で高調波がどれくらい含まれているか観測します。
上述のきれいな正弦波形の場合、1KHzの基本波に対して、各次高調波は-40dB以下で、なんとか目標達成です。
横軸中央が7.5KHz、横軸一目盛りは1.25KHz、
画面左端に見えるピークが1KHzのスペクトラムです。
縦軸一目盛りは20dBです。
きれいな正弦波で、Levelをメーター表示で約6dB下げると、各次高調波は-50dB程度にまで下がります。
発振回路のあとに入るバッファ、Ch1とCh2のマルチプレクサなど、振幅が小さい方が歪みが少なくなるためと思われます。
上述の歪み波形の場合、1KHzの基本波に対して、
2次高調波は-20dB程度、
3次高調波は-30dB程度、
4次以上の高調波は-40dB程度
と高調波成分が多く含まれるのがわかります。
ツートーン波形
ここまでシングルトーンの話でしたが、実際にツートーンを出してみるとどのような波形になるのか観測してみましょう。
750Hz/2500Hz
1250Hz/2000Hz
1000Hz/1250Hz
これで当初目的のツートーンが出ることがわかりました。
操作方法
きれいな波形を出すための使い方を示します。
1.電源を入れます。(ACもしくはBATを選択)
2.Intensityは両Chとも左端の赤丸のところにセットします。
3.Levelは両Chとも真ん中あたりにセットします。
4.Output ATTは0dBにセットします。
5.必要によりMonitorをONします。
私としては音があった方が気分が出ます。
6.Ch1のみOutput EnableをON。
7.Ch1のFrequencyを出したい周波数に合わせます。
目盛りは目安なので、正確に合わせたいときはCP1にオシロやカウンタを接続して測定します。
8.Ch1のIntensityつまみをゆっくり右に回すとあるところで
メーターがシュワッと右に振れるのでそこでとめます。
ここが波形がもっともきれいなポイントです。
回しすぎると波形がクリップします。
CP1にオシロをつなげて波形を観測するとより正確にできますが、メーターだけでも十分です。
9.Ch1のLevelつまみを調整してメーターの針が0を指すようにします。
このときCh1の出力は0dBVとなります。
10.Ch2のOutput EnableをON。
11.同様にCh2の周波数、Intensity、Levelを合わせます。
12.出力したいレベルに合わせてOutput ATTを調整します。
注1.両チャネルの合成出力(ツートーン出力)が調整できます。
注2.Output ATTを回してもレベルメーターの表示は変わりません。
注3.各Chの出力を0dBVのままツートーンを出すと最大+6dBVとなり、波形が歪むため、
ツートーンを出力する際はOutput ATTを約3dB以上入れる必要があります。
注4. Levelつまみを回して、Ch1、Ch2独立にレベルを合わせることもできます。
レベルメーターの見方
レベルメーターは最初は半分飾りのつもりだったのですが、このようになくてはならないものになりました。
また、レベルメーターの目盛りは実際の値と合うようにできるかと思って作ったのですが、多少ずれています。
メーターの目盛り100%表示のところが0dB、50%表示が-6dBなのでこれは真面目なメータだと思っていたのですが。
もしや100%と50%の角度が2:1になっていないのではないかと疑って分度器で測ってみましたが、100%の位置は左端から54度、50%は27度なのでちょうど6dB、2倍の関係になっていました。
しかし、実際に印加電圧と振れ角度を測定してみるとリニアにはなっていませんでした。
立ち上がりが少し鈍く、最後が飽和するようなS字型カーブです。
可動コイル型電流計は、回転角が電流の大きさに比例するはずですが、300円のラジケータにそこまで求めてはいけないかもしれません。
もしかして縦置き指定のメーターで横置きだと指示が変わるということがないかと縦置きにもしてみましたが、同じでした。
このため、実際に印加した電圧(dB)と、メーターの指し示す値(dB)の関係は下図のようになります。
メータ表示の0dBを基準として実測値が0dBVとなるよう合わせましたが、
メーター表示が-3dBのとき、実際は-2.5dB、
メーター表示が-7dBのとき、実際は-5.33dB、
メータ表示が-20dBのとき、実際は-12.5dB、
となります。
音楽演奏ができる!?
おまけですが、音が出るようになるとやってみたいことが出てきます。
音楽の演奏です。
これぞミュージックシンセサイザの原点!?
ピアノを弾いて音階目盛りを振りました。
ドに〇をしたのが、ピアノの鍵盤中央のドです。
4オクターブ強が私の耳で聞き分けられる範囲です。
因みに、メーターのバックライトを点灯させないバッテリー動作のとき、メーターはこんな感じで少し地味です。
左手でCh1、右手でCh2で演奏した動画ファイルをつけたかったのですが、右手でメロディを奏でるのが精一杯で、聞き苦しいものになりそうなのでやめておきます。
スピーカーは、インピーダンス8Ω、口径φ40mm程度の小さなものを使いました。
音声入力レベルは、最大で30mW、音が歪んで聞こえない範囲だと24mW程度ですが、モニターの音量としては十分です。
今後の計画
このツートーン発生器を使って40年前自作機TX編の調整を行う予定です。
(2013/3/17)
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